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北の村復興編
57. まずは定期報告から
しおりを挟むパシリカに向けて魔装車を走らせる一行のもとに、いつもの着信が入った。
【プルルル……プルルル……ガチャ、あっ、女神様、スピーカータイプだ】
『第六の術、使ったみたいね救世主』
「やはりわかりますか……!」
『そりゃあ分かるわよ! アンタ激痩せにも程があるでしょ⁉ 誰なのよアンタ! 痩せたら全然キモオタじゃないじゃない!』
「女神様、好きです(キリッ!)」
『や、やめろやめろ~! バカタレ! いい? 第六の術【メタボ・ル・フォーゼ】は発動条件として、ユタカ青年の魔力をごっそり持っていくの、今回は脂肪が糧になって持って行ったけど、もう発動は出来ないわよ? したら私直属の使徒でも今度こそ死ぬからね⁉ あの加護は寿命への効果であって、即死には対応してないの!』
「話に入って悪いがな、アンタがフォルトゥナ様ってやつか?」
『そうよマリーゴールド・タッチアップル。私がこの世界の創造主フォルトゥナよ!崇めよ! 称えよ! 奉りなさい! お供えは上等なお菓子が最良よ!』
「いいたい事は色々あるがよ、ユタカの第六の術が糧を消費して発動するのはわかった。つまりコイツにとって脂肪は、蓄積された高純度魔力の塊だった訳だな?」
『そういう事になるわね。私の選んだ救世主なんだから、普通とは異なるわ』
「やはりそうか……! だからコイツから膨大な魔力を感じてるのに、コイツ自身はすぐにガス欠になるのか……!」
豊の魔力は、このフォルトゥナ世界の魔力法則とは異なる。本来この世界の人間にある魔力は血液に含まれている。魔力の濃度はひとりひとり個人差があるが、豊はそれに加えて【脂肪に魔力を貯めることが出来る】
しかし、内臓脂肪や皮下脂肪からは魔力を取り除く事が極めて困難で
豊にとって魔力とは【体内のエネルギー】と同じであった。
運動してすぐに痩せないのと同じ様に、
まずは身体に吸収される前のエネルギーが優先的に消費され、それを越えて消費をしようとすると、蓄積された脂肪がエネルギーに変換され、消費されるのと同じ様な理屈である 。
体内の魔力が消費される時の作用によって、
豊の脂肪は綺麗さっぱり無くなり、おまけで皮膚も縮んだということであった。
「第六の術は体内の魔力数をはるかに越えて消費し、一時的な超人化を成す……という事だな」
「へぇ~……。そんな恐ろしい魔術だったのか……!」
「他人事みたいに言うな! お前の魔術なんだぞ! ったく……死んでもおかしくない話なのに……わかってんのか全く……」
「マリーありがとう。心配してくれて……」
痩せた豊の顔を直視したマリーゴールドは顔を逸らす。
「ば、ばかやろう。礼なんかいらねぇんだよ……!!」
『今後は十分気をつけなさいね、ちなみに幸福度は十三パーセントまで回復したわ、リアーラの調査によればこのギルダム王国では、飢えで苦しむ人々はもう居ないみたいよ。やったわね』
「ならば、安心して他の国に赴けますな! やりましたぞ! 成し遂げたぜ!」
「ごしゅじんさまの! いつもの口調キター‼」
「なんだか久しぶりですね、ユタカさんのその口調」
「ほら、イチャイチャしてないでさっさと獣の国に行くぞ! 私が居れば国境はパス出来るからな!」
『これで定期連絡おわり。次の活躍を期待しているわ』
【ガチャ、ツーツー……】
「女神さまの話も終わったことだし、ここでみんなの戦力を確認しておきたいと思いますぞ。みんなに話すのは初めてなんですが、僕のレベルは現状のところ、三で止まっています」
「三だと⁉ そんなわけあるか! あの技量と戦闘力でか⁉」
マリーゴールドの驚きはもっともである。通常人間のレベルは五辺りで一人前という認識が一般的であり、これは冒険者が継続できる一つの目安とされている。
ジェネイラ武具大会で登場した狂戦士ジャマがレベル八であり、優れた実力を持つものはそのくらいのレベルを有していて当然という認識をされている。
「えぇ、しかも大猿戦でレベルは上がりませんでした」
「あれ程の相手を倒してレベルが上がらなかったんですか ? ユタカさんのレベル上昇に必要な経験値はどうなっているんですか……?」
「ロシィでもレベル五なんだよ? どうしてごしゅじんさまのレベルは上がらないのかなぁ……?」
「いや……ロシィのレベルも年齢を考えたら常識外れに高いんだが……。今はユタカの話だ。ステータスを見せろ。仲間同士なら自分の意志で見せる事が出来るはずだ」
「分かった。ステータス展開表示」
ステータス展開――
【ユタカ・ホウジョウ】 称号複数所持
LV3 HP.500/500 MP.140/140
筋力 STR(strength)64
頑強 VIT(vitality)48
瞬発 AGI(agility)36
器用 DEX(dexterity)28
知能 INT(intelligence)56
幸運 LUK(luck)10
――――――――――――――――
技能 【常識・統括】【模倣】【料理】
【ドラミング→パンプアップに進化】【スタード流剣術】
【解体術・派生→滑り斬り】
魔術 【激しい発汗】【クイックアップ】【過剰なる糧】
【時を駆ける創造】
【怒りの鉄槌】【無垢なる無】
※以下、情報量が多過ぎるため省略
――――――――――――――――
「は……?」
皆言葉を失っていた。そのステータスがあまりにも異質だったからだ。
「神の使いってこんなにもステータスに違いが出るのか? そりゃあ人の能力値を確認する機会なんてそう多くはないけれど、異常な値であることは見てすぐにわかる。知能の値が私に匹敵しているだと……⁉ この稀代の天才魔術師である私と……?」
「筋力の値はレベル七のオレとほとんど変わらないじゃないですか!」
「ごしゅじんさま知能高~い! 頭いいとは思ってたけど!」
「この能力値から察するに、ユタカは必要経験値がとんでもなく多い代わりにレベルがひとつ上がった時の能力値における上昇値が高いんだろう。そうじゃないと納得がいかない」
「規格外とは思っていましたが、さすがに人間離れしていますね……!」
「もしかしたら僕のレベルに対する意識が関係しているかもしれないな。レベルが二に上がった時、【能力の最大値を引き当てたい】という思いを持ち続けてきたんだ。この考えはおそらくフォルトナ世界の外から持ち込まれたものだから……」
豊の考えはおおよそ当たっていた。意識も表面化もされていないが、彼は無意識の中でレベルが上昇する事を避け、能力値の上昇を第一考えていた。その思想が制約となってレベルの上昇を抑圧し続けていたのである。
「レベルの造詣についてユタカには一日の長があったという訳か……」
「そういうことでしたら一先ずの理解は出来ましたね。オレたちも意識次第でもっと強くなれるのでしょうか?」
「さぁな……。とにかく経験値を得るには強い生物を倒す以外の近道はない」
「じゃあひたすらに修行あるのみ! だね~!」
「それじゃあ、目指すは獣の国~! パシリカ! みんないくぞ~!」
「「「おー!!」」」
「おー! ケロ~!」
「今の声誰だ⁉⁉」
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