朝目覚めたら横に悪魔がいたんだが・・・告白されても困る!

渋川宙

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第12話 初めてのケンカ

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 結局、奏汰はルシファーにお姫様抱っこされたまま、魔界に戻ることになってしまった。
 もう、反論する気力もない。そんな状況だった。
 しかし、ベッドの上に下ろされたところで、ルシファーに蹴りを入れる。
「痛いな。俺様を蹴飛ばすなんて、何を考えている」
「なんもかんも、あんたのせいだろ!」
 ごろっと寝転ぶと、奏汰はふて寝モードに入る。
 いきなり部屋に現われ、無理やり魔界で生活する羽目になって、それで大学で散々に罵られれば、そりゃあ心が折れる。あまりの理不尽に、どうしていいのか解らない。
「その、ごめん」
 反対側を向いてしまった奏斗が傷ついていることは解るので、ルシファーは素直に謝った。しかし、奏汰はこちらを見てくれない。
 どうしたらいいんだろう。っていうか、蹴りを入れられてお前のせいだなんて言われたのが初めてで、どう対処していいのか解らない。
「だって、奏汰が可愛かったんだもん。手に入れたかったんだもん」
 だから、口から出て来たのはそんな言葉だけだった。おかげで奏汰は布団を被っていよいよ無視モードに入ってしまう。
「そんなに大学がいいのか?」
 ルシファーはねえねえと、諦めずに奏汰に話し掛ける。無理に布団を引き剥がすことはないが、答えてよとベッドに座って訊ねる。
「楽しく好きなように過ごせるんだぞ。悪魔は魅力的だぞ」
 答えてよと、今度は悪魔に関してプレゼンしてみる。しかし、奏汰は全くこっちを見てくれない。
 くぅ、悔しい。ちょっと不都合があってもいいじゃん。苦労することはもうないのに、何が不満なんだよ。
「奏汰、いい加減にこっちを向け!」
 強引は良くない。そんなこと言ってられるか。ルシファーは思いきって奏汰の布団を掴んで剥がした。が、その目に涙があって、たじろいでしまう。
「か、奏汰っ」
 泣くって、ええっ、泣くって、どういうこと。
 ルシファーは今までにない反応に戸惑ってしまう。
 どんなことをやっても、今までは頭を抱えつつも何とか切り替えてくれたじゃん。それなのに泣くってどういうことだ。
「なんで、俺なんだよ。他でいいじゃん。もう帰してくれよ」
「嫌だ」
 ルシファーが即答すると、奏汰はもう我慢できないとぽろぽろと泣き始めてしまう。そしてぶんっとクッションを投げつけた。
 ルシファーはそれを簡単に受け止めつつも、どうしてそんな反応なんだとおろおろ。
「普通に生活出来るんだったら、別に横にルシファーがいようが、家が異空間になってようが、ちょっとは我慢できると思ったけど、今日のはマジで無理」
 奏汰は涙が出たことで、言葉が正直に吐き出せる。
 別にトンデモ展開になろうと、日常が続くのならば、まあいいかで受け流せた。でも、それが無理となった時、我慢の限界が訪れてしまったのだ。
「帰せない。もう、ここだけにいろ」
 そんな奏汰に、ルシファーは冷酷に告げる。
 日常が続かなきゃ嫌だなんて、そんなの承服できない。自分の伴侶になるのだ。どこかで諦めてくれなきゃ困る。
「一人にしてくれ、頼むから」
 平行線なのはずっと一緒だ。でも、一日一緒に過ごしたことで、どこか受け入れていた自分が嫌だ。奏汰はぷいっとルシファーに背を向けたのだった。
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