一生のお願い

ゐづも

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昔の俺

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俺の昔は、ハッキリ言うと…腹立つ奴だと思う。いや、小学生低学年まではそうでも無かったんだ。小さい頃からおままごとが好きだった。男のくせに、気持ち悪いと言われた事もあった。だが、その時の俺は好きな事を好きなだけしたいという考えだった。だから周りの目なんか気にせず好きな事をしまくった。勘違いしないで欲しいが、俺は別に可愛い服や物が好きで女の子になりたいと思っていた訳では無い。
小学生になると、読書にハマった。沢山の非現実的な物語、まるで俺を冒険へと連れて行ってくれる様だった。本で出てきた所謂魔法使いなんかも実在していると本気で思っていたんだ。そんな感覚が好きで、退屈な学校にいる時なんかはずっと本を読んで過ごした。
だが、変な事に小学校中学年辺りで性格が激変した。今までは人前に出る事何てやりたくなかった。誰かの注目を浴びるなんて最悪だと思っていた。それなのに、何故かいきなり明るく振る舞い、学級委員にまで立候補した。それまでなら良いかもしれない。だが、残念な事に俺は嫌われていた。元々本をずっと読んでいるような根暗だし、いきなり元気なフリして調子乗ってると思われたのかもしれない。学級委員には当然選ばれず。
口も、物凄く悪かった。今思い出しただけでも自分を殺したくなる位だ。「死ね」という言葉を平気で使っていた。それも、ブラックジョークだと自分では思っていて皆、面白がっていると勘違いしていた。当たり前だが、そうして皆離れていった。

高学年にもなると少し落ち着いて、そういう言葉は言わなくなった。最悪の空気にようやく気付いたという感覚だ。そうすると、自然と人も寄ってくるもんだった。俺の一番とも言える親友が出来たんだ。そいつは少し変わっていて、でも面白かった。
相変わらず、学年が変わる度、前期後期が変わる度に学級委員には立候補していた。勿論選ばれず。何なら0票。
時間が経つにつれて少しずつ馴染んでいって前よりかは大人しくなった。沢山思い出も作り、修学旅行では告白され…今思えば小学生が一番充実していたかもしれない。だが、卒業が近くなって一番の親友に中学受験をすると聞かされた。
最低な事だが、落ちてくれと思ってしまった。このままずっと一緒にいたかった。しかしその願いは叶わなかった。親友は無事に合格し、そのまま私立のお金持ち学校へと行ってしまった。自然と付き合いも減って行った。
中学へはやはり、一人で行くしかないのか…と落ち込んでいた所意外な事に、家が近い同級生が一緒に行こうと誘ってくれた。俺は承諾して、それから毎日一緒に通った。

俺が思っていたより中学の生活は大変だった。しかし、この時の俺はポジティブの塊なのか単純にバカなのか分からないがヘラヘラしていた。後に、大ダメージを負うんだが。
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