性別多様性

夢遊 優

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#3 小学校後半期(小学5~6年)

#3-終「性別」の『性』じゃない 「個性」の『性』だ

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私たちが21人のメンバーを縛り、戦いが終わった。これから話し合いに入る。
「じゃあ,柚子花(ゆずか)と龍美(たつみ),そしてみんなに,学校で謝ってね」と,私,一番(いちは)が言う。
「お前ら…分かったよ…」と光(ひかる)。縛られて反撃できないことが分かっていたからか,あっさりと降参した。
他の20人は,敗北がかなりショックだったのか,放心状態のようになっている。

私たちは奴らの縄を解き(手首だけは結んでいた),山を降りながら話した。
「性別って何だろう?性別多様性って何だろう?」
そんな私の呟きに,そこにいた全員が反応した。
「確かに」「大人でもわかんないって」
そんな呟きがいくつかあった後,私は一つの答えを出した。
「みんなそれぞれ,『個性』があるよね。得意なこととか,後,力女(りきにょ)とかね」
「なるほど」と龍美。
「だから多分,みんなが特別に持っている何かのことなんだよ。それを分けているのが,性別と性別多様性なんじゃ無いかな?」
私の発言に,全員が賛成していた。それが少し嬉しくて,私は少し笑ってしまった。
「おい!笑ってん場合じゃねぇ!」と光。
「えっ!?」と全員
「お前ら…今が何時か見てみろ!」
「夜10時…」
その後私たちは,一目散に駆け出した。

そして家の近くで…
「一番」「何?守」
「さっきの一番の行ったこと,すごく良いと思うぞ。性別が必ずあるってことは結局,違いがあるのは当たり前だってことだよな」「うん。そうだね」

そう言いながら,私と守は笑いあった。
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