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一生にいちどきりのダイエット

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 私は、普通のサラリーマンです。しかし、ちょっとしたことにより今回の「一生にいちどきりのダイエット」をすることになってしまった。結果から言うとダイエット前は、身長164cm・体重69kg・体脂肪率25.4%・ウエスト85cmの小太りビール腹の俗に言うおじさん体系であったが体重65kg・体脂肪率18.2%・ウエスト81cmと一番減りにくい体脂肪率が極端に減りウエストも細くすることができた。よって、ビール腹もへこんだので少しスリムになった。

 さて、このダイエット方法は、もちろん1日3食を食べて特には運動をしないでの結果である。今回の期間としては、18日間である。では、1日の過ごし方としては、基本読書とかをしてダラダラ過ごすだけである。もちろん、数日に1回は外出もする。スケジュールとしては、ある程度の団体行動となるが1部屋に3~4人なので狭く感じることはない。
06時30分:起床(アラーム等は鳴らず電気が付くだけだが他の人が起きるのでなんとなく気が付くのである。)布団を畳んで押し入れに片づけてから歯磨き・洗顔を済ませる。
07時00分:朝食(ごはん、インスタント味噌汁、揚げ物・蒲鉾・スパゲティ、おしんこ2種類で白湯・水は飲み放題)私は、いつも朝食を食べないが皆が食べるので食べていた。ここで気を付けたいのが食べる量である。ごはんとおかず類は、半分程度に抑える。ダラダラ過ごすので十分である。
07時30分:外に出て自主運動(昔はラジオ体操をしていたらしい。)、髭剃り、爪切り等の身だしなみを整える。それと並行して部屋に掃除機をかける。意外とこれもいい運動になるのである。
  ~  :自由時間
12時00分:昼食(コッペパン2個、ジャム2種類、マーガリン1個、揚げ物、スパゲティ、ジュース、白湯・水は飲み放題)BGMは、5分間のラジオと誰選曲か不明な音楽が流れる。この音楽が鳴っている間は、昼食時間である。ここでも、パンは1個とマーガリン1個は食べないようにする。
  ~  :自由時間
17時00分:夕食(ごはん、揚げ物・煮物・玉子焼き・スパゲティ、おしんこ2種類で白湯・水は飲み放題)酒類はなく、ここでもごはんとおかず類は、半分程度に抑える。
  ~  :自由時間
20時30分:就寝準備(押し入れから布団を出し、布団を敷く)、歯磨き・洗顔を済ませる。
21時00分:消灯(照明が落ちる。)
 これが、1日の流れであるが3日に1回程度は、08時30分~19時30分の間、数人がバスで霞が関方面へ外出する。これが意外と大変でありその時間内は、ほぼ座っているだけである。(読書等も禁止である。昼食は、同じように出るが揚げ物・蒲鉾・スパゲティは、チーズ1本になる。)戻って来てから外出していた人だけで夕食を食べる。

 この様に、多少の食事制限があるが自由時間には寝てもいいし、読書をするのもいいし、自分を見つめ直す時間に費やしてもいいのである。よって、ほぼ動かないので食事が半分程度になっても特にお腹が空くわけでもない。さらに、睡眠時間は、毎日9時間30分と普段の疲れを取るには十分な時間である。さらに、これだけの規則正しい生活を送るには一人で実施するのは不可能であると思う。誘惑だらけの世の中ですから…。

 ちょとした問題点としては、同じ部屋になった人がイビキをかく人だと辛いのである。こればかりは、運に頼るしかないと思う。

 これだけのことをしてもここの施設は、全て無料なのである。さらには、持病等で服用している薬代もなんと無料なのである。もっと言えば部屋着・下着・歯ブラシ・歯磨き粉・石鹸・タオルも無料で貸し出しもあるのである。これによって、最初に記載したダイエット効果があるのである。ここまでで、この施設が何処なのかお判りでしょうか?

 そうである。この方法は、警察署に留置されることにより可能になるのである。

 例えば、A店であなたが酔っぱらって店員を軽く叩いてしまった場合、店舗が暴行事件として警察に連絡し告訴状が提出されると、とりあえず最寄りの警察署に連行される。その後、警察署にて警察官が取り調べを行ないます。その際に「弁護士が来るまで黙秘をします。」と伝えると警察官としては、弁護士(注1)が到着するまで何もできないのでとりあえず留置場に入れられます。その後、弁護士が来てから取り調べを行います。逮捕されてから48時間以内に検察庁に事件が送られます。その後、検察官は、それから24時間以内に簡単な取り調べをしたうえで、拘留の必要がある場合は、裁判所に「拘留請求」をします。翌日には、簡易裁判所にて裁判官が、あなたに「勾留質問」をし、拘留するかどうかを決めます。「勾留質問」の際にも、黙秘するとほとんどの場合、勾留請求された日(大体前日)から10日間の勾留期間が決定します。その後、警察官や検察官による取り調べ等が行われますが、その際にも黙秘を続けることにより、さらに10日間(合計20日間)の勾留延長が決定します。しばらくしてから、警察官や検察官による取り調べ等で事実を伝えることにより、弁護士がA店に出向き「反省文等を書かせることで示談にしてほしい。」などの交渉を行ってくれてA店が示談してくれて告訴状が取り下げられるとその日の時点で留置場から出ることができます。あくまでも、軽微な事件でないと起訴されて裁判になり無罪・有罪が決められますのでご注意ください。また、同じような軽微な事件でも複数回行うと悪意があると考えられて有罪になってしまうこともあるのでご注意ください。
このことにより今回の「一生にいちどきりのダイエット」は、一度きりにすることをお勧めします。複数回行うと実刑や罰金刑になる可能性が高くなります。

補足
留置場
全ての警察署にあるわけではない。部屋の広さは、10帖程に鍵の掛からないトイレがある。その空間に3~4人程度入るが特別狭くは感じない。留置場内の部屋では、同室の人と話もできます。留置場内は、個人名は使えず全て番号にて呼ばれます。ただ、面倒なのは自分のロッカーは与えられるのですが自分では取りに行けないので留置係の人に頼まなくてはいけません。また、ボールペンは凶器になる可能性があるため特別(ペン先が少ししか出ていない。)なボールペンを貸して貰えますが貸し出しの為には、書類に署名(番号)が必要となります。さらに、就寝時には眼鏡を預ける必要があるのも面倒です。

弁護士
国選弁護人と私選弁護人がいます。
 捜査段階(被疑者が逮捕されてから起訴されるまで)においては,被疑者が逮捕され,裁判官が勾留決定(10日間の身体拘束が決まること)をすれば,国選弁護人が付くことになります。この国選弁護人は,裁判所が選んだ弁護人であり,被疑者や被疑者の家族が自由に選べるわけではありません。また,基本的には被疑者が勾留された時点で付くことになりますので,検察官・裁判官に対して被疑者を勾留しないようにお願いするということは事実上できないことになります。
 この国選弁護人制度以外にも,被疑者や被疑者の家族が弁護士会に要請することで1度警察署に接見に来てもらう当番弁護士制度というものがありますが,これは初回の接見のみ無料で,その後は,接見に来た弁護士との間で個別に委任契約を結ぶかどうか判断することになるので,結果的には私選弁護人と同じような形になることがあります。
 他方,国選弁護人,当番弁護士という方法をとらずに,純粋な私選弁護人を選任する場合には,上記2つの制度と異なり,被疑者や被疑者の家族が自由に弁護士を選ぶことができます。そのため,被疑者と相性のいい弁護士や刑事事件に特化した弁護士を御自身の判断で選ぶことができます(国選弁護人,当番弁護士の場合,普段は刑事弁護をやらない弁護士が担当することもあります)。また,早い段階で私選弁護人を選任すれば,警察官に対して逮捕しないように求めたり,検察官・裁判官に対して被疑者を勾留しないように求めたりすることができます。ただ,私選弁護人については,弁護士費用を御自身で払う必要があるので,その点が国選弁護人よりもマイナスになります。 
 次に,逮捕・勾留されていない場合についてですが,この場合には検察官に起訴されるまでは国選弁護人は付きませんので,被害者と示談して不起訴処分を目指す場合や否認事件で積極的に自分の言い分を検察官に認めてもらいたい場合などには,捜査の早い段階から,私選で弁護人を付けた方がいいでしょう。早い段階から弁護士がついている場合,自白事件であれば,弁護士が被疑者本人の事件に対する反省を深めさせた上で,被害者に対して,事件後すぐに示談交渉を行い,最終的には不起訴処分を獲得するということができます。また,否認事件の場合,弁護人なしで捜査に応じていると,警察や検察での事情聴取の際,被疑者が特に意図せず話したことが後々被疑者・被告人にとって不利な証拠として利用されることもあるので,そんなことにならないように,早い段階から弁護士に依頼して,事情聴取の際のアドバイスをしっかり受けていた方が良いでしょう。
弁護士の必要性
①  被疑者が犯した犯罪が被害者の存在する事件(痴漢や盗撮等の性犯罪,万引きなどの財産犯,暴行罪や傷害罪などの身体犯など)であった場合には,なかなかそうは行きません。検察官は,被害者の感情や被害弁償の有無などを考慮せざるを得ないので,被害者に対して何もしていない被疑者を簡単に許すわけには行かないのです。そこで,弁護士がついて,被害者との示談交渉を行っていくことになるのです。
   被疑者の中には,この被害者との交渉を自分でしたいと思う人もいるとは思いますが,警察や検察は基本的にはトラブルの素になるので,被疑者にそのようなことをさせようとはしません。そのため,被害者に被害弁償をしたり,示談の話をしたりするためには,弁護士が必要なのです。弁護士が被疑者の弁護人として付けば,弁護士が警察や検察から被害者の連絡先などの情報を教えてもらい,被害者と面会して,示談交渉を行うことができます。
②  被疑者が逮捕されたり,逮捕後にそのまま勾留されたりしている場合,被疑者本人は勿論のこと,被疑者の家族や被疑者の関係者等も早く被疑者を外に出してあげたいと思うでしょう。しかし,いくらその人たちが外に出してあげたいと思っても,警察や検察,裁判所は,被疑者を外に出しても逃亡したり,証拠を隠したりしないという確証が持てなければ,被疑者を外には出してくれません。
   このような状況においては,警察や検察,裁判所を説得するために,弁護士が必要になります。弁護士が証拠を集め,意見書を作成し,それをもって警察や検察,裁判所を説得してこそ,被疑者を外に出してくれるようになるのです。特に,犯罪の性質として,逃亡のおそれや証拠隠しのおそれが低いとはいえない事件では,弁護士の意見書があるかどうかで釈放の可否が変わることがあります。
   また,被疑者が起訴(公判請求)されると,保釈請求をすることができますが,これについても,弁護士が保釈に関する意見書を提出することで,保釈される可能性が高まります。ですから,被疑者・被告人の身体拘束を解くためには,弁護士の存在が不可欠です。
③  被疑者が逮捕されて身体を拘束されている場合でも,そうでなくても,被疑者が犯罪事実を否定しているのであれば(否認事件),弁護士の存在は不可欠です。
   否認事件の場合には,自白事件と異なり,弁護側で無実の証拠を探してこなければいけません。刑事訴訟では,「疑わしきは被告人の利益に」という大原則があり,捜査段階でもその理念に基づいて処分が決められるべきではありますが,現実にはなかなか難しく,犯罪事実を否定するのであれば,被疑者・被告人が無実であるということをこちら側から積極的に立証していく必要があります。そのため,犯罪事実を争うのであれば,被疑者・被告人だけでは難しく,弁護士の存在は不可欠になってくるのです。
   また,自白事件の場合にもありますが,否認事件の場合には,特に警察や検察の取調べがきつくなりがちです。このような状況において,弁護士のアドバイスがないと,被疑者は自己の権利である黙秘権をはじめあらゆる権利を意識できないまま,事情聴取を受けさせられてしまうことになります。また,取調べにおいては,捜査機関が自分たちに有利な供述調書になるように被疑者を誘導してくることがあります。法律の素人である被疑者が特に問題ないと思っていたことが後々取り返しのつかないことになっているということはよくあることです。そのため,否認事件においては,こちらの主張がしっかりと書面化されるようにするため,早い段階で弁護士を付けて,捜査機関に有利な証拠を作られないようにすることが重要です。
④  被疑者が逮捕され,警察署などで身体拘束されている場合,逮捕されて数日は家族であっても被疑者と面会できない可能性が高いです。そのため,逮捕直後に被疑者の話を聞くためには,弁護士を弁護人として付けたうえで,弁護士に被疑者の接見に行ってもらう必要があります。
   また,事件によっては,被疑者が長期間身体拘束されることを余儀なくされる場合もあります。このような場合に,被疑者に接見禁止の処分が付いていれば,弁護士以外面会できないのは当然ですが,接見禁止の処分が付いていなくても,家族は警察官立会いの下で短時間しか被疑者と面会することができません。そのため,事件に関することやそれ以外のことについて,家族が被疑者と綿密にコミュニケーションを取ることは非常に難しい状況になりますので,被疑者と家族のコミュニケーションをしっかり取れるようにするためには,警察官の立会いや時間制限がなく被疑者と接見できる弁護士の存在が不可欠になってくるのです。 
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