ただの世界最強の村人と双子の弟子

ヒロ

文字の大きさ
132 / 163
第9章 全面対決

第92話 リル?vsユウキ

しおりを挟む
 またまた投稿が出来ない日が多々あり、すみません!あまり期待せず、投稿された日に読んでくださったら幸いです!

===リル?視点========================

『ここは………』

 忘れるはずの無い草原。ここで、魔王を見つけて、私は………

「さあ、食べましょう?」

 お母さんが私に手招きしている。お母さんが座っているシートには、一部、布が敷かれ、布の上に白黒のサンドウィッチが綺麗に並べられている。

『……う、うん』

 色々な不安があるけど、取り敢えず、シートに座って、サンドウィッチを頬張る。

『…………美味しい……!』
「そう?良かったわ~」

 お母さんは微笑み、お父さんも美味しそうにサンドウィッチを食べている。それから私は、あの日ようにお父さんとお母さんといっぱい喋った。

 そんな楽しい時間は、あっという間に過ぎ、魔王が来る時間が来た。
 
 気は進まないけど、行くしか無い。

『……………行ってくる』

 私は立ち上がり、広場の方向を向き、背中越しに一言残してあまり風が出ないようにジャンプした。

 それから空中で魔素を固めて足場にしながら広場に向かった。

「あれ?リリちゃんとルルちゃん?」
「家族と一緒に居たはずじゃ………」
「喧嘩か?」
「それより………今、空から来たよな?」

 広場に降り立つと、そこで談笑していた人達が私を見て何か言っているけど、そんな事より今、迫って来ている魔王の方を優先しないと………

(ドゥゥゥン!!)

 広場の中央に急降下して来た魔王を、巻き上がった砂埃越しに見る。

 あの時は上空に滞空していたのに、私があの時と違う事をしたから、魔王の行動も違ったものになったのかな?

 何にせよ、私がここで倒す事には変わりない。

 私はあの時ほど構えてないけど、軽く力を込めながら魔王が来るのを待っていると…………

「………あなたの相手は私です」
『…………あれ?』

 出て来たのは白いスーツに身を包んだ男性。それも好青年と言えそうで、雰囲気は一度だけ見たことのある執事に似ている。

『………っ!?』

 私が少し考えていた時を逃さないとでも言うように、いきなり手刀の刺突を顔面に放ってきて、それを躱しつつ、『魔導』"万物掌握"で広場の草木を使って青年の体全体を拘束する。

『あなたが誰なのかは分からないけど、容赦しないよ』
(ドシュ!)
 
 私は地面に手を当てて、"クラフト"で作り出した剣を青年に突き刺す。突き刺された青年は、うめき声もあげずにうな垂れ、胸から血を流した。

 こんな風に殺したのは初めてだったけど、不思議と辛くない。苦しくない。罪悪感を感じない。

『……取り敢えず、戻ーー』

 そこまで言った瞬間、視界が一瞬真っ暗になり、元に戻った時にはあの草原に居た。

「……………っ…リ…リ……、………ルルっ……、逃げ…ろ…………!」
『………え?』

 背後から聞こえた苦し紛れの声。その声は馴染みのある声。恐る恐る振り向くと、そこには血を流して倒れているお母さんと、フードを深く被った男性に首を絞められているお父さんが居た…………。


===ユウキ視点========================

「……おい!お前、何やってる?」
「…………え?何って、壊してるだけですよ?」

 未だドラコを踏み躙りながら、小首を傾げるリルは、ただただ不気味だった。

 あの明らかに豹変したリルは警戒しないといけないけど、それよりリルに対する怒りの方が強かった。

((待っーー))
「リルっーーーー!!」

 俺は気づいた時には、全力でリルに肉薄し、蹴りを腹にぶち込んでいた。

 俺の全力の蹴りを受けたリルは、ドラコから離れ、近くの山にぶつかり、磔のようになっている。
 普通の奴なら即死だが………

「……………アハッ♪アハハハハハッ!!お師匠~~、酷いじゃないですか~~」

 リルは普通に無傷で、磔のような体勢から抜け出し、俺と向かい合うように少し前辺りに降り立った。
 
「………『魂の解放ソウルバースト』」
(………了解しました)

 俺は右手に技姫を顕現させてから使った。技姫はそれに呼応し、俺の周囲に激しい風を発生させる。

「え?何ですか?何ですかそれ~~!!私~、知りませんよ~~!!」

 風が途切れ、薄く青く光った刀身、背に浮かぶ6つのアトラ、様々な情報を絶え間無く表示する薄い水色の平面ゴーグルを装備した格好になった。

 攻武を探せ
(はっ)

 すぐにゴーグルに攻武の位置が表示された。どうやら、リルとは違う所で感じた禍々しい気配があった所に居るみたいだ。ここに来るのには10分はかかると見ておこう。

(…………あの~、ご主人様?)
 ん?何だ?
(まさか、リルを殺したりなんかしませんよね?)
 ……………あれは俺の知ってるリルじゃないけど、リルだ。なら、俺が落とし前をつけないと………
(……っ!!?まさかっ!本当にーー)
「考え事なんてしないでよ~!」
「……っ!」

 守姫と話していたところに、リルがまるで猫のように爪を立てて引っ掻きに来た。

 それをアトラを薄い板のように変化させて受け流す。すれ違いざまに技姫でほんの少し斬りつけとくのを忘れずに。
 受け流した先にあった地面は、まるで巨竜の爪痕のようにえぐれた。

「"解析"」

 そして、受け流した時に技姫に付いた血を、解析する。

 …………神化術式……破壊術式………っ!!?

「があぁぁぁっ!!」
(ご主人様!?)("解析"強制終了!!)

 突如、頭が破裂しそうなくらいの情報が脳を襲い、激痛が走ったが、技姫のおかげで大事には至らなかった。

 はぁ……はぁ……、ありがとうな、技姫。
(いえいえ、それよりあれは……)

 技姫が考え込むような声を出す。……まあ、それもそのはず。俺の『魔導』ですら、あそこまでの情報量は無い。一体、何がリルを………?

「どうしました?まだ壊れないでくださいよ?まだ、遊び足りないんですから~~!!!」
「"先視"」

 今度は低い体勢から、俺に飛び出し、放って来たリルオリジナルの"羅刹貫"のような一点集中型の正拳突きを左を向くように体を90°回転して躱し、

「"多風撃"」

 左腕纏うように大量発生した気流ごと、リルの腹を殴る。
 勿論、ただの気流ではなく、『殲滅武術』"拳・多風撃"として発生した気流をアトラによって強化してある。

 ただでさえ、岩を軽く砕く気流が強化されているんだ。普通の奴なら粉々だが……

「うわ~~、風がビューって吹いた」

 ちょっと吹っ飛んだだけで済んでいるリルは普通に着地して何とも無いようにしている。

「アハハハハハッ!!もっと、もっともっともっともっともっともっともっともっと!!楽しませてよ~~!!!」
「…………"万物掌握"」

 また突っ込んで来たリルを、"万物掌握"を使って作った岩のゴーレムで受け止める。

「……………これで終わらせよう…」
(………っ!?ご主人様!!?)

 俺は守姫の呼びかけを無視して、技姫を牙突のように、柄の隅を持ち、後ろに引いて左手を切っ先の背に添えて切っ先をリルを捕まえているゴーレムに向ける。

「『殲滅武術』"貫き通す一刀イットウ ムソ"」


===============================
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

処理中です...