メロディーライン

めりぃさん

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◆君のための歌◆

◇離れたくない◇

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わたし達がたどり着いたのは海岸。
そこで先生は「どうしたんだ?」と呟く。

「…この前…保健室であんな事言ってごめんなさい…」
「そんな事気にしなくていいんだ。」
「わたしね…先生に大嫌いって言われる夢を見たの…それで怖くて取り乱してた。」

あの夢が正夢になるんじゃないかって。
『俺は星野の事が…』その先を聞くのが怖かった。

「俺は…初めて話したあの時からずっと星野の事が好きだ。それは今も同じだ…」

先生も…だったの?
ずっと…ずっとわたしの片想いだと思ってた…

「でもさ、俺は恋愛に疎いから、これが恋だって気付かなかったんだよな…」
「先生…」
「梶原に告白されたんだろ…?その事だって…大人げないけど妬いたりもした…」
「知ってたの…?」
「瑠奈があんな大声で言ってちゃ嫌でも分かるだろ…それに…放課後星野に会いたくて屋上に行ったら丁度…」

まあ…瑠奈のリアクションの大きさはすごいしね…
でもまさか先生が聞いていたなんて…

「断ったよ…。」
「何で…?」
「わたしは、不器用で、照れ屋で…でもとってもカッコイイ先生の事が…ずっと前から好きだったからだよ…。」

そう言って先生に抱き着く。
すると先生はわたしを強く抱き締めてくれた。

「先生…」
わたしは先生の顔を見上げ、静かに目を閉じた。
「星野…」
けれど先生はわたしの期待を裏切りおでこに優しくキスを落とす。
この人どんだけSなの?

「どして…?」
「いや…唇にしたら…一回じゃ足りなくなりそう…」

先生は顔を真っ赤にして片手で口元を覆った。
無意識でこんな事してるんなら先生は相当すごいんだろう。
わたしまで真っ赤になり、恥ずかしさで俯く。

「かっこ悪いよな…いい歳した大人が高校生に余裕ないとか…」
「今更そんな事気にしなくていいし…」
「お前さ…なんでそういう事言うかな…」
「ええ?」
「それと…そろそろ離れてく…れ…」

先生はそう言うとフラッとよろめいた。
意外と純粋なのかな…?




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