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第ニ章
三ツ矢大輔のファンミーティング
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いつもの週末
いつものように図書館でのバイトを終え帰宅中
いつもじゃない出来事が起こり
現在自分の置かれている状況が呑み込めないまま
タクシーの後部座席
遠慮がちにスマートフォンの画面を見つめ
震える手で『ファンミーティングとは』と文字を入力。
表示された画面を食い入るように見つめる。
_____________
ファンミーティングとは、アーティストやアイドル、芸能人とファンが直接交流するための特別なイベント
これらのイベントは、ファンにとって憧れの存在と身近に接する貴重な機会を提供します。ファンミーティングは、一般的にコンサートやライブとは異なり、よりインタラクティブで親密な雰囲気が特徴。
具体的な内容としては、トークショー、サイン会、握手会、写真撮影などが行われる。
ファンミーティングの目的は、ファンとの絆を深めること。
アーティストや芸能人は、ファンからの応援に感謝の気持ちを伝えると同時に、直接コミュニケーションを図ることができる。また、ファンにとっては、好きなアーティストと触れ合うことで、さらなる応援の動機づけとなる。
このようなイベントは、特にファンクラブの会員向けに開催されることが多く、限定された人数で行われるため、非常に特別な体験となる。
_____________
活字を食い入るように目で追うが緊張のあまり内容が頭に入ってくるようで全く入ってこない。
何度読んでも理解できるようで出来ないフリーズ状態の脳みそでは無駄だと思い
僕は諦めそっとスマートフォンを閉じた。
沈黙の車中
畏れ多くて隣の相手へと目を向けることが出来ず
それならばと
現状の把握に努める為
一度深呼吸してから頭の中で整理をする
現在僕はタクシーに乗っている。
僕の意志ではない。
相手の意志だ。
僕の意志ではない連れ去りは、拉致。誘拐。
しかしそれを行った相手は自分の推しでありファンであり。出会った頃からの憧れの人
そしてその憧れの彼が先ほど僕に言った言葉
それが『ファンミーティングをしよう』だった。
と、いうことはつまり。
・・・・・
え、
まさか
もしかして
バレてる?
僕が三ツ矢大輔のファンであるということが三ツ矢大輔本人にバレているってこと?
え、いつから?
え、どうして?
え、あり得ないことだと思うけど
一ヶ月前の記憶を遡る
初めて彼が僕の居る図書館へと来た時に、彼はただ借りたい本を借りに来た。
と、思っていた。
しかし、彼がもしも、僕が三ツ矢大輔のファンであり、お勧めの哲学書を紹介する便りを送った相手と知って敢えてこの図書館へ足を運んでくれたということなのだろうか?
だとしたら、何故、初めて会ったあの時にそのことを言わなかったのか?
ここ一ヶ月の間、僕がファンであることを認知していながら、そのことに対して一切触れず、知らないフリをして毎週僕が勧める本を借りに来て、その本を読んだ感想をラジオを通じて報告していた。
何故だ?
どうしてだ?
分からない。
あり得ない。
そうだ、あり得ない。
だって、三ツ矢大輔宛ての便りはハガキではなくメールで送っていた。その為、差出人は『秋の瞳』というペンネームのみで、本名は明かしていない。
だから僕が『秋の瞳』であることはいくら秀才、三ツ矢大輔といえども分かるはずがない。
なのにどうして、、、。
三ツ矢大輔がラジオのパーソナリティを始めると知った時から、僕は毎週欠かさず便りを出した。
僕にとって彼は憧れの存在。
そんな彼に自分のことを認知してもらおうなんて毛頭思っていなかったが、ひとりのファンとして便りを出すくらいならいいだろうと思って、初めて僕から彼へと近づいた。
その便りの中で確かに僕は大学に通う傍らで都内の図書館でアルバイトをしていることは伝えたが、それ以外の細かな情報は何も伝えていない。
都内に図書館は400館ある。
その中からたまたま僕の居る図書館へ足を運ぶ確率は極めて低い。
やはりあり得ないことだ。
もう
訳が分からず
チラリと隣に座る彼の顔へ視線を向ける。
端正な顔立ちが携帯端末の液晶に白く薄らぼんやりと照らされている
そのイケメン過ぎる横顔にドキリと胸が高鳴り
直ちに視線を外す。
何故だ
どうしてだ
僕は一体これからどこへ連れて行かれるんだ・・・
もう一度彼が先ほど言った言葉が頭をよぎる
『ファンミーティングをしよう』
ファンミーティングって、推しとファンが一対一で行うものなんて
そんなの聞いてないんですけど!!
僕はどうしていいか分からず手の中のスマートフォンをぎゅっと強く握り締めた。
いつものように図書館でのバイトを終え帰宅中
いつもじゃない出来事が起こり
現在自分の置かれている状況が呑み込めないまま
タクシーの後部座席
遠慮がちにスマートフォンの画面を見つめ
震える手で『ファンミーティングとは』と文字を入力。
表示された画面を食い入るように見つめる。
_____________
ファンミーティングとは、アーティストやアイドル、芸能人とファンが直接交流するための特別なイベント
これらのイベントは、ファンにとって憧れの存在と身近に接する貴重な機会を提供します。ファンミーティングは、一般的にコンサートやライブとは異なり、よりインタラクティブで親密な雰囲気が特徴。
具体的な内容としては、トークショー、サイン会、握手会、写真撮影などが行われる。
ファンミーティングの目的は、ファンとの絆を深めること。
アーティストや芸能人は、ファンからの応援に感謝の気持ちを伝えると同時に、直接コミュニケーションを図ることができる。また、ファンにとっては、好きなアーティストと触れ合うことで、さらなる応援の動機づけとなる。
このようなイベントは、特にファンクラブの会員向けに開催されることが多く、限定された人数で行われるため、非常に特別な体験となる。
_____________
活字を食い入るように目で追うが緊張のあまり内容が頭に入ってくるようで全く入ってこない。
何度読んでも理解できるようで出来ないフリーズ状態の脳みそでは無駄だと思い
僕は諦めそっとスマートフォンを閉じた。
沈黙の車中
畏れ多くて隣の相手へと目を向けることが出来ず
それならばと
現状の把握に努める為
一度深呼吸してから頭の中で整理をする
現在僕はタクシーに乗っている。
僕の意志ではない。
相手の意志だ。
僕の意志ではない連れ去りは、拉致。誘拐。
しかしそれを行った相手は自分の推しでありファンであり。出会った頃からの憧れの人
そしてその憧れの彼が先ほど僕に言った言葉
それが『ファンミーティングをしよう』だった。
と、いうことはつまり。
・・・・・
え、
まさか
もしかして
バレてる?
僕が三ツ矢大輔のファンであるということが三ツ矢大輔本人にバレているってこと?
え、いつから?
え、どうして?
え、あり得ないことだと思うけど
一ヶ月前の記憶を遡る
初めて彼が僕の居る図書館へと来た時に、彼はただ借りたい本を借りに来た。
と、思っていた。
しかし、彼がもしも、僕が三ツ矢大輔のファンであり、お勧めの哲学書を紹介する便りを送った相手と知って敢えてこの図書館へ足を運んでくれたということなのだろうか?
だとしたら、何故、初めて会ったあの時にそのことを言わなかったのか?
ここ一ヶ月の間、僕がファンであることを認知していながら、そのことに対して一切触れず、知らないフリをして毎週僕が勧める本を借りに来て、その本を読んだ感想をラジオを通じて報告していた。
何故だ?
どうしてだ?
分からない。
あり得ない。
そうだ、あり得ない。
だって、三ツ矢大輔宛ての便りはハガキではなくメールで送っていた。その為、差出人は『秋の瞳』というペンネームのみで、本名は明かしていない。
だから僕が『秋の瞳』であることはいくら秀才、三ツ矢大輔といえども分かるはずがない。
なのにどうして、、、。
三ツ矢大輔がラジオのパーソナリティを始めると知った時から、僕は毎週欠かさず便りを出した。
僕にとって彼は憧れの存在。
そんな彼に自分のことを認知してもらおうなんて毛頭思っていなかったが、ひとりのファンとして便りを出すくらいならいいだろうと思って、初めて僕から彼へと近づいた。
その便りの中で確かに僕は大学に通う傍らで都内の図書館でアルバイトをしていることは伝えたが、それ以外の細かな情報は何も伝えていない。
都内に図書館は400館ある。
その中からたまたま僕の居る図書館へ足を運ぶ確率は極めて低い。
やはりあり得ないことだ。
もう
訳が分からず
チラリと隣に座る彼の顔へ視線を向ける。
端正な顔立ちが携帯端末の液晶に白く薄らぼんやりと照らされている
そのイケメン過ぎる横顔にドキリと胸が高鳴り
直ちに視線を外す。
何故だ
どうしてだ
僕は一体これからどこへ連れて行かれるんだ・・・
もう一度彼が先ほど言った言葉が頭をよぎる
『ファンミーティングをしよう』
ファンミーティングって、推しとファンが一対一で行うものなんて
そんなの聞いてないんですけど!!
僕はどうしていいか分からず手の中のスマートフォンをぎゅっと強く握り締めた。
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