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◆君のための歌◆
◇距離感2◇
しおりを挟む「茉莉…諦めちゃダメだよ?」
「どうやって西条さんに勝つの…わたしじゃ無理だよ…」
「茉莉は可愛いし、優しいじゃん…お兄ちゃんの事好きな気持ちだって誰にも負けないと思う。」
そんな訳ない…
好きな気持ちしか…勝てないよ…
だけどさ…今だってあんなに仲良さげに話してる二人に割って入れない…
ううん、わたしが入る隙間なんてないみたいに見える。
見てるだけで辛いよ…
「瑠奈、お兄ちゃんに聞いてくる!」
「え、ちょ…待って?!」
瑠奈は先生のとこへと駆けて行く。
そんな瑠奈をわたしは慌てて追いかけた。
何を言う気?!
西条さんもいるのに…お願いだからやめて…
「先生!!!!!!!!!!!!!!!!」
瑠奈の大きな声に驚いたみたいで、二人は一斉に振り返る。
先生に気付かれないようにわたしは陰に隠れた。
「な、何だよ…?」
「荒川さん…?」
驚いてる2人(わたしを含めると3人)をよそに、瑠奈は静かに呟く。
「ねぇ、2人は付き合ってるの?」
瑠奈?いつも直球すぎだよ?
もう少しオブラートに包もうよ…ね?
「いや…俺は…」
「私は…付き合いたいと思ってる。」
苦笑いをしながら話し出した先生の言葉を遮り、西条さんははっきりと言った。
そっか…
やっぱりわたしの入る隙間なんてないのかな…?
分かってたよ…
わたしは瑠奈の隣に立ち、泣くのをこらえながら言った。
「瑠奈…行こ。」
「茉莉…」
「……お幸せに。」
辛くて…辛くて、先生の顔は見れなかった。
こんな涙を見せたくなかった。
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