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第52話 河童を懐柔
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「理解したのならば話が早い。正統な王であることを人間界に残る妖怪たちに説いて回らなければならないんだ。水辺の妖怪たちへの説得、お前に任せていいか? そうすれば、今回のきゅうり強奪と相撲の件は不問にしてやる」
健星、三太の聞き分けがいいとみるや、すぐにそんな交渉を持ち出す。三太はきゅうりをがじがじと囓っていたが
「もし断ったら?」
と、怖いもの知らずもいいところで、そんなことを訊く。
「その場合は安倍晴明直々に封印してもらう。あの人の封印はちょっとやそっとでは解けないぞ。お前が再び蘇ろうとした頃には、地球には人類も生物もいないかもしれない」
で、健星はしれっとそんなことを言う。ついでにこそっとこちらを向き、
「河童にバレないようにスマホで検索しておけ」
と謎の指示。
「またまた」
三太、そんなわけないでしょと笑う。だってずっと人間も生物もいますぜと軽い。
「馬鹿だな。今の世の中の気候変動というものを考えていない。このまま地球の気温が変化し続ければ、そう遠くない未来、人類も多くの生物も滅びる。それに太陽にも寿命があるということを知らない証拠だな。厳重な封印がもし三十億年解けなければ、お前が復活した地球は灼熱地獄だ」
「またまた、脅しですよね」
健星の言葉に半信半疑な三太は、それでも自信がなくなってきたようで鈴音に確認。
「ううん、本当。太陽の寿命はざっと百億年。太陽系が生まれたのが四十六億年前だから、三十億年後の地球は全く別物になっているでしょうね」
鈴音はそういうことかと、スマホからゲットした情報を披露する。
「そ、ほ、本当なんですかい。三十億年ってのがどんくらいか解んないけど、いつかあの、お日様がなくなっちゃうんですか」
「うん。星にも寿命があるのよ。太陽は約五十億年後、赤色巨星という状態になって一度大きくなるの。その時、地球を飲み込んじゃうんじゃないかと言われているんだって。ちなみに明るさは今と違って暗くなるの。その後は小さくなって白色矮星という状態になって終わっちゃうの。今のように燦々と輝く太陽は、だから後五十億年よ」
鈴音がちらちらとスマホを確認しながら情報を披露すると、三太は何を言っているのか解んないとばかりに目を白黒させている。そして、がっくりと肩を落とした。
「だ、大丈夫」
「だ、大丈夫です。世の中は色即是空。何もかもがそのまんまってことはない。それはお日様さえ例外じゃないってことっすね。いつかなくなってしまうんだ」
「う、うん」
三太、色即是空なんて言葉を知ってるのか。意外だ。
「解りやした。半妖とはいえ姫様は高貴な血筋。そして王として相応しい知識の持ち主でいらっしゃる。この三太、一肌脱ぎましょう」
そしてなぜか江戸っ子のような口調になり、歌舞伎のように見得を切ってみせる。河童ってお調子者なのか。
「それは助かる。この姫に任せておけば、お前たちの暮らし向きもよくなるぞ。人間界の狭い川にいるよりいいだろう」
健星はここぞとばかりにそう押す。嘘吐け、最初は役立たずだと思ってたくせに。と思うが鈴音は口に出さないくらいの良識はあった。
「お願いね」
代わりにとびきりのスマイルを三太に向ける。
「はっ、この三太、命に懸けても」
三太は顔を真っ赤にしたかと思うと、ははあっと今度は平伏したのだった。
健星、三太の聞き分けがいいとみるや、すぐにそんな交渉を持ち出す。三太はきゅうりをがじがじと囓っていたが
「もし断ったら?」
と、怖いもの知らずもいいところで、そんなことを訊く。
「その場合は安倍晴明直々に封印してもらう。あの人の封印はちょっとやそっとでは解けないぞ。お前が再び蘇ろうとした頃には、地球には人類も生物もいないかもしれない」
で、健星はしれっとそんなことを言う。ついでにこそっとこちらを向き、
「河童にバレないようにスマホで検索しておけ」
と謎の指示。
「またまた」
三太、そんなわけないでしょと笑う。だってずっと人間も生物もいますぜと軽い。
「馬鹿だな。今の世の中の気候変動というものを考えていない。このまま地球の気温が変化し続ければ、そう遠くない未来、人類も多くの生物も滅びる。それに太陽にも寿命があるということを知らない証拠だな。厳重な封印がもし三十億年解けなければ、お前が復活した地球は灼熱地獄だ」
「またまた、脅しですよね」
健星の言葉に半信半疑な三太は、それでも自信がなくなってきたようで鈴音に確認。
「ううん、本当。太陽の寿命はざっと百億年。太陽系が生まれたのが四十六億年前だから、三十億年後の地球は全く別物になっているでしょうね」
鈴音はそういうことかと、スマホからゲットした情報を披露する。
「そ、ほ、本当なんですかい。三十億年ってのがどんくらいか解んないけど、いつかあの、お日様がなくなっちゃうんですか」
「うん。星にも寿命があるのよ。太陽は約五十億年後、赤色巨星という状態になって一度大きくなるの。その時、地球を飲み込んじゃうんじゃないかと言われているんだって。ちなみに明るさは今と違って暗くなるの。その後は小さくなって白色矮星という状態になって終わっちゃうの。今のように燦々と輝く太陽は、だから後五十億年よ」
鈴音がちらちらとスマホを確認しながら情報を披露すると、三太は何を言っているのか解んないとばかりに目を白黒させている。そして、がっくりと肩を落とした。
「だ、大丈夫」
「だ、大丈夫です。世の中は色即是空。何もかもがそのまんまってことはない。それはお日様さえ例外じゃないってことっすね。いつかなくなってしまうんだ」
「う、うん」
三太、色即是空なんて言葉を知ってるのか。意外だ。
「解りやした。半妖とはいえ姫様は高貴な血筋。そして王として相応しい知識の持ち主でいらっしゃる。この三太、一肌脱ぎましょう」
そしてなぜか江戸っ子のような口調になり、歌舞伎のように見得を切ってみせる。河童ってお調子者なのか。
「それは助かる。この姫に任せておけば、お前たちの暮らし向きもよくなるぞ。人間界の狭い川にいるよりいいだろう」
健星はここぞとばかりにそう押す。嘘吐け、最初は役立たずだと思ってたくせに。と思うが鈴音は口に出さないくらいの良識はあった。
「お願いね」
代わりにとびきりのスマイルを三太に向ける。
「はっ、この三太、命に懸けても」
三太は顔を真っ赤にしたかと思うと、ははあっと今度は平伏したのだった。
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