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第47話 冷やかし

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翌日、朝7時に呼び鈴が鳴った。

パジャマのままインターフォンにでると、マユユンだった。

「朝御飯どーします?」

全く考えてなかった。自力で調達しないと食事が無いのをすっかり忘れていた。

「コンビニのお弁当で良ければ買ってきますよぉ。」

「いや、ちょっと待ってて着替えてくる。」

とりあえず、着替えて外に出る。

「お待たせ。」

「いいえー。」

マユユンはすぐに腕に引っ付く。うわっ!昨日風呂に入ってない。

「ちょっ!マユユン。ごめん、昨日風呂に入ってないから臭いかもだから引っ付くのやめて。」

「気にしなくて良いですよぉ。マスターの匂いなら、臭くないです。」

「臭いかも知れないじゃん。」

「好きな人の匂いは臭くないんです。」

はぁ、そうですか…

「まあ、そう言うならいいか。」

俺たちはファミレスのモーニングにすることにした。

マユユンがコンビニで買うより安いと言うのだ。

途中、牛丼屋の前を通ると、セシーさんが納豆定食を食べているのを発見した。

結構混んでいたので、そのままスルーした。

目立ち過ぎる。良く平気だな。

二人でファミレスで食べているとセシーから連絡があり、10時にセシーの部屋で集合となった。

マユユンにその事を伝えて、食事後部屋に戻りシャワーを浴びてから、セシーの部屋に向かった。

部屋に入ると、更にゴージャスに変貌を遂げていた。

観葉植物や花瓶、壁には絵画(西洋のお城の絵)が増えていた。

リビングに通され、セシーがお茶をいれてくれた。

「随分と仲良くなったものねぇ。ワンコにもう食べられちゃった?」

「なんでそーなるんですか!!」

「マユユンは肉食系じゃないですよぉ!」

「腕組んで町を歩いてるのに?」

「どこで見たんですか!!」

「さっき、ここに来たときにロビーのカメラからよ?私が尾行とかするわけないじゃんょ?」

さすが高級マンション、無駄に設備が揃ってやがる。

「そうやって二人して顔を赤くしてると怪しいなぁ。」

なんにもなかったけど、からかわれて動揺してる自分に驚いた。

「昨日、引っ越し祝いで飲んで、コミュニケーションが深まっただけだよ。」

「そか、それは良いことだね。」

さらっと流しやがった。冷やかしといて放置かよっ!

「でさ?専門家を探していろいろ知りたいんだけど、マユユンも一緒に授業受ける?」

「授業によって考えます。」

「そーだね。正樹に合わせて基礎から行くから、つまらないかも知れないね。」

「セシーさんに合わせてるところもあるからな!!」

「それは当たり前。日本人しか知らないことなんか知らないに決まってるじゃんょ。」

チッ!嫌味にもならない。

「そーゆー訳で、今日はみんなでスーツを買いに行こう!」

なんで?

「私はスーツ有りますよぉ。」

「新しいの買わなくて良い?」

「はい、大丈夫です。」

話が進んで行ってる。

「なんでスーツなんか?」

「偉い人に会うためじゃないんですかぁ?」

「そうか。」

日本人はスーツを着てるだけで、キチンとした人間だと認識してしまう。非常に変態なんだった。

その後、スーツを買いにまたまたショッピングモールへと向かった。 
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