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第27話 またまたキャンプ生活へ
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山登りは急斜面の連続だ。それだけでなく、兵士に見つかってはならないというミッションがある。
これはとても難しいのではと俺は思っていたが
「甘いわね。ここは異能者が避難所として使っていたような村よ。こっち側の山には逃げるためのルートがすでに開拓されているわ」
キキが自信満々に言い切ってくれた。
「マジで?」
「マジだよ。あちこちにキャンプできる場所があるんだ」
訊き返した俺に答えたのはピーターだ。
まったく、本当に心強いメンバーだよね。
「ただ、あまり時間を掛けられないからな。登りは三日、下りは二日で進みたいところだ」
あまり呑気にキャンプはしていられないぞと注意するのはシモンだ。
「準備出来たよ」
と、そこに朝食を作ってくれていたシュリとマリナがサンドイッチを持ってきてくれる。固いパンを二つに割って、そこに野菜とベーコンを挟んだものだが、久々のサンドイッチは美味しかった。
「山の中の料理もいいけど、サンドイッチもいいよね」
俺は久々の生野菜も堪らないねと言うと、作った二人もうんうんと頷いた。
「そうね。山の中だとどうしても肉と山菜が中心だから、サンドイッチとはいかないのよね。葉物野菜はやっぱり定住していてこそ、だわ」
「畑にちょっと野菜が残っていたのもラッキーだったわ」
二人の言葉に、俺は迷惑を掛けているなと心の中で気まずくなる。しかし二人は
「ま、これからハッブルの領土内を通るから野菜には困らないわ」
「そうそう。物々交換で手に入れられるわよ」
と逞しかった。
なるほど、今までと違って人里を通過することもあるから、そうやって野菜を手に入れることは可能なのか。
「俺は大丈夫かな」
しかし、人里というと俺は自分が身バレしないか心配だ。が、これはあっさりと否定される。
「一般市民は王子様の顔なんてはっきり知らないよ。王宮のパレードを見たことがある人でも、このくらいの豆粒大の顔しか見たことがないんだから」
アンドレの説明に、なるほどと俺は納得。後は絵が出回っているだろうが、ほぼ想像で描かれているそうで、実物を見ても結びつかないということだった。
「王宮に近づかない限りは心配しなくていいってことだな」
「そうだね。後は、領主様にバレなければ大丈夫だよ」
「ああ。貴族か。それはそうだな」
俺とアンドレの会話に
「そもそも領主を避けるのは俺たちも同じだからな。安心しろ」
とシモンが親指を立てる。
彼らは国家に属さないから、うろうろしているのがバレると面倒になる。ということで、領主を避けるということだ。
「じゃあ、全員似たようなものってことで」
「そうだ。よし、行くぞ」
俺とシモンが頷き合ったところで、全員が荷物を背負ったのだった。
「この間までいた山と、ちょっと違う感じがするなあ」
さて、その問題の山の中だが、ハッブル王国の領土内だからか、また山の雰囲気が変わった気がする。
「ハッブルは割と一年の気温が涼しくて安定しているからよ。昨日までいたドロイヤ側だと冬は雪が積もって大変だけど、こっちだとそれは少ないの」
これに関して教えてくれたのはシュリだ。マリナとともによく薬草を採取しているとあって、植生に詳しい。
「なるほどね。確かに王宮でもあまり雪って見ないな」
「でしょ。でも、これが北側のリビト帝国の奥側だったら、雪なんてメートル単位で積もって、しかもそこら中が凍って大変よ」
「うわあ。じゃあ、北側に逃げるのはなしだな」
「そうね。凍死したくなければ」
そんな会話を出来るほど、意外と急斜面も苦にならない俺だ。
「いやあ、山の中ってサイコー」
しかもそんなことまで思ってしまう余裕もあった。
兵士に襲われそうになったり、政治の道具にされそうになるという危機が去ったわけではないが、キャンプ生活が性に合っている気がする。
これはとても難しいのではと俺は思っていたが
「甘いわね。ここは異能者が避難所として使っていたような村よ。こっち側の山には逃げるためのルートがすでに開拓されているわ」
キキが自信満々に言い切ってくれた。
「マジで?」
「マジだよ。あちこちにキャンプできる場所があるんだ」
訊き返した俺に答えたのはピーターだ。
まったく、本当に心強いメンバーだよね。
「ただ、あまり時間を掛けられないからな。登りは三日、下りは二日で進みたいところだ」
あまり呑気にキャンプはしていられないぞと注意するのはシモンだ。
「準備出来たよ」
と、そこに朝食を作ってくれていたシュリとマリナがサンドイッチを持ってきてくれる。固いパンを二つに割って、そこに野菜とベーコンを挟んだものだが、久々のサンドイッチは美味しかった。
「山の中の料理もいいけど、サンドイッチもいいよね」
俺は久々の生野菜も堪らないねと言うと、作った二人もうんうんと頷いた。
「そうね。山の中だとどうしても肉と山菜が中心だから、サンドイッチとはいかないのよね。葉物野菜はやっぱり定住していてこそ、だわ」
「畑にちょっと野菜が残っていたのもラッキーだったわ」
二人の言葉に、俺は迷惑を掛けているなと心の中で気まずくなる。しかし二人は
「ま、これからハッブルの領土内を通るから野菜には困らないわ」
「そうそう。物々交換で手に入れられるわよ」
と逞しかった。
なるほど、今までと違って人里を通過することもあるから、そうやって野菜を手に入れることは可能なのか。
「俺は大丈夫かな」
しかし、人里というと俺は自分が身バレしないか心配だ。が、これはあっさりと否定される。
「一般市民は王子様の顔なんてはっきり知らないよ。王宮のパレードを見たことがある人でも、このくらいの豆粒大の顔しか見たことがないんだから」
アンドレの説明に、なるほどと俺は納得。後は絵が出回っているだろうが、ほぼ想像で描かれているそうで、実物を見ても結びつかないということだった。
「王宮に近づかない限りは心配しなくていいってことだな」
「そうだね。後は、領主様にバレなければ大丈夫だよ」
「ああ。貴族か。それはそうだな」
俺とアンドレの会話に
「そもそも領主を避けるのは俺たちも同じだからな。安心しろ」
とシモンが親指を立てる。
彼らは国家に属さないから、うろうろしているのがバレると面倒になる。ということで、領主を避けるということだ。
「じゃあ、全員似たようなものってことで」
「そうだ。よし、行くぞ」
俺とシモンが頷き合ったところで、全員が荷物を背負ったのだった。
「この間までいた山と、ちょっと違う感じがするなあ」
さて、その問題の山の中だが、ハッブル王国の領土内だからか、また山の雰囲気が変わった気がする。
「ハッブルは割と一年の気温が涼しくて安定しているからよ。昨日までいたドロイヤ側だと冬は雪が積もって大変だけど、こっちだとそれは少ないの」
これに関して教えてくれたのはシュリだ。マリナとともによく薬草を採取しているとあって、植生に詳しい。
「なるほどね。確かに王宮でもあまり雪って見ないな」
「でしょ。でも、これが北側のリビト帝国の奥側だったら、雪なんてメートル単位で積もって、しかもそこら中が凍って大変よ」
「うわあ。じゃあ、北側に逃げるのはなしだな」
「そうね。凍死したくなければ」
そんな会話を出来るほど、意外と急斜面も苦にならない俺だ。
「いやあ、山の中ってサイコー」
しかもそんなことまで思ってしまう余裕もあった。
兵士に襲われそうになったり、政治の道具にされそうになるという危機が去ったわけではないが、キャンプ生活が性に合っている気がする。
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そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。
精霊曰く御礼だってさ。
どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。
何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ?
どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。
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そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。
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流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。
俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。
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