ゲーム管理局カラス堂

石田氏

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 近い未来、リアルで体験できるゲームができるのではと思った頃を忘れてしまったぐらい、ゲームプレイヤーは熱中していた。
 別にそこまで古い話しでもなく、できたのはごく最近なのだ。しかし、携帯にスマホという新しい物があらわれた時、人はそれを当たり前に使い、かつての折り畳み式携帯のことを忘れてしまう。別にガラケーの存在を忘れるということではないが、執着がなくなると言ったほうがいいのかもしれない。とにかく人は、新しい物が出ると、かつて長年使用した物を切り離し、新しい物へと飛びつく習性がある。それは、新しい物にはこれまでなかった機能があるからだ。
 ゲームも、常に進化し新しい機能を追加していった。スマホゲームなら、新しいイベントや新機能の追加は必修で、逆にそうしなければプレイヤーは飽きてしまい、運営側はプレイヤーを失うことになる。
 しかし、新しい機能追加をしていくうちに、ゲーム事態に負担がかかり今までなかった不具合がおきやすくなる。アップデートしたばかりなのに、すぐにメンテナンスに入ってしまう。すると、当然プレイヤーからの苦情が殺到するわけで、運営側の苦労を知らずして、プレイヤーはお詫びアイテムを要求し、ネット内のチャットは炎上するわけだ。
 新しくできた、ゲーム世界に入り世界観を楽しみながらプレイする、大きく進化を遂げたこのゲームも同じ様におきるわけで、運営側はプレイに支障がないよう常に監視、管理しなければならない。
 そこで、素早く対応出来るようプレイヤーに混じり、運営側に直接苦情や相談ができる管理局をゲーム内に作った。それが『カラス堂』である。


 そして今日も、ギルドの隣に設立した施設に、苦情を言いに来たプレイヤーが現れる。
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