怪物と呼ばれたモノ

神崎 詩乃

文字の大きさ
1 / 17
第一章 占領

出生から旅立ちまで

しおりを挟む
神話歴1305年水の月の18日
王都からすこし離れたそれなりに豊かで緑溢れる村で私は生まれた。

両親は共に農家の家の出で村外れにある大きめの畑を持ち、そこそこいい生活を送っていた。

私が生まれた日は近年稀に見る豪雪の日だったらしい。産気づいた母親が産婆のいる王都まで馬車で向かおうとしたらしいが雪のせいで馬車が使えず、村の人達が協力して私を取り上げたらしい。

髪は透きとおるような白。
眼は真紅のような紅

父親と母親が事前に協議して決めた結果名前は「レティシア」

父としては家を継がせるために男が欲しかったらしいが母親は女の子が欲しかったらしく溺愛した。

そして、月日は流れ私が丁度5歳になった時、村に魔術師が訪れた。
その魔術師は占いがすごく良く当たると人気の魔術師で、両親は家の将来と私の将来を占って貰うべく魔術師の元を訪れた。

黒いローブを身にまとい、整った顔立ちの優しい青年といった風貌の魔術師が私は苦手だった。

「今日はどういったことを占いますか?」
「魔術師様、今日は家の未来とこの娘の将来をお願いします。この娘は物静かで、あまり人と関わらないものですから。将来が不安で不安で。」

私が2歳くらいの時、弟が生まれた。だから家は弟が継ぐことになる。だから、家の将来は二の次で本題は私の将来なのだろう。
「分かりました。お嬢さんのお名前は?」
「……レティシア」
無視してやろうかと思ったが両親の視線が徐々に険しくなっていくので答えた。

「分かった。ありがとう。ではこの水晶の上に手を置いて。」

言われたとおりに推奨に触れる。冷たくて、何かが持っていかれたような感覚があった。

「おや…うーむ…。」
「どうなさったのですか?」
「いや、ご両親…気をたしかに持ってください。実は…この娘は呪われています。」
「は?」
「この娘には破滅の呪いがかかっています。ですから…この子が誰かと関われば関わるほど関わった者達を不幸にしてしまう。」
「……冗談でしょう?」
「いいえ、私は冗談を好みません。」
「何か呪いとく方法はないのですか!?」
「残念ながら…彼女を遠ざけるしかありません…。お気の毒ですが…。」

それから暫くして、母が流行病に倒れ、死んだ。その日は私の6歳になった誕生日だった。

父は暫く塞ぎこみ、家事は家政婦がひと通りこなしていた。それからというもの、父は私が母を殺したと言い始め、座敷牢をつくり、そこに私を軟禁した。

牢には鍵がかけられ、そこから出ることを禁じられた。ずっと牢の中。手元にあるのは本棚から抜き去った数冊の本。食事は家政婦が運び、弟は父親から教育を受け、学校へ行き、優秀な成績をおさめていった。

私はずっと座敷牢で家政婦と短い会話をし、屋敷の本を渡してもらっていた。

家政婦の持ってくる本はいつもテキトーで魔術書だったり、英雄譚だったり、聖書だったりした。
会話もいつもありがとう。とか美味しかった、とか他愛のない話を最小限するだけ。そんな日々が数年続いた。

7、8回ほど過ぎたとある冬の日。父が死んだ。あとから聞いた話によればまた私の誕生日だったらしい。

その日、私は家を出た。

荷物は家政婦に言って少しばかり用意してもらい、
魔導書や、キズぐすり、少しの金品、護身用のナイフ。それから、少し先にある街の話。そこまでの地図。それらをリュックサックに突っ込んで急ぎながら生家を後にした。

理由はいくつかある。

父の死は正直悲しくはなかったがこのままでは次に死ぬのは育ての親である家政婦な気がした。
更に、父の弟が家を継ぐ事になったらしいがこの男は最低で、幾度と無く私を油テカテカな貴族のオヤジ達に格安で売っぱらおうと計画していた。

父は一応世間体や母の事を思い出し、私を売ることに反対していた。
しかし、父が死んだ今、私を売ることに反対出来る人間は居ない。

だから、家を出た。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...