32 / 33
第三十二話
グルコと誘拐犯・前編
しおりを挟む「あなたは今から人質よ。よろしくね!」
ロカン王国の西の国境を超え隣国の町で買い物をしていた
目当ての干物屋で珍しい干物を仕入れウキウキしていた
国境行きの町馬車は3時間後
運行まで暇なので質屋に寄ることにした
「これは?」
「ツノガエルのマスコットです」
俺が内職の傍らチクチク縫った一点物です
「カエルには見えないが?」
失敗作ですから
コソリ「重要なのは形より素材です。山神蜘蛛の毛皮製ですよ」
「なんとっ!」
お~ この反応いいねぇ~
しかし鑑定魔法陣の刻まれた木版にのせたが無反応だった
コソリ「市場に出ない裏物か?」
コソリ「王国では20ゴールドで取引されてます」
「これに手をのせて」
もう一つの魔法陣の刻まれた木版 嘘発見魔道具だな
「ハイハイ」
20ゴールドは災害支援寄付金の値段 山神蜘蛛のマスコットはその記念品だから嘘ではない
「よろしい。希望額は?」
「お任せします」
コソリ「10ゴールドでどうだ?」
お~ さすが山神蜘蛛だな
コソリ「良いでしょう。お譲りします」
質屋の店主が鑑定した質草の値段にケチはつけない
ここでの取引はスムーズに終わらせる
「このカエルの文鎮とレターセットをいただきます。引いてくださいね」
「毎度あり。あんた、カエルが好きなんだね」
うふ「大好きです」
「先月、裏通りに爬虫類専門店が開店した。寄ってみるといいよ」
「ハイハイ」
ウキウキと足を運んだ
新調した腰痛コルセットが体に合っていて 神経痛の薬も良く効いていて とにかく俺はずっとウキウキしっぱなしだった
で
油断した
「これは名札か?王国語は読めんな」
「これは金庫の鍵かしら?」
「玄関」
そうそう
「それにしても随分と大人しい人質だな」
「病気かしら?」
「激やせ」
それなりに稼いでそれなりに生活しているが貯金はあまりない
退職金の一部を利子の高い定期預金にしたが満期は8年後
途中解約は元金しか保証されていない
あれだけは絶対に死守したい
「ねえ、身代金、いくら出せる?」
なぜ誘拐犯が人質にそれを聞くのかな?
「本人に聞いてどうする」
この人がリーダーか?
「だって無い袖は振れないでしょ?交渉を時短しましょ」
よくわかってるなぁ
「情報大事」
そうそう お互いにね
実行犯は3人だけのようだ
リーダーっぽい男性 のほほんとした女性 口数の少ない男性
「来週、息子の誕生日なのよ。それまでに済ませたいわ」
いらない情報ゲットだぜ
「いくつになるんだ?」
「3歳よ」
「もうそんなか?君のところは?」
「5歳」
またいらない情報ゲットだぜ
「うちの末っ子と同じなのか」
「まあ、そんなに?」
「子供の成長は早いよなぁ」
「うん」
そのあと子供自慢大会が始まった 何の足しにもならない情報をペラペラと聞かされる
誘拐犯グループだよね?
なんか退屈で眠くなってきた 長椅子で横になりたい
〈ふわぁ~〉
「あ。人質のくせに欠伸」
「失礼なやつ」
「緊張感が足りないわ」
いや 無理でしょ
「ねえ、いくら出せるのよ?」
「王国の魔塔は金持ちなんだろ?」
「一億ゴールド」
なるほどなるほど人違い誘拐だったのか
王国の魔塔と交渉するんだな 無謀すぎて全く笑えない 命が惜しくないのかね
「10ゴールドくらいなら即金ですかね」
俺の所持金 ポケットから財布を出しテーブルに置いた
「ふざけるな。今ので値上げだ」
「二億ゴールド」
「頑張れば出せるわよね?」
「あのですよ。俺を誰だか知ってて誘拐したんですよね?」
魔塔の誰を狙ったのかな
「王国の副魔塔主さんでしょ?身代金が一億ゴールドは下らないって聞いたわよ?」
誰に?
「爬虫類専門店、黒髪で薄緑のローブ、麻のリュック。全力で痩せた男。情報屋から仕入れた通りだったよ」
まさに俺だな
しかしまあ よりによって副魔塔主狙いとはね
高位の魔術師のマクさんをこんな拘束具だけで誘拐できるわけないでしょ
右手首に嵌められたブカブカで抜け落ちそうな腕輪
魔力抑制魔道具らしいけど魔力無しの俺には何ら意味を成さない
3対1では敵わないので無抵抗を選択しただけ
「ね、交渉人は何で決める?」
「ジャンケンはどーだ?」
「あなたスキル使うからダメ」
「ポーカー」
「お。トランプ持ってるのか」
「ファイブカード・ドローにしましょ」
なんだろか
勇者ごっこに飽きて誘拐犯ごっこしてる子供みたいな感じ
まあ真相はどうあれここは隣国 この町の憲兵が王国民の俺を助ける保証は皆無だ
身代金の交渉が始まるまでは大人しく従うしかない
〈シャッ シャッ シャッ シャッ〉
「あの、当たり前のように配られましたが?」
「仲間はずれは可哀想だろ」
安宿の4人掛けテーブルは満席 いかにもな雰囲気だけど これは違うよね
「人数が多い方が楽しいわ」
「うん」
「ところでなんですが、魔塔側の交渉人は魔塔主を指名するんですか?」
「そうなるな」
んーーー できればマクさんを指名したいんだけど交渉してみるか?
「ぷっ」
交渉人を交渉して指名って なんじゃそりゃ
「やだなに?」
「いいカードか?」
「罠かも」
あれ? でも副魔塔主じゃないとバレたら俺はどうなる?
この人たちは計画を続行するのか?その際交渉相手はナナフシ薬局?
え?マジで?
店長は留守だ じゃあボリルとズナ? いや無理無理 まさか入り浸り常連客の酔っぱらいたちか?
「ねえ、交渉人って何するの?」
ニコニコと手元のトランプをジッと食い入るように見ている いい札がきたんだな
「まず魔塔主にアポ取りだな。次に身代金を交渉する。おっ」
嬉しそうな顔
「高級黒毛和牛の初競りみたいな感じかしら?」
「違うね。いかに高く売るか、いかに安く買うか、商談みたいな感じだよ」
「ふぅん。で、勝った人?負けた人?」
「負けた人だろ」
「めんどくさい」
めんどくさいならやめなよ
〈ふうぅーーー〉
「あ。人質のくせに深い溜息。ブタ?」
「失礼なやつ。罠かも」
「緊張感が足りないわ。ブタ?」
「それじゃあ、いくわよ」
「いいか?せーのっ」
《ショーダウンッ!》
息ピッタリだな 4人一斉にカードを開示
《ギョギョギョッ》
「フルハウスッ!?」
「人質のクセに!」
「イカサマ!」
2のワンペアを開示した口数の少ない人が交渉人に決まった
この人が相手ならボリルとズナでも交渉できるかも?
町の外れのナナフシ薬局
店長が帝国で開廷した国際裁判に召喚されたため長期の店休となっているが
洞窟風古民家BARナナフシ薬局は開店中
店長の昔馴染たちがいつものように勝手に薬局のカウンターで酒盛りをしている
「グルコが帰らない?」
「うん」
不安そうな子供馬ボリル
「隣国に行ったきりなの」
心配そうなシロアリのデカイ亜種ズナ
「マク、町馬車の最終便は?」
「1時間前に通過しています。」
「ボリル、波長は?」
「感じない」
「ズナ、探索魔法は?」
「見つからない」
「ということは、まだ隣国ですね。国境城壁を越えていません。」
ピンッ「女だ!色街だ!羨ましいっ!」
シンケー領の領主らしからぬ発言
「バカねぇ。あのグルコよ?女遊びするタイプじゃないわ」
「あー、確かに」
「んじゃ賭博か?地下組織が運営する闇賭博か?すっげー楽しいって噂聞いたぞ」
冒険者ギルドのギルマスらしからぬ発言
「あのね、ケチケチグルコよ?」
「あー、賭博はしねぇか」
「まあ、どちらにしても、グルコさんは無断外泊はしませんよ。」
「それもそーだな」
ふむ「ボリルたんとズナたんをほっとくはずがないよな」
「西さんが帝国へ立つ前にグルコさんに強力な防御魔法を掛けてましたよね?」
「そーだ!えげつないのを掛けてた!」
「ケガの心配はないわね」
「馬車に乗り遅れたのかな?」
「迷子かな?」
子供の発想はあくまで子供仕様
「どうかしらねぇ」
「国境の門、ちょこっとだけ開けられないの?隙間があれば探索魔法できるよ?」
「ズナさん、国境城壁の結界魔法は王国と隣国の戦争を防ぐ為に国際連盟が定めた法律です。国境の通行門扉は開閉できますが、門扉だけ結界魔法を解除しているわけではないんですよ。」
「マク難しい」
「早口わかんない」
「門を開けても結界魔法は解除されないから、グルコは見つからないってことよ」
「そっか」シュン
「なあ、明日の朝、国境の開門まで様子をみたらどうだ?」
「そうね」
「オレは明日は休みだから今夜ここで待機するよ」
「私も領主の仕事は特にない。心配だから泊まるよ」
「今夜ボリルと寝る気でしょ」
「うふっ」
「領主はダメ」
「寝室立入禁止」
「むうぅー」
「魔塔主、明日は有休にしますか?」
「そうね。ボリル、ズナ、今夜は皆んなで泊まり込むわ。できる限り情報を集めるわね」
「私たちに任せなさい」
「一応わかった」
「一応任せる」
「それで、転送ポストを使わせて欲しいのだが」
「うん、いーよ」テコテコ
カウンター端の壁 転送ポスト
詠唱「使用者限定解除」
ポストがキラキラと光る
〈使用者限定解除されました〉
「ところで、二人は夕飯は食べたの?」
「うん」
「さっき食べた」
よく見ると口の周りに食べカスが付いている
「随分と遅い夕飯ね」
「グルコ待ってた」
「そう。歯磨きしてもう寝なさい」
「うん」テコテコ
「おやすみなさい」サワサワ
通り口からしょんぼりと去ってゆく
「元気なかったわね」
「親も同然の家族だからなぁ」
「二人ともしっかりしてるけど、心細いでしょうね。」
「添い寝してあげたい」
「あのよぉ。二人が居たから話さなかったけど、グルコはひょっとしてアレじゃないか?」
「そうですね。私も真っ先にアレだと思いました。」
「アレって何よ?」
「誘拐だ」
厳しい表情の領主
ギルマスとマクがうんうんと頷く
「えー?こんな町外れの薬局、たいして身代金出せないでしょ?しかも交渉相手の西は不在なのよ?」
「それだよ。あえて西の留守を狙ったんじゃないか?犯人の狙いは身代金ではない可能性が高い」
ピンッ「ボリルとズナ!」
「ああ。王国ではにわかに亜種ブームがおこっている。隣国にも二人を欲しがる輩がいてもおかしくない。ボリルたんとズナたんの可愛さは万国共通なのだ」
「ナナフシ薬局を二人だけにする計画ね?」
「犯人はグルコさんの往来手形を使い既に入国し、領内に潜んでいる可能性がありますね。」
「だけどよぉ、いま薬局の敷地はガッチガチに結界が張られていて、グルコの許可なく勝手には入れんだろ?」
「そんなに強いのか?」
「町馬車道にも影響しているそうよ」
「影響?」
「馬がこの辺りで苦しみながら歩くって。疲労が半端ないって。西代表代理のわたしに町役場から苦情がきたのよ」
「馬は大丈夫なのか?」
「賠償金の話はなかったから大丈夫でしょ」
「根性あるなぁ」
「シンケー領の馬ですからね。」
「ま。犯人が二人を掻っ攫う計画は不法侵入できずに失敗となるわけだ」
「次の手は、グルコと二人を交換か?」
「その要求は断固拒否するぞ」
「おう。防御魔法が掛かってるから何されても死なねーだろ」
「今のグルコは最強だわね。西が帰ったら奪還させればいいのよ」
「それもそーだな」
「あの、飢えて死ぬことはないんですか?」
《あ》
「つーことは、西の代わりに私たちが誘拐犯と交渉するのか?めんどくせぇな」
「ジャンケンで負けたやつなぁ」
「あら、マクがいるじゃない」
「ぇ」
「だな」
「決まりだな」
「飢え死にさせないでよ?」
「⋯⋯。」
「まずはグルコの足取りを追ってみるか。町馬車の情報は町役場だよな」
「いや、町役場の情報開示には手続きが必要だ。時間がかかりすぎる。そして色々めんどくせぇ」
「そうね。後手後手になるわね」
「商業ギルドはどうだ?行商人から情報が得られるかもしれん」
「グルコの往来手形の記録も調べてもらいましょ」
ププッ「なんか普通の誘拐事件みたいだな」
「あらほんと。あとで王都新聞に取材させましょう」
「独占記事、オファー料金ふんだくろう」
「マク、ちゃんと交渉しなさいね」
「ノルマは3割増だ」
「⋯⋯。」
「しかしよぉ、身代金なりボリルたちなり犯人の要求をのんでもよ、グルコが解放される可能性はないよな?」
「そーだな」
「人質誘拐の定番よね。わたしだったら無事に逃げきったら解放せずに消すわね」
「私もだ」
「オレもだ」
「⋯⋯。」
「まあ、ようするにだ。グルコを目の前に連れて来るよう訴えて、連れて来たら我々が戦って勝てば良いって事だな」
「なるほど。安否確認が前提なんだな」
「グルコを連れて来いって言うのよ?わかった、マク?」
「⋯⋯。」
「あとひとつ、交渉人のやるべき大事な仕事がある」
「身代金できるだけ値切りなさいね」
「ノルマは3割引だ」
「⋯⋯。」
隣国 漁業の盛んな海の国
南北縦に細長く その長さは大陸西海岸の半分を占めている
そのほぼ中央にある王国と隣接する国境領は国境城壁沿いに深い森を持ち かつてこの森の所有権を巡って戦争が絶えなかった
深い森を抜けると行商人の往来の多い貿易が盛んな町がある
国境街道から分岐した馬車道沿いに宿泊施設が立ち並んでいる
ほとんどが国境開門待ちの行商人向けに建てられた戸建て施設だ
施設の1階は厩舎付きの馬車庫で2階が客室
建物全体に防犯魔法が掛けられている安心安全設計らしい
一度泊まってみたかったが
「お湯がぬるかったわ」
「トイレは手動だった」
「臭い」
俺が連れて来られたのは街道から奥まった路地裏の安宿だった
荷馬車を持たない一般人向けの古い素泊まり宿だった
残念
「あなた、お風呂はどうする?」
ぬるいんでしょ
「結構です」
「あっそ」
収納魔法からやたらお高そうな酒やグラスを出しテーブルに並べ出した
誘拐犯グループのリーダーと覚しき男性が俺の横に立つ
収納魔法から焦げ茶色の木製の弁当箱を4つ出し並べ蓋を開けた
「牛肉と鹿肉と豚肉と、何か味付けの薄そうな野菜だけの弁当、どれにする?」
「え?」
俺の分もあるの?しかも最初に選ばせてくれるの?
「じゃあ、野菜をお願いします」
「豚肉弁当がおすすめだよ?」
堅そうなステーキがドドンと2枚 なんか臭い これは豚肉じゃなくてワイルドボアだな
「野菜が食べたいです」
「負けた」
なにが?
「ほ~らね!私の勝ちぃ~」
なにが?
「むぅー、痩せの大食いじゃなかったかぁ」
ふふん「肉食獣は顎関節が太いのよ~。こんなホッソリしていないのよ~」
人間なんですけど
「なるほどなぁ」
「流石だ」
どこがだ
〈チャリン〉
〈チャリン〉
うふふふ「やったぁ~」
マジか 金貨をかけてたのかよ
「あ。お酒のツマミを買い忘れた。何か持ってるか?」
「ない」
「お酒の係だから準備してないわよ」
「そうか。買いに行くか」
「一人歩きダメ」
子供かな
「えー、二人きりはダメよ」
人質だけど男だからな
「私が行くわ」
「ダメ」
過保護かな
「そうだなぁ。ならばツマミなしで飲むとしよう」
「空飲みは体に悪いわよ?」
「急性アルコール中毒」
飲まなきゃいーのに 普通に食後に飲めばいーのに
「だがなぁ、食前酒がないと食欲がわかないよ」
「それはそうだけど⋯」
「臭い⋯」
この弁当 どれも不味そうだもんなぁ
「あの、お話し中失礼します。魚の干物なら色々ありますよ?俺が炙りましょうか?」
この干物を今夜のツマミにしたかったのだ
炙りながら味見をしちゃおう作戦ど~よ?
「お。いーね」
あっさり作戦大成功
「魚か。白ワインあるか?」
「持ってるわ。合うかしら?」
「合います。俺も白ワインのツマミ用に買いましたから。チーズの燻製もいかがです?その赤ワインに合いますよ」
「いただくわ」
「お代は払うよ」
マジか
〈チャリン〉
隣国銀貨2枚
王国の倍の価値だ 払い過ぎだろ 金銭感覚どんなだよ
「1枚でいいです」
「そーかい?まけてもらって悪いね」
「いえいえ、物価が違います。これ、アーモンドおまけしますね」
「ありがとう」
「親切な人質で良かったわ」
「あなたもどうぞ」
お高そうなワイングラスが置かれた
「ありがとうございます」
リュックから保冷魔道具バッグを出す
拘束具は右手首の腕輪があるだけで何も不自由がないというラフな人質仕様
ほんとおかしな誘拐事件に巻き込まれたもんだ
身代金
シンケー領の物価に合わせて安くしてくれないかなぁ
ー商業ギルドー
〈アーブクタッターニエタッターアーブクタッターニエタッター〉
「ギルマス、ナナフシ薬局から通知です。発信は東代表ですね。」
「ありがとう。明日は閉館日だから、戸締まりをしっかり確認して帰ってね。」
「はーい」
[今日、隣国の町でグルコを見た行商人はいるかしら?
グルコの往来手形で帰国記録はあるかしら?
なる早で調べてちょうだいね]
「何これ?」
ー冒険者ギルドー
〈アーブクタッターニエタッターアーブクタッターニエタッター〉
「サブマス、ナナフシ薬局から通知です。発信者はギルマスです。」
「ありがとう。君たちは戸締まり消灯を確認して帰りなさい。」
《はい。》
[隣国の国境領の町で悪い事するやつを教えてくれ。なる早で]
「何ですって?」
ー領主邸ー
〈アーブクタッターニエタッターアーブクタッターニエタッター〉
「奥様、ナナフシ薬局から届きました。旦那様からです。」
「あのボンクラ。また薬局でタダ酒かっくらってるのね」
[ナナフシ薬局緊急事態のため今夜は泊まります]
「何これ?」
「私にも読めませんね。悪筆にも程があります。」
「いや、読めるんだけど、何これ?」
素泊まり宿の2階の窓 見おろすと路地裏の入り組んだ細い歩道で酔っぱらいが憲兵と揉めていた
「横柄な態度だな」
「やな感じね」
「野蛮人」
「窓、閉めますよ」
あんなのが町の治安を守る憲兵とかダメだろ
「でねぇ、息子が言うにはねぇ、あの子が1歳の時に死んだ父親の顔を覚えてるって、特徴をツラツラ当てたのよぉ。どう思う?」
空のグラスを洗浄魔法でキレイにして お高そうなウイスキーを波々と注いでくれた
「俺に聞かれても」
「人から聞いた話を自分の記憶と混同してるんじゃないのかな?どう思う?」
弁当の食べ残し ブロッコリーを皿に置かれた
「俺に聞かれても」
「忘れた記憶を操作する魔道具はあるけど子供の体には副作用が出やすい。国際法で10歳未満の子供への使用は禁止されている。
誰かが違法に使用した可能性があるなら今後何かしらの副作用が心配だ」
よくしゃべるなぁ 口数の少なかった人がテーブルにチョコレートを置いた
「⋯⋯」
「どう思う?」
「人間の記憶は経験です。五感だけではなく魔力という六感が加わることにより、より一層の経験を記憶します。
魔道具の使用による副作用の多くは記憶に反応したものだと推測されています」
「つまり?」
「魔道具を使われた経験があるならそれも記憶されてるはずなので、本人に直接魔道具を見せて反応するかを確認することをお勧めします。副作用はその時に発現する可能性が高いということです。
いつどこで起こるかわからない副作用を懸念するより、一度自分の目の前で確認するべきですね」
「確かにそうだな」
「ええ、その通りだわ」
「副作用が発現せず、その魔道具を知らないと答えたら?」
「本当に父親を覚えているんですよ。その時は信じてあげてください。大切な思い出ですから」
「うちに使っていない魔道具がいくつかあるな。見せてみるか?」
「いいの?」
「ああ。どれも型落ち版だが見た目はそう大差ない。帰国したら連れておいで」
「お願いするわ」
「父親の事、覚えてたら嬉しいよな」
「そうね⋯そうね⋯」
こうして誘拐犯と人質の交流は深夜にまで及んだ
帰国って言ったよな?
洞窟風古民家BARナナフシ薬局
「帝国行商人を装った行方不明者です。」
商業ギルドのギルマスがカウンターに3枚 人相書きを並べた
「まさか、この3人も誘拐されたのか?」
「その可能性が高いです。」
「サブマス、国境領の悪いやつの情報はあったか?」
「はい。地下組織のボスや幹部が昼間から町中をうろついていたそうです。」
「誰からの情報だ?」
「言えません。」
「オレはギルマスだぞ?」
「秘匿魔法を交わしました。」
チッ「姑息な奴め」
クスクス「情報元を秘匿するのは常識でしょ?」
「ぐぬっ」
「ちょっと内輪揉めは後にして。それで、この3人は誰なの?」
「帝国の皇族の外縁です。帝国の行商人に化けた警備隊が躍起になって探し回っています。」
「全員が行商人に化けてるのか?」
「はい。その方が国境超えがしやすいですからね。」
「警備隊が身分の偽装行為を明かしたのか?」
「はい。この3人が行商人の往来手形を使いシンケー領の国境を通ったら報告して欲しいと依頼されました。
事情も分からずに協力はできませんので。」
「私たちに話せるということは秘匿魔法は交わさなかったのか?」
「お話しを聞く前に、秘匿魔法を交わすなら依頼は受けないとお断りしたんです。」
「それに応じる程、切羽詰まってたんだな」
「ええ。かなり。」
「地下組織が3人を攫ったとしてだ。グルコの行方不明の真相は?」
「タイミング的に地下組織が絡んでいて間違いないと思います。」
「また巻き込まれたのか?」
「おそらく。」
「誘拐犯の狙いは身代金でもボリルとズナでもなかった?」
「そのようですね。」
「交渉人やらなくて済んだわね」
「そうですね。」
「問題は、大人を4人も誘拐した目的ですね。」
「奴隷商人に売り飛ばすつもりか?」
ピクッ「領主」
「あ」
「どーいうことかしら?」
「や、その、例えばだ」
「国際法、忘れちゃったのかしら?」
「覚えてるよ勿論。例えばの話だって」
「百年前。奴隷制度廃止の陣頭指揮を執ったのは誰かしら?」
「東」
「ああ?」
「の魔女さんです」
「お利口さん」
悪魔に頭をナデナデされる非力な子羊が一匹
「実は失敗だったのかしら?史実には噓が残されたのかしら?」
胸ぐらを掴んだ
「わ、悪いやつはしぶといだろ?」
「東の魔女さんが根絶やしにしたわ」
「それは大陸だろ?どこか海外とかにさ⋯」
「奴らの生き残り、血族がいるだろうなって考えたのね?」
「そうそう。奴隷魔法スキルは遺伝だからな」
「ふーん、そう。で、この件を何で奴隷狩りと考えたのかしら?」
「それは、ほら、行方不明者が立て続けに4人もいるだろ?史実にある奴隷商人の奴隷狩りに似てるだろ?」
「ふーん。マクもそうなの?」
「いいえ。このタイミングで帝国皇族筋の行方不明ですから、私はその3人は亡命したのではと考えました。」
「商業は?」
「私も亡命です。」
「冒険は?」
「オレも亡命だ」
「ですってよ?」
ズイズイと詰め寄る
「うぐぅ」
ヘビに睨まれたカエル
「領主。隣国に奴隷商人がいるのね?」
室内にドライアイスの冷気のような白い冷たい魔力が満たされた
「し、し、商人はわからん。奴隷はいる。だから商人もいると考えている」
赤い爪の美しい手が領主の前髪を鷲掴みにする
「元締めは誰なの?」
冷たい汗が背中をつたう
「こ、国境領の領主だっ!」
しばしの沈黙
「婿養子に行ったあなたの息子、隣国で何してるの?」
「う、海辺の領の商業ギルドで事務員をしている」
「国境領の領主にしてあげるわ」
《え?》
魔塔主の突拍子もない発言に一同あ然
「わたしが悪徳領主をぶっ潰すから、息子に領主をやらせなさい」
《え?》
「奴隷魔法の解除は難しいわ。魔力も足りない。あなた達、わたしに魔力を供給しなさいね」
《え?》
鷲掴みにした前髪から魔力がグングン抜かれていく
「うぐっ おまえ」
「結構溜めてるじゃないの。明日もよろしくね」
「開門したら決戦よ。おやすみ」
パッチン〈パッ〉
指パッチンで転移魔法発動
行き先はボリルたちの寝室
「領主さん?」
「大丈夫か?」
「生きてます?」
「気絶してますね。」
「気絶してるの?」
「いや、熟睡してるだけだな」
「ご遺体」
クスッ「そうね。墓地で寝ていたら間違って土葬されちゃいそう」
「ほら、グルコ君。起きなさい」
体をユサユサされ腰の痛みで覚醒した
「土葬しちゃいますよ~?」
そりゃいかん
「う。おはです」
頭が割れそうだ 二日酔いだな
のそりと体を起こす
「イテテ」
「腰痛か?」
「ですね。二日酔いもです」
「君、最後まで酒を飲んでたからなぁ」
「すまし汁で締めないんだもの」
「自業自得」
ハハハ「ですよね」
店長が掛けてくれた強い防御魔法は腰痛も二日酔いも防御しないのか
何を防御するのか効能・効果を聞いとけば良かったなぁ
国境行きの始発便は俺たちの貸切だった
国境領の町から延々と続く深い森の街道
5線馬車道 一番端は町馬車専用線
馬は穏やかな朝の散歩でもするかのようにのんびりと歩む
その横を行商人の荷馬車がドカドカガタガタ賑やかに追い越してゆく
うふふ「町馬車、初めて」
「歩く速さだな」
「イライラする」
「病人やケガ人の運搬にも使われるので丁寧に走るんですよ」
昨夜
俺たちは酒の勢いで身分を明かしあった
この3人が帝国皇族筋と聞いてすぐに納得した
驚かない俺に驚いていた
「グルコさん、ハーブ石鹸はあるかしら?」
「薬草石鹸ですね。ありますよ」
「薬草⋯。ダサいわね」
「今日からハーブ石鹸に変えます」
「そうして」
「泡立ちは良いのか?」
「キメの細かいタオルを使うと良いです」
「それも売ってるの?」
「勿論です。石鹸を1ダースまとめ買いすると1枚サービスです」
クスッ「商売人」
3人の中でこの人はとても口数が少ない
隣国語も王国語も発音が苦手だそうだ
そもそも身分を明かしたきっかけはこの人だった
酔って帝国語をペラペラ 俺もつられて帝国語をペラペラ
元魔塔職員でその時に帝国語を学んだと説明し
今はシンケー領の薬局で働いてることを明かした
俺が副魔塔主ではない事は気付いていたそうだ
よくよく話しを聞いてみたら 情報屋というのは質屋の店主だった
「一億ゴールドで買い取って」
金細工のブローチを質草に出す
質屋の店主が取り引き台の鑑定魔法陣にブローチをのせた
詠唱「ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
〈ピカーッ〉
一瞬の光の中に発動者の店主には黒い影が見えた
盗難品だ
「無理だね」
金細工のブローチをもう一つ出す
「これでどうかしら?」
「無理だね」
金細工のブローチを更に出す
「一億ゴールド以上の価値があるわよ?」
「無理だね」
「鑑定してよ」
「無駄だね」
「これならどうだ?」
金細工のカフスボタン 2個一組の商品を片方だけ
「無理だね」
「じゃあ、これで」
もう片方を出した
「なぜ1個ずつ出した?」
「なんとなく」
ハァー「無理だね」
「だったら⋯」
やたら食い下がる3人
しつこいやり取りにウンザリした店主が取り出したのが誘拐のススメだった
面白そうなのでとりあえず偽情報に踊ってみたそうだ
どうりで緊張感がないはずだよ
「ハイ、ドウドォー」
〈ヒヒィーン〉
〈ガタガタ〉
「到着でーす国境でーす」
検閲官が行商人往来手形を提示する4人を訝しげにジロジロ
「お疲れさまでございます」
帝国の行商人が金貨を1枚握らせた
ニヤリ「またのお越しを」
だから金銭感覚!チップあげすぎだ!もったいない!
王国と隣国が使用する結界魔法に耐える強度を保つ
大陸一の帝国技術を取り入れた国境城壁
低く狭い歩行者用の通路に馬車の走る音が響く
王国の検閲官が眠そうに迎えた
「おや、グルコさん。朝帰りですか?」
「おはようございます」
「始発便の到着、少し遅れるそうだよ。そちら、お連れさん?」
「ハイ」
「お疲れさまでございます」
また金貨
「あ。待ってね」
ゴソゴソとポケットを漁る
「はい。お釣り。ごゆっくりね」
〈チャリン チャリン〉
「え?」
チップに釣り銭 驚くよね
「王国ではチップの上限額が設けられてます。それ以上もらうと所得税の申告対象になります」
「めんどくさいでしょ?」
「ハッ」
「ハッハッハッハッハッハッ」
堰を切ったように笑い出した
「面白い!」
「ヤダもーマジ!?」
「王国万歳」
いや ただ単に所得税で国王の小遣いが増えるのが我慢ならんだけかもよ
町馬車待合所の売店で芋団子とお茶を買った
「美味いな」
「うん」
「ねえ、ここ、空気が澄んでるよね?」
「そうだよな?」
「うん」
「肺が楽になった気がしていたよ」
「土地の魔力が肌に合う感じですか?」
俺には響かない感覚だ
「ああ。気分も良くなるな」
「仙脈」クンクン
「ん?仙脈があるのか?」
「ある」クンクンクンクン
「グルコさん、この近くに温泉があるの?」
「シンケー領に温泉はありません。せんみゃくって何ですか?」
「え、知らないの?仙人の水脈よ?」
「初めて聞きました」
「温泉は仙人の恵み。古い言い伝えね」
「帝国のですか?」
「ええ。古代民族学で教わるわ」
「面白そうですね」
「門外不出だよ」
「あらそーだった」
「聞いちゃいましたね」
「忘れておくれ」
「ハイハイ」
「どんな仙脈だ?」
「深い」クンクンクンクン
犬かな?
「細い」クンクンクンクン
うん 顔が犬に見えてきた
「あー。掘削は無理かぁ」
「ざーんねーん」
「残念」
ほんと残念 温泉施設欲しいよね
「帝国から取り寄せた温泉の素があるので、うちでゆっくり入浴してくださいね」
「お。地元だと使わないからな。楽しみだ」
「本物にはかないま」
(グルコッ!)
え
(グルコッ!)
え なに 念話
(グルコーッ!)
ヒヒィーンッ
「わっ!」
「コラッ!」
〈ピッピッピーーーーッ〉
「危ない!」
〈ピッピッピーーーッ〉
「なんだぁ!?」
「家畜が逃げたみたい」
ヒヒィーンッ
「バカヤロー!」
「アブネー!」
ヒヒィーンッ
〈ピッピッピーーーッ〉
4線馬車道が混乱した
交通隊が警笛を鳴らし御者に注意を促す
開門後 上りも下りも荷馬車の往来が多い
黒い影がピョンピョン跳ねながら
待合所に向かって来る
(グルコーッ!)
ボリルだ!
(グルコーッ!)
ピョ~~ン
天高く跳んでー
「うおっ」
〈ドスンッ〉
あれ? 痛くない 防御魔法か
(グルコォー)
「ボリル」
「グルコォォー」
ポロポロポロポロ涙を流す子供馬
「グルコォォォー」
念話やめてしゃべってる
地面に寝たまま 腹に乗ったボリルをヨシヨシ
うん 重くない これが防御魔法の効能・効果なのか
「ごめんよ。心配かけたね」
「グルコォォォォーー」
「黒馬がしゃべってる」
「馬獣人族の子供。きっと亜種ね」
ウルウル「感動の再会」
~グルコと誘拐犯・前編 完~
10
あなたにおすすめの小説
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
辺境ギルドの受付嬢ですが、冒険者の嘘は帳簿でぜんぶバレます
蒼月よる
ファンタジー
素材の重さが申告と合わない。鑑定書の書式がおかしい。冒険者が持ち込む報告書には、いつもどこかに嘘がある。
辺境の小さなギルド支部で、受付嬢ナタリアは今日も一人、帳簿を武器に冒険者たちの嘘と向き合っている。剣も魔法も使えない。でも素材を見る目と、数字の辻褄を見抜く勘だけは、誰にも負けない。
持ち込まれた棘鱗の産地が違う。新人冒険者の目が妙に鋭い。腕のいい薬師が素性を隠している。書類を処理するだけの毎日のはずが、カウンターの向こうには不思議な人々と、小さな謎が絶えない。
一話完結の日常謎解き。辺境の受付カウンターから覗く、冒険者たちの嘘と真実の物語。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
自動販売機スキルで治癒と浄化をもたらす令嬢は、王都の呪詛を暴き、炎の公爵家次男に愛される
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる