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第9話
しおりを挟む「流石に日が沈むと迫力あるねぇ。」
「ウチと鬼だったらどっちが迫力ある?」
ミナトがのんびりとそう言っていると、オオダも自分の下からライトを当てるようにしてそう言ってきた。
何に対抗心を燃やしているのだろう…。
「大丈夫、オーちゃんも負けてないわ。
特に胸囲とか…こことか。」
そういってアキはオオダのお尻を触る。
アキの左手にはいつの間にか、暖かい甘酒が握られていた。
アルコールが多少なり入っていたのか、身体が暖かくなって元気になったのかは知らないが…オオダにとっては迷惑な話だ。
「天誅!」
「甘酒より甘いわよ、オーちゃん!」
そう言って手を振り抜くが、アキは見事な皆こなしでオオダの手を避ける。
坂道でヘロヘロだった彼女は何処にいったのだろう。
「ほれほれ、時間はあるとは言っても無限じゃないし…先にいこう。」
ミナトはパンパンと手を叩いて、戯れ始めた2人を止める。
普段のミナトなら止めないが…まだ地獄谷の入り口にすら見えていない。
せっかくのバイキングだ、ゆっくりと楽しみたいから夕食会場が閉まるギリギリになるのだけは嫌だ。
「はーい、お姉ちゃん。」
「タイム、なんでミーちゃんお姉ちゃんで私はママなの?」
手を挙げて元気よく返事をするオオダに対してアキはかなりの圧をかけてそう言った。
ピシッと地雷を踏んだような音が聞こえ何処か黒い笑みを浮かべるアキ。
オオダといい、そんなテンプレの動きが良くできたものだ。
…そんなに歳とか気にする人だったかなぁ。
うーんと考えるミナトを他所に事態は進んでいた。
「え、頼りになる優しい女性だから。」
「オーちゃん!!」
毒っ気のない純粋な1言に感動したのかヒシっとオオダに抱き着くアキ。
めでたしめでたし。
そんなことを考えながら地獄谷に一人でミナトは先に進む。
地獄谷は駐車料金はかかるが、入場料はかからない。
徒歩の人間にとってお財布に優しい観光名所の1つだろう。
待合所みたいな大きめのログハウスの前を通り先に進んでいく。
「なんだかもの足りないね。」
イルミネーションとはいっても、ライトアップしているのは道のみ。
地獄谷の景色も見えるように見えたらよかったが、設備を安全に設置できる所が限られているのだろう。
何より、ライトアップの為に危険な場所に点検などで何度も人を行き来させるわけにもいかない。
後は、ライトアップされている道のりも短めだ。
オオダが物足りないと言った1番の要因なんだろうが安全の為だ仕方ない。
「でもこれはこれで、風情があっていいじゃない。
硫黄の匂いと煙が暗闇の中で漂う怖い暗闇の道を頼りない灯りが照らしている。
地獄をテーマにしているなら、これ以上ないシチュエーションだと思うけど。」
ミナトは硫黄の匂いと風を気持ちよさそうに感じながらそう言った。
「あら、ミーちゃんは詩人ね。
案外早く戻れそうだし、お土産屋でもいきましょう。
地ビールなんて買ってみない?」
「「賛成!」」
アキの提案に2人は元気よく返事した。
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