廃嫡王子のスローライフ下剋上

渋川宙

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第56話 衝撃の事実の連続

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 血の盟約とは文字通り、魔女と血を交すことをいう。その交わし方は魔女によって異なるそうだが、最もメジャーなのは互いの血を飲むというものだ。ワイングラス一杯分の血を互いに提供し、秘密の儀式を行った後、同じタイミングで飲み干す。これにより、魔女の力を分け与えて貰えるのだ。それと同時に、魔女にとって不都合な状況になれば、いつでもその魂を刈り取ることが出来るという、マジでやばいものである。
 異能に関してほぼ何も知らなかった俺でも知っている、最大の禁忌だ。それを、大戦中とはいえ祖先がやっていたことに驚きを隠せない。
 それと同時に、ハッブルはどうなってしまうのだろうと身体が震え続ける。
 と、そんな俺の手を、マリナがぎゅっと握ってくれた。
「そういう情報が得られるってことは、もう秘密にはしていないってことよね」
 そしてそうシュリに確認してくれた。シュリは大きく頷くと
「ええ。むしろ、異能を持っているかどうかが、ハッブルの王位を継ぐ正統性の証明になるという話が流れているわ。現在の国王陛下が落馬事故から見事に復活されたのも、異能のおかげだという話よ」
 町で仕入れてきた情報を教えてくれる。
「えっ。そんな」
 しかし、俺には衝撃的な内容が続き、どう反応していいのか解らない。思わず、マリナの手をぎゅっと握り返していた。
「レオが三週間の劣悪な護送から生き残った理由もそれね」
 だが、そのマリナがびっくりすることを言う。俺はもう心臓がバクバク鳴っていて、さっき食べたパンを吐き出しそうな勢いだ。
「そう。王族の異能の一番は肉体が強化されることだそうよ。そして、三週間無事に生き残ったレオは、間接的だけど、異能を持っていることを証明したとされているの」
「なっ」
 俺はもう口をぱくぱくとさせることしか出来ない。
「ははあ。あれって試されていたわけか。廃嫡騒動を起こすのは勝手だけど、こいつは異能を持ってるぜってことね」
 ピーターはすっきりしたという顔をするが、俺はすっきりしない。それに、同じく今の内容が初耳のはずのシモンもマリナも驚いていなくて、どういうことかと戸惑ってしまう。
「ごめんね。あなたに異能があることは解っていたの。ついでに、異能がある王族がいるってことは、きっと何かあるだろうなと思ってたわ」
 マリナがごめんねと、俺があまり深刻に受け止めないようにと軽い調子で言う。が、俺はさらなる衝撃を与えられたようなものだ。
「ず、ずっと、なんか、思わせぶりだったのって」
 俺はマリナとアンドレを交互に指差しながら、衝撃が収まらない中、必死に確認してしまう。
「うん。何かあるって思ってたから」
「廃嫡騒動そのものが手際良すぎるよ。なのに王子様は生きているし、後からレンジャー部隊送って殺そうとするし、ちょっと杜撰だもんね」
 マリナとアンドレが、それぞれに疑う余地しかないじゃんと言ってくれる。
「くう。って、それってラオドールの仕業じゃないよな」
 が、衝撃もでかすぎると脳みそは急に冷静になるものらしい。俺ははっと気づいた。
「そうね。ラオドールもまた利用されたってことでしょ」
 シュリは政治家ってねちっこいからねえと苦笑している。
「えっ。でも、誰が?」
「それに関しては私が掴んでいるわ。王宮神官長のパウロ。彼、今、オーロランドに亡命中なのよ」
 キキが元気よく教えてくれ、俺はますます口をあんぐりと開けるしかないのだった。
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