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第47話 平将門はイメージ通り
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「へえ、そんな面白いことになっているのか。で、これが半妖の姫君か」
「そうです」
「可愛いでしょ」
「またこの展開なんだ」
さて、兵部省にやって来た一行だが、またしげしげと見つめられて鈴音は呆れていた。さすがに三度目となれば慣れる。頷く健星の後に、晴明の余計な一言がくっつくようになっただけだ。
兵部省の長官は晴明が教えてくれたとおり、平将門だった。ただし、この人もまんま歴史上の人物ではなく、怨霊として語られる方の将門であるらしい。というわけで、もの凄く強いという。
確かに将門はこれまで冥界で出会ったイケメン男子たちとは違う。筋骨隆々、武士だと解る厳つい顔立ちをしていた。髭も生えていて渋い。
「こんな可憐な子が王になってくれるというのに、それを気に食わんと動く奴らがいるか。よかろう、一肌脱いでやる」
そんな人が、憤然としているのだから怖さがあるが、鬼退治を請け負ってくれるという。これほど心強いことはない。
「ありがとうございます」
鈴音はこれで一つ解決よねとほっとしたが、健星は厳しい顔だ。
「将門様。その討伐の折には私とこの姫を同行させてください。そうでなければ、王に立つことは無理です」
そしてそんなことを言う。鈴音はどうして私まで行くわけとぎょっとした。
「ああ、そうだな。新米の王というのは何かと大変だからなあ」
でもって将門、あっさり納得している。どうしてそうなるのと鈴音はますます混乱だ。
「将門はかつて自らの土地を守るために自分が王になろうとしたことがあるからねえ。その時に、強くなければいけないってのを痛感しているんだよ」
晴明は呑気にそう言い、ちゃっかり出されたお菓子を食べている。鈴音はそんな晴明に呆れつつ
「そこは史実を考えればいいんだ」
と確認。
「そう。俺にしても将門にしても、そして道真さんにしても概念だけど、ベースは歴史に名を残した本人たちだからね」
「へえ」
じゃあ、安倍晴明はこういうのほほんとした部分があったのか。鈴音はそれこそイメージに合わないんだけどと首を傾げてしまう。
「姫君よ。戦に関しては我々に任されよ。それに必ずお守りする」
そんな鈴音に、大丈夫だと将門は重々しく頷いた。うん、こっちはほぼイメージ通りな気がする。
「お願いします」
鈴音は頭を下げ、ようやく今日の挨拶回りが終わったのだった。
「疲れた~」
「このくらいで音を上げてどうする? 王になったらやらなきゃならないことが山のようにあるんだぞ」
屋敷に戻って伸びる鈴音に、健星は腕を組んで容赦なく言ってくれる。ああもう、だったらあんたが王になりなさいよ。鈴音は事情を全部無視してそう言いたくなる。
「あらあら。大変ね。主上が差し入れをくださったわよ」
そんな鈴音に、月読命から届いたものがあると紅葉が運んで来た。それはクリームたっぷりのロールケーキとタピオカミルクティーだった。
「やった。甘い物だ」
「どうやって買ってきたんだ」
「そりゃあ、右近に行かせたのよ」
お金を出したのが月読命というだけよと紅葉は笑うが、鈴音はそんなことはどうでもよく、甘い物がほしい。
「美味しい」
さっそくロールケーキを食べて、幸せだわと鈴音は顔を綻ばせる。
「良かったわ」
「この現世に気軽に行っちゃう状況をどうにかしたいって言うのに、あの帝は」
と文句を言う健星も、しっかりロールケーキに手を伸すのだった。
「そうです」
「可愛いでしょ」
「またこの展開なんだ」
さて、兵部省にやって来た一行だが、またしげしげと見つめられて鈴音は呆れていた。さすがに三度目となれば慣れる。頷く健星の後に、晴明の余計な一言がくっつくようになっただけだ。
兵部省の長官は晴明が教えてくれたとおり、平将門だった。ただし、この人もまんま歴史上の人物ではなく、怨霊として語られる方の将門であるらしい。というわけで、もの凄く強いという。
確かに将門はこれまで冥界で出会ったイケメン男子たちとは違う。筋骨隆々、武士だと解る厳つい顔立ちをしていた。髭も生えていて渋い。
「こんな可憐な子が王になってくれるというのに、それを気に食わんと動く奴らがいるか。よかろう、一肌脱いでやる」
そんな人が、憤然としているのだから怖さがあるが、鬼退治を請け負ってくれるという。これほど心強いことはない。
「ありがとうございます」
鈴音はこれで一つ解決よねとほっとしたが、健星は厳しい顔だ。
「将門様。その討伐の折には私とこの姫を同行させてください。そうでなければ、王に立つことは無理です」
そしてそんなことを言う。鈴音はどうして私まで行くわけとぎょっとした。
「ああ、そうだな。新米の王というのは何かと大変だからなあ」
でもって将門、あっさり納得している。どうしてそうなるのと鈴音はますます混乱だ。
「将門はかつて自らの土地を守るために自分が王になろうとしたことがあるからねえ。その時に、強くなければいけないってのを痛感しているんだよ」
晴明は呑気にそう言い、ちゃっかり出されたお菓子を食べている。鈴音はそんな晴明に呆れつつ
「そこは史実を考えればいいんだ」
と確認。
「そう。俺にしても将門にしても、そして道真さんにしても概念だけど、ベースは歴史に名を残した本人たちだからね」
「へえ」
じゃあ、安倍晴明はこういうのほほんとした部分があったのか。鈴音はそれこそイメージに合わないんだけどと首を傾げてしまう。
「姫君よ。戦に関しては我々に任されよ。それに必ずお守りする」
そんな鈴音に、大丈夫だと将門は重々しく頷いた。うん、こっちはほぼイメージ通りな気がする。
「お願いします」
鈴音は頭を下げ、ようやく今日の挨拶回りが終わったのだった。
「疲れた~」
「このくらいで音を上げてどうする? 王になったらやらなきゃならないことが山のようにあるんだぞ」
屋敷に戻って伸びる鈴音に、健星は腕を組んで容赦なく言ってくれる。ああもう、だったらあんたが王になりなさいよ。鈴音は事情を全部無視してそう言いたくなる。
「あらあら。大変ね。主上が差し入れをくださったわよ」
そんな鈴音に、月読命から届いたものがあると紅葉が運んで来た。それはクリームたっぷりのロールケーキとタピオカミルクティーだった。
「やった。甘い物だ」
「どうやって買ってきたんだ」
「そりゃあ、右近に行かせたのよ」
お金を出したのが月読命というだけよと紅葉は笑うが、鈴音はそんなことはどうでもよく、甘い物がほしい。
「美味しい」
さっそくロールケーキを食べて、幸せだわと鈴音は顔を綻ばせる。
「良かったわ」
「この現世に気軽に行っちゃう状況をどうにかしたいって言うのに、あの帝は」
と文句を言う健星も、しっかりロールケーキに手を伸すのだった。
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