97 / 162
第九十七話 精霊退治
しおりを挟む
「か、壁を治すって言っても、一体どうやって?とても一人で治せるものではないぞ!」
マナの消費が半端無いけど多分いけるでしょう。
「レコンストラクション!!」
崩れた壁の残骸が浮かび、元の形に組み上がる。
それでも粉々になったり、熱で溶けてしまった部分は戻らない。
不足した分を補充する。
「レプレニシュメント!!」
これで小さな隙間も全て埋まっていく。
流石にこれだけの大きさの物を復元するとごっそりとマナが減った。
「ふぅ。あ、先生。壁、元通りに治しました」
「あ、ああ。なるほど。さっきのは幻影魔法だったのか!一度壁が壊れた幻影を見せて、それを治していくように見せれば、治したようにも見えるな!ははは。なかなかやるじゃないか!」
ああ、そういう事にして、お咎めなしにしてくれる、って事か!
先生、優しいな。
「すみません、先生。以後気をつけます」
「あ、ああ、今後は気をつけるように?」
最初に話をしてくれた、えっと、フリーデ王女とクリス大魔王、、、、王女と同列の呼び方でいいものか分からないけど、大魔王。あとは、リーカやベルシュ、ミスティルテインの所に戻る。
「ははは。ちょっとだけ、火力が強めだったかな、なんて」
「ちょっとどころではないわ!校舎を壊す程のマナ弾なんて聞いたことないわよ!」
「ダミー君なんて一瞬で蒸発してましたからね」
「ふっ。さ、流石我が友!わ、我には遠く及ばないが、力を付けてきたではないか!」
「クリス、震えているわよ」
良かった、皆んなは引かないでくれていた。
クリス大魔王は我慢してるのかも知れないけど、怖がっていないよ、と一生懸命にアピールしてくれている。
流石我が友だ。
足がガクガクしているけど。
人形の方は消耗品だから気にするなと先生に言われた。
いくら消耗品だからって、お金掛かってるだろうに。
やっぱり優しい先生だな。
「それで?さっきのあの魔法はなんだったの?壊れた壁を治す魔法なんて見たことないわ」
「その前のマナ弾を消したり物凄い速さで移動したり、あれも魔法なんですか?」
「魔法、、、って何?」
「「「え?」」」
何?皆んな知ってるの?!
ああ、記憶がないからボクはその言葉を知らないのかな?
「魔法を知らないって、あなた、先程使っていたのは魔法ではないの?」
「あれは、術式だよ。魔術式」
「魔法ではないのね。確かにあのような効果の魔法ともなれば複数人で何日も掛けて、それでも成功するかどうかというものですわね」
「あ、あれは、我でも出来るのか?出来るなら是非伝授願いたい、、、のだが、ダメだろうか、、、」
大魔王が下手に出てきた!
もっと威張った方が魔王らしさがでていいんじゃないのかな。
「残念だけど、あれはライセンスが必要だから、大魔王にはできないかな」
「そ、そうか、、、。そのライセンスとやらは、貰えないものだろうか」
「え?どうだろう、、、。この国だと何処で試験やってるんだろう」
「リーンハルト。あなた記憶が無かったのではないの?何故そういった知識があるのかしら。それに、その術式?というのも、今まであなたは使ったことはなかったわ。それは記憶に関係しているの?」
「え、、、あれ?そう言われればなんで当たり前のように使えてるんだ?さっきも自然と術式名が出てきたけど、どうやって使えるようになったのか覚えてないぞ、、、」
あの術式はずっと何年も前から使えていたような気もするけど、12歳程度で何年も前からっておかしいよな。
「あなたって不思議な人ね。とても10歳とは思えないわ」
「え?ボク10歳なの?皆んなも?学校って10歳からなんだ」
「わたくしは13歳ですわ。あなたと同学年になる為にお父様に無理やり1年生にしていただいたの」
「我は12歳だぞ!兄と呼んでもいいのだぞ!」
兄が大魔王とか嫌だよ。
午後は街に出てきて、校外授業となる。
午前の男性教師の他にもう一人、こちらも優しそうな女性教師が説明をする。
「最近、街の中に出没している妖魔や悪い精霊がだんだん増えてきているらしいのです。これまでもこうやって、妖魔退治をしてきましたが、高等部だけでは追いつかなくなってきましたので中等部でも退治に出る回数を増やすことになりました」
「ねぇ、リーカ。妖魔とか精霊って何?」
「精霊も忘れちゃったんですか。精霊は天使様の部下みたいなもので、普段は夜の街灯を灯したり、川の水を浄化したり、生活に関係しているお仕事をされています」
へぇ。お仕事かあ。それって人なのか。毎晩、街灯に火を付けて回ってる、、、のか?
「あとは妖魔ですね。妖魔は妖精が暴走してしまったものと言われてますけど、実際にはどう言ったものなのか、よく分かっていないんです。妖精は精霊が使役している自動人形の事です。あ、リーンハルトくんが作ってくれたシルフも妖精の一種ですね」
「ボクが妖精を作った?」
「ああ!すみません!記憶をなくす前の事でした」
とにかくその妖魔だとか精霊が街に現れて暴れていると。
それを退治してまわっているんだな。
「妖魔や悪い精霊は殆ど移動はせず一箇所に留まっています。だから、見つけてもすぐに攻撃はせずに、皆んなが集まるのを待ちましょうね」
「「「はーい」」」
何人かのグループに分かれて街の中を探索する。
妖魔や精霊を見つけたら先生から渡されている笛を吹いて他の人達に知らせる事になっている。
「この辺は居ない、と」
「先生に言われた程居ませんね」
「出るところにはまとまって出るらしいから、ここは違うのかも知れないわね」
これがいつものメンバーらしく、誰も何も言わずに、このグループが出来た。
フリーデ王女、クリス大魔王、リーカ、ベルシュ、ミスティ、そして、ボクだ。
ミスティルテインは長くて呼びづらいからミスティと呼ぶ事にした。
そう呼んだら、ミスティは「あ、ああ!とうとう我にも春が!お色直しは3回が希望!」と、よく分からない事を小声で叫んでいた。愛称自体は嫌がっていないようだから、そのままミスティで呼んでいる。
「あら、1年生もこの時間は外回りなのですね。わ!リーンハルトさん!ご無事だったのですね!」
「お、お前!今まで何処で何やってたんだよ!」
「え?ボク?」
誰だこの人達。
一人は大人っぽくてとても綺麗な人だ。
何故かボクをジッと見つめている。
いや違うか、そんな訳ないか。
女の子と目が合ったとか、若者の勘違いじゃないんだから。
あ、いや、若者だった、、、。
「リーンハルトさん?別の体で蘇生される筈と聞きましたが、元の体に戻られたのですね。わたくし、あなたが死んでしまったのを見て、その場で跡追いをしてしまおうかと思っていましたから、あの時は何とか耐えて良かったです」
「会長?!何を言って、、、そうなったらボクも跡を追いかけます!死ぬ時は一緒です!」
「えっと、死んじゃうのはダメですよ?お二人とも」
「はい。そうですね。死んでいたら今リーンハルトさんに会えませんでしたもの」
「ふ、ふん。ボクだってお前に死なれるのは嫌だからな。ボクも死なないであげるけども!」
それではわたくし達は、と言って二人は学校へ戻っていった。
一度休憩を挟むそうだ。
しかし、綺麗な人だったなあ。
ボクの知り合いだったみたいだけど、誰なんだろう。
「はああ、相変わらずお綺麗ですよね。生徒会長さん」
「生徒会長?あの美人さん?」
「はいぃ!頭も良くって、魔法も剣術も何でも出来るんですよ!それに、リーンハルトくんって生徒会長さんに気に入られていたんですよ?今だってリーンハルトくんにしか話していませんでしたよ」
そう言われればそうだけど、、、。
「あ、さっきその生徒会長さんが言っていた、ボクが死んでしまったって、、、何?」
「いやあ、、、そのう、、、前のノルド侵攻の時にリーンハルトくんって一度死んじゃってるですよ」
「へぇ、、、、え?!死んだ?ボクが?だって今生きてるよ?」
「え、ええ。その後、女の子の体に入って生活していたらしいんですけど、それが昨日、元の体が治ったので、元通りになったんです」
「え?何の話、、、」
とにかくボクは一度死んでから、生き返ったみたいだ。
本当かな。
ピィー、ピィー!
笛の音がした!
近くだ!
「皆んな行こう!」
笛の鳴った辺りに行くと、公園では戦闘が始まっていた。
仲間が来るのを待つようにって言われてたのに!
敵は人形のように見えた、、、けど、全身がドロドロの粘着質の液体か何かで覆われている。
足を引きずりながら、生徒達を追いかけている。
「あれは!妖魔と精霊が混じってる?!」
あれが、妖魔と精霊?
「あのドロドロが妖魔です!一定の距離に近づくと攻撃してきます。そして、あの人形に見えるのが精霊の、、、多分、死体なんだと思います」
つまり、妖魔って奴が精霊の抜け殻を操っているって訳か。
「きゃああああ!!」
「うわああああ!!」
人形から触手が飛び出して生徒達を攻撃するけど、、、良かった。思ったより傷は深くなさそうだ。
「リインフォース!」
身体を強化する。
学校から支給された諸刃の鉄剣を抜き、人形に近づく。
ボクに向かって触手が飛び出してくるのを剣で受け止める。
所持品の剣も同時に強化されているから、硬そうな触手の攻撃も問題ない。
触手が2本3本とどんどん増えてきた。
このままだと、捌き切れなくなりそうだ。
「コンクテーション!」
人形の動きを鈍らせる。
触手は既に10本くらい出てきているけど、鈍らせたお陰でボクの方が速い。
でも、触手を断ち切ろうとしても、強化しただけの鉄剣だと、上手く斬れない。
先は剣のように硬いのに蔓の部分は柔らかい上にドロドロしたもので覆われていて衝撃を吸収してしまう。
なら本体だ。
10本の触手を掻い潜って、人形本体に接近する。
腕や脚を斬ろうとしても、やはりドロドロが覆って斬りづらい。
「加勢しますわ!…………ファッケルの火!」
うおっ!何だ!?いきなり火がついた!
フリーデ王女すげえぇ!!
松明とか持ってないよな。
あ!これが魔法って奴?
魔法すごいな。
火がついた人形は熱に弱いのかドロドロが少し溶けていた。
「皆さん!火に弱そうですわ!囲んで一斉に浴びせますわよ!」
「「「はい!!」」」
リーカ、ベルシュ、ミスティも加わって、ほぼ同時に何かごにょごにょ言い出す。
さっきもフリーデ王女は言っていたけど、魔法を使うときのパスフレーズか何かだろうか。
「「「「ファッケルの火!」」」」
4人同時に放たれた火が人形に当たると、真っ赤な大きな火柱が上がる。
ドロドロは溶けて流れ出し、人形本来の表面が露出してくる。
その間も触手の攻撃は止まなかったけど、ボクが他の人に攻撃がいかないように防いでいた。
「ふははははは!!最後においしいところは貰うぞ!」
人形の背後から大魔王クリスが剣を振り下ろす。
人形を袈裟斬りして下まで振りきると、かたかたと人形は力をなくして、崩れ落ちた。
最後にはドロドロ部分も煙を出して溶けていった。
「これで倒せたのかしら」
「トドメを刺しておこうではないか!ふはははは!」
クリスがざくざくと剣を刺していた。実に大魔王らしさが出ている。
いつか本当に大魔王になれる日が来るといいね。
「さて、精霊なのであれば、最後にアマガエルで天に返した方が良いのだろうか」
「アマ、、、ガエル?」
「ふむ。忘れているだろうが、貴様が付けた名だぞ?」
「魔王の力です。精霊のような擬似的な生命体の中身を天に戻して無効化する魔王のユニークスキルです」
「………ちょっと待った。大魔王クリスって大魔王なの?」
「自分で大魔王クリスって言ってますよ?」
「いやほら、それはさ。この位の子供ってそう言うのに憧れたりするじゃないのさ。ちょっとカッコ付けてコーヒーをブラックで飲んだり、読めもしないのに難しい本を休み時間に読んでみたりさ」
この年齢の子だとあるよね?そういうの。
「この位の子供って、リーンハルトくんが最年少ですけどね。でも、クリス王子殿下はそう言うのではなくて!本物の魔王なんですよ」
「待ったあ!今なんて言った?」
「本物の魔王なんです」
「その前えぇ!クリス、、、、なに?」
「大魔王」
「いやいや、大魔王は黙ってて!リーカ!クリス何?」
「あ、近い、、、です、、、。皆んなの前だと恥ずかしいかも、、、」
「もう、そう言うのいいから!」
「むう。王子殿下ですよ?」
フリーデ王女ともう一人居る王子ってクリスなのかよー!
何で王子が大魔王なんてやってるのさー!
「大魔王」
「む?何だ我が友」
「キミも苦労してるんだな」
「うむ。理解者がいると言うのは、心休まるものがあるな。我は幸せ者だ」
あ、でも、本当に苦労してるのは、姉で王女のフリーデの方かもしれないな。
それに、あの王様も大変だな。
おお、それでボクのことを次期王様にしようとしてたのか。
なるほどね。
マナの消費が半端無いけど多分いけるでしょう。
「レコンストラクション!!」
崩れた壁の残骸が浮かび、元の形に組み上がる。
それでも粉々になったり、熱で溶けてしまった部分は戻らない。
不足した分を補充する。
「レプレニシュメント!!」
これで小さな隙間も全て埋まっていく。
流石にこれだけの大きさの物を復元するとごっそりとマナが減った。
「ふぅ。あ、先生。壁、元通りに治しました」
「あ、ああ。なるほど。さっきのは幻影魔法だったのか!一度壁が壊れた幻影を見せて、それを治していくように見せれば、治したようにも見えるな!ははは。なかなかやるじゃないか!」
ああ、そういう事にして、お咎めなしにしてくれる、って事か!
先生、優しいな。
「すみません、先生。以後気をつけます」
「あ、ああ、今後は気をつけるように?」
最初に話をしてくれた、えっと、フリーデ王女とクリス大魔王、、、、王女と同列の呼び方でいいものか分からないけど、大魔王。あとは、リーカやベルシュ、ミスティルテインの所に戻る。
「ははは。ちょっとだけ、火力が強めだったかな、なんて」
「ちょっとどころではないわ!校舎を壊す程のマナ弾なんて聞いたことないわよ!」
「ダミー君なんて一瞬で蒸発してましたからね」
「ふっ。さ、流石我が友!わ、我には遠く及ばないが、力を付けてきたではないか!」
「クリス、震えているわよ」
良かった、皆んなは引かないでくれていた。
クリス大魔王は我慢してるのかも知れないけど、怖がっていないよ、と一生懸命にアピールしてくれている。
流石我が友だ。
足がガクガクしているけど。
人形の方は消耗品だから気にするなと先生に言われた。
いくら消耗品だからって、お金掛かってるだろうに。
やっぱり優しい先生だな。
「それで?さっきのあの魔法はなんだったの?壊れた壁を治す魔法なんて見たことないわ」
「その前のマナ弾を消したり物凄い速さで移動したり、あれも魔法なんですか?」
「魔法、、、って何?」
「「「え?」」」
何?皆んな知ってるの?!
ああ、記憶がないからボクはその言葉を知らないのかな?
「魔法を知らないって、あなた、先程使っていたのは魔法ではないの?」
「あれは、術式だよ。魔術式」
「魔法ではないのね。確かにあのような効果の魔法ともなれば複数人で何日も掛けて、それでも成功するかどうかというものですわね」
「あ、あれは、我でも出来るのか?出来るなら是非伝授願いたい、、、のだが、ダメだろうか、、、」
大魔王が下手に出てきた!
もっと威張った方が魔王らしさがでていいんじゃないのかな。
「残念だけど、あれはライセンスが必要だから、大魔王にはできないかな」
「そ、そうか、、、。そのライセンスとやらは、貰えないものだろうか」
「え?どうだろう、、、。この国だと何処で試験やってるんだろう」
「リーンハルト。あなた記憶が無かったのではないの?何故そういった知識があるのかしら。それに、その術式?というのも、今まであなたは使ったことはなかったわ。それは記憶に関係しているの?」
「え、、、あれ?そう言われればなんで当たり前のように使えてるんだ?さっきも自然と術式名が出てきたけど、どうやって使えるようになったのか覚えてないぞ、、、」
あの術式はずっと何年も前から使えていたような気もするけど、12歳程度で何年も前からっておかしいよな。
「あなたって不思議な人ね。とても10歳とは思えないわ」
「え?ボク10歳なの?皆んなも?学校って10歳からなんだ」
「わたくしは13歳ですわ。あなたと同学年になる為にお父様に無理やり1年生にしていただいたの」
「我は12歳だぞ!兄と呼んでもいいのだぞ!」
兄が大魔王とか嫌だよ。
午後は街に出てきて、校外授業となる。
午前の男性教師の他にもう一人、こちらも優しそうな女性教師が説明をする。
「最近、街の中に出没している妖魔や悪い精霊がだんだん増えてきているらしいのです。これまでもこうやって、妖魔退治をしてきましたが、高等部だけでは追いつかなくなってきましたので中等部でも退治に出る回数を増やすことになりました」
「ねぇ、リーカ。妖魔とか精霊って何?」
「精霊も忘れちゃったんですか。精霊は天使様の部下みたいなもので、普段は夜の街灯を灯したり、川の水を浄化したり、生活に関係しているお仕事をされています」
へぇ。お仕事かあ。それって人なのか。毎晩、街灯に火を付けて回ってる、、、のか?
「あとは妖魔ですね。妖魔は妖精が暴走してしまったものと言われてますけど、実際にはどう言ったものなのか、よく分かっていないんです。妖精は精霊が使役している自動人形の事です。あ、リーンハルトくんが作ってくれたシルフも妖精の一種ですね」
「ボクが妖精を作った?」
「ああ!すみません!記憶をなくす前の事でした」
とにかくその妖魔だとか精霊が街に現れて暴れていると。
それを退治してまわっているんだな。
「妖魔や悪い精霊は殆ど移動はせず一箇所に留まっています。だから、見つけてもすぐに攻撃はせずに、皆んなが集まるのを待ちましょうね」
「「「はーい」」」
何人かのグループに分かれて街の中を探索する。
妖魔や精霊を見つけたら先生から渡されている笛を吹いて他の人達に知らせる事になっている。
「この辺は居ない、と」
「先生に言われた程居ませんね」
「出るところにはまとまって出るらしいから、ここは違うのかも知れないわね」
これがいつものメンバーらしく、誰も何も言わずに、このグループが出来た。
フリーデ王女、クリス大魔王、リーカ、ベルシュ、ミスティ、そして、ボクだ。
ミスティルテインは長くて呼びづらいからミスティと呼ぶ事にした。
そう呼んだら、ミスティは「あ、ああ!とうとう我にも春が!お色直しは3回が希望!」と、よく分からない事を小声で叫んでいた。愛称自体は嫌がっていないようだから、そのままミスティで呼んでいる。
「あら、1年生もこの時間は外回りなのですね。わ!リーンハルトさん!ご無事だったのですね!」
「お、お前!今まで何処で何やってたんだよ!」
「え?ボク?」
誰だこの人達。
一人は大人っぽくてとても綺麗な人だ。
何故かボクをジッと見つめている。
いや違うか、そんな訳ないか。
女の子と目が合ったとか、若者の勘違いじゃないんだから。
あ、いや、若者だった、、、。
「リーンハルトさん?別の体で蘇生される筈と聞きましたが、元の体に戻られたのですね。わたくし、あなたが死んでしまったのを見て、その場で跡追いをしてしまおうかと思っていましたから、あの時は何とか耐えて良かったです」
「会長?!何を言って、、、そうなったらボクも跡を追いかけます!死ぬ時は一緒です!」
「えっと、死んじゃうのはダメですよ?お二人とも」
「はい。そうですね。死んでいたら今リーンハルトさんに会えませんでしたもの」
「ふ、ふん。ボクだってお前に死なれるのは嫌だからな。ボクも死なないであげるけども!」
それではわたくし達は、と言って二人は学校へ戻っていった。
一度休憩を挟むそうだ。
しかし、綺麗な人だったなあ。
ボクの知り合いだったみたいだけど、誰なんだろう。
「はああ、相変わらずお綺麗ですよね。生徒会長さん」
「生徒会長?あの美人さん?」
「はいぃ!頭も良くって、魔法も剣術も何でも出来るんですよ!それに、リーンハルトくんって生徒会長さんに気に入られていたんですよ?今だってリーンハルトくんにしか話していませんでしたよ」
そう言われればそうだけど、、、。
「あ、さっきその生徒会長さんが言っていた、ボクが死んでしまったって、、、何?」
「いやあ、、、そのう、、、前のノルド侵攻の時にリーンハルトくんって一度死んじゃってるですよ」
「へぇ、、、、え?!死んだ?ボクが?だって今生きてるよ?」
「え、ええ。その後、女の子の体に入って生活していたらしいんですけど、それが昨日、元の体が治ったので、元通りになったんです」
「え?何の話、、、」
とにかくボクは一度死んでから、生き返ったみたいだ。
本当かな。
ピィー、ピィー!
笛の音がした!
近くだ!
「皆んな行こう!」
笛の鳴った辺りに行くと、公園では戦闘が始まっていた。
仲間が来るのを待つようにって言われてたのに!
敵は人形のように見えた、、、けど、全身がドロドロの粘着質の液体か何かで覆われている。
足を引きずりながら、生徒達を追いかけている。
「あれは!妖魔と精霊が混じってる?!」
あれが、妖魔と精霊?
「あのドロドロが妖魔です!一定の距離に近づくと攻撃してきます。そして、あの人形に見えるのが精霊の、、、多分、死体なんだと思います」
つまり、妖魔って奴が精霊の抜け殻を操っているって訳か。
「きゃああああ!!」
「うわああああ!!」
人形から触手が飛び出して生徒達を攻撃するけど、、、良かった。思ったより傷は深くなさそうだ。
「リインフォース!」
身体を強化する。
学校から支給された諸刃の鉄剣を抜き、人形に近づく。
ボクに向かって触手が飛び出してくるのを剣で受け止める。
所持品の剣も同時に強化されているから、硬そうな触手の攻撃も問題ない。
触手が2本3本とどんどん増えてきた。
このままだと、捌き切れなくなりそうだ。
「コンクテーション!」
人形の動きを鈍らせる。
触手は既に10本くらい出てきているけど、鈍らせたお陰でボクの方が速い。
でも、触手を断ち切ろうとしても、強化しただけの鉄剣だと、上手く斬れない。
先は剣のように硬いのに蔓の部分は柔らかい上にドロドロしたもので覆われていて衝撃を吸収してしまう。
なら本体だ。
10本の触手を掻い潜って、人形本体に接近する。
腕や脚を斬ろうとしても、やはりドロドロが覆って斬りづらい。
「加勢しますわ!…………ファッケルの火!」
うおっ!何だ!?いきなり火がついた!
フリーデ王女すげえぇ!!
松明とか持ってないよな。
あ!これが魔法って奴?
魔法すごいな。
火がついた人形は熱に弱いのかドロドロが少し溶けていた。
「皆さん!火に弱そうですわ!囲んで一斉に浴びせますわよ!」
「「「はい!!」」」
リーカ、ベルシュ、ミスティも加わって、ほぼ同時に何かごにょごにょ言い出す。
さっきもフリーデ王女は言っていたけど、魔法を使うときのパスフレーズか何かだろうか。
「「「「ファッケルの火!」」」」
4人同時に放たれた火が人形に当たると、真っ赤な大きな火柱が上がる。
ドロドロは溶けて流れ出し、人形本来の表面が露出してくる。
その間も触手の攻撃は止まなかったけど、ボクが他の人に攻撃がいかないように防いでいた。
「ふははははは!!最後においしいところは貰うぞ!」
人形の背後から大魔王クリスが剣を振り下ろす。
人形を袈裟斬りして下まで振りきると、かたかたと人形は力をなくして、崩れ落ちた。
最後にはドロドロ部分も煙を出して溶けていった。
「これで倒せたのかしら」
「トドメを刺しておこうではないか!ふはははは!」
クリスがざくざくと剣を刺していた。実に大魔王らしさが出ている。
いつか本当に大魔王になれる日が来るといいね。
「さて、精霊なのであれば、最後にアマガエルで天に返した方が良いのだろうか」
「アマ、、、ガエル?」
「ふむ。忘れているだろうが、貴様が付けた名だぞ?」
「魔王の力です。精霊のような擬似的な生命体の中身を天に戻して無効化する魔王のユニークスキルです」
「………ちょっと待った。大魔王クリスって大魔王なの?」
「自分で大魔王クリスって言ってますよ?」
「いやほら、それはさ。この位の子供ってそう言うのに憧れたりするじゃないのさ。ちょっとカッコ付けてコーヒーをブラックで飲んだり、読めもしないのに難しい本を休み時間に読んでみたりさ」
この年齢の子だとあるよね?そういうの。
「この位の子供って、リーンハルトくんが最年少ですけどね。でも、クリス王子殿下はそう言うのではなくて!本物の魔王なんですよ」
「待ったあ!今なんて言った?」
「本物の魔王なんです」
「その前えぇ!クリス、、、、なに?」
「大魔王」
「いやいや、大魔王は黙ってて!リーカ!クリス何?」
「あ、近い、、、です、、、。皆んなの前だと恥ずかしいかも、、、」
「もう、そう言うのいいから!」
「むう。王子殿下ですよ?」
フリーデ王女ともう一人居る王子ってクリスなのかよー!
何で王子が大魔王なんてやってるのさー!
「大魔王」
「む?何だ我が友」
「キミも苦労してるんだな」
「うむ。理解者がいると言うのは、心休まるものがあるな。我は幸せ者だ」
あ、でも、本当に苦労してるのは、姉で王女のフリーデの方かもしれないな。
それに、あの王様も大変だな。
おお、それでボクのことを次期王様にしようとしてたのか。
なるほどね。
0
あなたにおすすめの小説
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
遊鷹太
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました
東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。
王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。
だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。
行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。
冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。
無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――!
王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。
これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる