9 / 66
第9話 暗殺者
しおりを挟む
バーベキューは無事に終わり、俺は早々にベッドに潜り込んでいた。
毎日のように野山を駆け回り、騒いでご飯を食べていたら、そりゃあくたくたになる。
王宮とは違う疲れだ。でも、こっちの疲労感の方が気持ちいいよねと、俺はぼろい布団に丸まりながら思った。
「明日も忙しいんだろうな」
そう呟いた頃には、すやすやと寝息を立ててしまっている。
だが、そうやって眠りに落ちる瞬間を狙っていた者たちがいた。
屋根からロープでするすると二階の俺の部屋に降りてくる奴ら。そう、宰相・ラオドールが手配したレンジャー部隊だ。
「――」
音もなく窓を開けて、俺のベッドに近づいてくる。しかし、俺は疲れてくたくたなので、そんな危機が迫っているなんて気づくはずもなく、ぐうぐうと寝てしまっている。
寝ている間に死んでしまうのか。
レンジャーたちが簡単な仕事だったなと、にやりと笑って剣を振り上げた時――
「そこまでだよ」
ばんっと廊下側のドアが開いた。開けたのはアンドレだ。
「王子様が生きていると気づけば暗殺者がやって来るとは思っていたけど、早かったねえ」
そのアンドレは緊張感なくレンジャーに向けて言った。レンジャーたちはそれでも気を取り直すと、騒ぎが起こっているというのに寝ている俺に向けて剣を振り下ろそうとした。
「させるか!」
と、そこに大声と轟音が響く。
ここでさすがに疲れてくたくただった俺も目を覚ました。
「ぬがっ。うわっ」
起きたら見知らぬ連中がわんさか、壁には大穴が開き、アンドレが剣を構えているという状況に驚いてしまう。
「王子様。呑気すぎ!」
「レオ、大丈夫かよ。殺気くらい解れよ!」
そんな寝起きの俺に、アンドレと、大穴を開けた張本人、ピーターから苦情が飛んでくる。
「ええっと」
「早く殺せ!」
戸惑う俺に、まだ隙だらけだとレンジャーたちが飛びかかってくる。それを俺は慌てて布団を投げつけて防ぐ。
「なっ」
布団が飛んできて慌てている隙に、俺は逃げようとしたが、精鋭部隊であるレンジャーたちがそう簡単に見逃してくれるはずはない。脇腹目がけて剣が飛んでくる。
「ぬおっ」
それを間一髪で避ける俺。
反射神経があってよかったぜ。
「レオ、伏せて!」
と、そこにマリナの声がしたと思うと、火炎放射器のごとき炎が飛んでくる。
「ぐおっ」
「怖っ」
それに巻き込まれて二人アウト。俺はその様子にビビってしまう。
魔法使いって凄え。
しかし、それで諦めてくれるレンジャーではない。敵が増えようとも俺ばかりを狙ってくる。
「くそっ」
ベッドから飛び退くと、俺は火炎放射で持ち手がいなくなった剣を拾い上げ反撃に移る。
「はっ!」
俺は剣で手前にいた男を一突きする。
「おおっ」
「意外と強い」
「煩い!」
それに感心するアンドレとピーターに向って怒鳴りつつ、俺はあっという間に残り五人となったレンジャーたちを斬り伏せた。
「さすが」
それにマリナはぱちぱちと手を叩く。
しかし、上手く撃退出来たのはいいが、大問題が発生したのは間違いない。
「シャルルは俺が生きていることに気づき、殺そうとしたんだな」
俺が確認すると、アンドレはそうだと頷く。
「レンジャーを出してくるなんて、相当本気で殺そうとしてるよ」
「拙いな」
せっかく村で快適スローライフと思っていたのに。
俺は斬り伏せた奴らを見下ろし、どうしたものかと悩む。
「逃げるの?」
マリナはここで待ち構えるのもいいんじゃないと訊いてくるが、それではいずれ、村ごと滅ぼされかねない。俺は首を横に振った。
「朝になったら出立する。アンドレ、お前は」
「付いて行くよ」
「じゃあ、私たちも」
「ずるい、私たちも行くわ」
アンドレだけでなく、マリナにピーター、いつの間にかやって来ていたシュリやキキも付いて行くと主張する。
「お前ら」
「山で生活するなら俺も頼りになるぜ」
さらにシモンまで名乗りを上げて、俺は新たに出来た仲間たちに感謝するしかないのだった。
毎日のように野山を駆け回り、騒いでご飯を食べていたら、そりゃあくたくたになる。
王宮とは違う疲れだ。でも、こっちの疲労感の方が気持ちいいよねと、俺はぼろい布団に丸まりながら思った。
「明日も忙しいんだろうな」
そう呟いた頃には、すやすやと寝息を立ててしまっている。
だが、そうやって眠りに落ちる瞬間を狙っていた者たちがいた。
屋根からロープでするすると二階の俺の部屋に降りてくる奴ら。そう、宰相・ラオドールが手配したレンジャー部隊だ。
「――」
音もなく窓を開けて、俺のベッドに近づいてくる。しかし、俺は疲れてくたくたなので、そんな危機が迫っているなんて気づくはずもなく、ぐうぐうと寝てしまっている。
寝ている間に死んでしまうのか。
レンジャーたちが簡単な仕事だったなと、にやりと笑って剣を振り上げた時――
「そこまでだよ」
ばんっと廊下側のドアが開いた。開けたのはアンドレだ。
「王子様が生きていると気づけば暗殺者がやって来るとは思っていたけど、早かったねえ」
そのアンドレは緊張感なくレンジャーに向けて言った。レンジャーたちはそれでも気を取り直すと、騒ぎが起こっているというのに寝ている俺に向けて剣を振り下ろそうとした。
「させるか!」
と、そこに大声と轟音が響く。
ここでさすがに疲れてくたくただった俺も目を覚ました。
「ぬがっ。うわっ」
起きたら見知らぬ連中がわんさか、壁には大穴が開き、アンドレが剣を構えているという状況に驚いてしまう。
「王子様。呑気すぎ!」
「レオ、大丈夫かよ。殺気くらい解れよ!」
そんな寝起きの俺に、アンドレと、大穴を開けた張本人、ピーターから苦情が飛んでくる。
「ええっと」
「早く殺せ!」
戸惑う俺に、まだ隙だらけだとレンジャーたちが飛びかかってくる。それを俺は慌てて布団を投げつけて防ぐ。
「なっ」
布団が飛んできて慌てている隙に、俺は逃げようとしたが、精鋭部隊であるレンジャーたちがそう簡単に見逃してくれるはずはない。脇腹目がけて剣が飛んでくる。
「ぬおっ」
それを間一髪で避ける俺。
反射神経があってよかったぜ。
「レオ、伏せて!」
と、そこにマリナの声がしたと思うと、火炎放射器のごとき炎が飛んでくる。
「ぐおっ」
「怖っ」
それに巻き込まれて二人アウト。俺はその様子にビビってしまう。
魔法使いって凄え。
しかし、それで諦めてくれるレンジャーではない。敵が増えようとも俺ばかりを狙ってくる。
「くそっ」
ベッドから飛び退くと、俺は火炎放射で持ち手がいなくなった剣を拾い上げ反撃に移る。
「はっ!」
俺は剣で手前にいた男を一突きする。
「おおっ」
「意外と強い」
「煩い!」
それに感心するアンドレとピーターに向って怒鳴りつつ、俺はあっという間に残り五人となったレンジャーたちを斬り伏せた。
「さすが」
それにマリナはぱちぱちと手を叩く。
しかし、上手く撃退出来たのはいいが、大問題が発生したのは間違いない。
「シャルルは俺が生きていることに気づき、殺そうとしたんだな」
俺が確認すると、アンドレはそうだと頷く。
「レンジャーを出してくるなんて、相当本気で殺そうとしてるよ」
「拙いな」
せっかく村で快適スローライフと思っていたのに。
俺は斬り伏せた奴らを見下ろし、どうしたものかと悩む。
「逃げるの?」
マリナはここで待ち構えるのもいいんじゃないと訊いてくるが、それではいずれ、村ごと滅ぼされかねない。俺は首を横に振った。
「朝になったら出立する。アンドレ、お前は」
「付いて行くよ」
「じゃあ、私たちも」
「ずるい、私たちも行くわ」
アンドレだけでなく、マリナにピーター、いつの間にかやって来ていたシュリやキキも付いて行くと主張する。
「お前ら」
「山で生活するなら俺も頼りになるぜ」
さらにシモンまで名乗りを上げて、俺は新たに出来た仲間たちに感謝するしかないのだった。
10
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。
森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。
一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。
これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜
里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」
魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。
実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。
追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。
魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。
途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。
一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。
※ヒロインの登場は遅めです。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる