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【皆と共に】
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午後は午後で遊ぶ人、飲み続ける人、各々好きな時間を過ごす。女性陣は、ビーチバレーに夢中である。
ナ「そりゃ!」
揺れる。
ノ「えい!ティナちゃん!」
揺れる。
テ「はい!とぉ!!」
余り揺れないけど、可愛い。
ナ「なんの!!シルビア!」
揺れる。
シ「えい!!」
揺れる。中々のラリーぶりである。その度に俺の目は釘付けだ。
シ「あぁーー!」
テ、ノ「やったぁ!!!!!!」
二人はハイタッチする。なんか、砂浜の水着女子はたまらない。
ナディア「なんか、視線を感じるのじゃ。お!ご主人が帰って来ておる。ご主じーん!」
4人が走ってこっちにやって来る。揺れる、揺れる、揺れないけど可愛い、揺れる。そして、ティナが抱き付いてくる。
ティナ「タカミーー」
俺は、受け止め頭を撫でる。
ナディア「ご主人!あの”びーちばれー”は楽しいのじゃ。皆も楽しんでおるぞ!」
ノア「ご主人、ナディア達に6勝5敗で勝っていますのよ。ご褒美。ご褒美!」
ナディア「な、あれは、引き分けじゃろう!5勝5敗1分けじゃ!!」
ノア「あらぁ。ナディアったら。負け惜しみ♪私達が強いからって変なイチャモン付けないで下さる?」
ノアは、口に手を当ててジト目で見ながらナディアに絡む。
ナディア「あー、何言っているのじゃ!あれはお主が空をとんだからじゃろう!反則じゃ!なぁ、ご主人!」
俺に助けを求められても・・・
「ま、まぁ、空飛んだらダメだね。(;’∀’)」
ノア「そんな話聞いてないわ!勝は勝ちですわ!」
ナディア「引き分けじゃ!!」
なんか、ヒートアップしてるけど・・・。でも、飛んだらダメだよな・・・
「まぁまぁ、今回は引き分けって事でいいじゃん(;’∀’)」
「ご主人がそう言うなら、引き分けにしてあげるわ。」
「なんか、納得いかんが、まあよいか。」
不本意そうだが、何とか納得したらしい。そしてチームを再編成し直し、ビーチバレーが再開された。
あれ?あそこにいるのはコブラとビートルのパーティーだ。
「皆さん集まって何しているのですか?」
ビートル「コブラさん達にちょっと、胸を借りていたんだよ。流石、プラチナランク冒険者だよ。全く歯が立たなかった。」
ちょっと悔しそうだが、表情は晴れ晴れとしている。
コブラ「いやいや、そんなことは無いですよ。ビートルなんかの連係プレイはかなりものです。このPTパーティはいいPTですね。」
ビートル「ありがとうございます。我々一人一人はまだまだですが力を合わせる事で上位クエストも熟せる様になりました。本当にPTの皆には感謝です。」
コブラ「なるほど。見事な連携でお互いを助けう。いい勉強になります。我々なんか、まだ数回しかPTを組んだことないから、まだまだですね。」
ムラーノ「まぁ、そう言う俺達も解散の危機はあったけど、タカミやアルファードって言う冒険者にも世話になった。本当に感謝だぜ。」
アルフォードの名前が出るとなぜか”ドキッ”とするんだよな・・・(苦笑)
キャップ「へー。アルファードねぇ・・・(・∀・)ニヤニヤ」
ムラーノ「ん?アルファードを知っているのか?」
キャップ「知っているも何も、タカミの弟子でしょ?彼も俺らと同じプラチナランク冒険者だし。」
ムラーノ「そうか。彼はもうプラチナランクになったのか。俺の所に来た時は装備もままならない駆け出し以前の問題だったのになぁ。」
ムラーノはちょっと悔しそうに遠い目をした。
セリカ「っていうか、タカミ、いつのまに弟子をとったの?」
「ははは・・・ちょっと、成り行きで・・・(;’∀’)」
セリカ「すごいなぁ。僕なんかまだまだなのに…ちょっと、悔しぞ!」
「ははは・・・でも、セリカ先輩には本当にお世話になったので。」
セリカ「僕は、お世話して無いよ。っていうか、僕たちが世話になりっぱなしだったよ。」
ビートル「そっか、君達もアルファードを知っているんだね。」
シルビア「まぁ、そのアルファードの昇給テストしたの私達だしね。彼は、プラチナどころじゃないよ。ミスリル、いや、アダマンタイト級かな。」
なんか、心臓に良くないな・・・(;’∀’)
「まぁまぁ、アルファードの話は良いじゃないですか(;’∀’)」
キャップ「(・∀・)ニヤニヤ」
「キャップ兄さん、勘弁してくださいよ・・・(;’∀’)」
コブラ「まぁ、それだけ彼は実力がある冒険者だよ。まぁ、タカミには全然及ばないけどね。」
「コブラ兄さんも・・・(;’∀’)」
ティファ「じゃあ、良かったらPTをシャッフルして模擬戦してみない?」
ビートル「そうですね。自分のPTだけだと見えない部分も見えてくるかもしれませんね。」
ヴァイロン「じゃあ、私は、旦那様とPT組むニャ!」
シルビア「えーー!ずるい!!私もタカミと組む!」
セリカ「タカミ、モテモテね。いつの間に・・・」
セリカは、”ヤレヤレ”と言う感じで俺を見る。
キャップ「おいおい、タカミを入れたら模擬戦にならないだろうが・・・、タカミは見学な。」
ティファ・ヴァイロン「えーーー!」
コブラ「えーー!じゃない!ほら行くぞ!」
ティファ「タカミ、また後でね。」
ヴァイロン「後でニャ!」
コブラPTとビートルPTで再度模擬戦をやるらしい。俺は、オッティーの所に行く。オッティーは、お酒を飲みいい感じに仕上がっている。
「師匠と何かあったんですか?」
「特に何かあった訳じゃないのじゃが・・・きっと、例の事件を気にしているのじゃろ。気にせんでもいいのにのお。」
「例の事件と師匠と何か関りがあるのですか?」
「いや、直接的には関りは無いと思うんじゃが、奴の気持ちの問題じゃないのかの?」
俺とオッティーが話をしているとそこに師匠がやって来る。
ウォーレン「師匠・・・お久しぶりです。」
オッティー「うむ。お主も元気そうで何よりじゃ。しかも、主君様を育てるなんて、立派になったのう。」
ウォーレン「いえ、そんな事はです。私は、師匠に教わった通り、才能ある者のお手伝いをさせてもらったに過ぎません。」
オッティー「それでも、こうやって主君が主君として独り立ちしているのはお主の成果だと思うぞ。」
「そうですよ。僕がこうして魔法が使えるようになったのは、師匠の教えがあってこそです。」
ウォーレン「そう言ってもらえるととても嬉しいよ。しかし、私があの時、師匠のおっしゃったとおり、魔導騎士団の副団長の話を受けていれば師匠がそんな事になる事もなたっかと思うと・・・」
師匠が俯き、顔が少し曇ったように感じる。やっぱり、気にしてるんだろうな・・・
オッティー「そりゃ、考え過ぎじゃ。お主が当時副団長となっても同じような輩は出てきよる。もしかしたらお主も巻き込まれていたかもしれぬ。そう考えると儂だけで済んでよかったわ。お主はお主の運命の下、主君様を育てるのだ宿命だったのかも知れぬしの。そう考えれば、お主はお主の氏名をきちんと果たした。それが、今回の事件の解決に繋がっとる。お主は、使命を全うしたと言う事じゃろう。そう考えれば、お主にも礼を言わねばならぬの。主君様を育ててくれて感謝する。ウォーレン、立派になったのう。」
ウォーレン「そ、そんな!私は・・・私は・・・」
師匠は顔を上げオッティーと俺を見る。
「僕からもお礼を言います。師匠がいなければ魔法を使う事がままならなかったと思います。ありがとうございます。」
少し師匠の顔に笑顔が戻ってきた。完全に吹っ切るのには時間がかかると思うけど、少しづつでも乗り越えて欲しい。
ウォーレン「本当に君ってやつは。私の唯一の心残りまで払ってしまうなんて。君みたいな人には会ったことが無い。本当に不思議な人だ。私の身体も心もすべて癒してくれた。もう、お礼だけじゃ足りないよ。」
「そんな事無いです。僕は、師匠に沢山の物を頂きました。そのご恩は、僕にとって一生ものです。僕は、師匠の為なら何でもしますよ。だから、元気出してください。僕が付いています。」
ウォーレン「君は、何を言っているのか分かって言っているのかい?」
「もちろんですよ。僕は、ずっと師匠の側にいますよ。」
オッティー「ついに、あのウォーレンも気になる奴が出来たか。しかも、愛弟子とは。ほーほっほっほ」
「な、何を言っているんですか。師匠は、僕を弟子として必要としてくれているだけですよ。こんなに素敵な女性が僕の事そんな風に思う訳ないじゃないですか(;’∀’)。ね。師匠?」
ウォーレン「あ、あぁ。君はそう言う人だったな。今は、それでいいよ。(でも、いずれかは・・・)ボソ」
「ん?なんですか?」
ウォーレン「い、いや、なんでもなよ。」
オッティー「ウォーレン、お主も鈍感な主君殿で大変じゃのう・・・」
ウォーレン「全くです(笑)」
師匠に笑顔が戻った。やはり、女性は笑っている方が素敵だ。しかし、師匠が若返ってすごくかわカッコいい女性(可愛いくてカッコいい女性)になった。こうなると、世の女性達はきっとフェニックスの血を欲しがるに違いないな。
BBQを取り囲み、父と母がホープと話をしている。
ホープ「本当にご子息には大変お世話になり、なんとお礼を言っていいのか分かりませぬ。これも、ご両親がとても大切に育てられた賜物だと思っておりまする。」
父「そんな、我々なんてそんな大層な事はしていませんよ。あいつは昔から何でも自分で色々やっていまして、親の私達でも何やってるいるか分からないことだらけですよ。」
母「でも、そう言う風に言ってもらえるように育ったのは両親としてもとても嬉しい事ですわ。」
ホープ「彼の才能には本当に驚かされてばかりですじゃ。ここの人達に聞くと、基本的には魔法が得意との事。しかし、タカミは神明流の奥義すら習得し、更に発展させるだけの力がありまする。この様な人材は会ったことが無い。息子さんはいつか世の中を驚かすようなことをするでしょうな。」
父「ははは・・・、っというか、まさか、剣聖ホープ様の下で剣術を習っているなんて知りませんでした。いつも驚かされてばっかりですよ。私はてっきり賢者になりたいとばかり思っていましたし。あ、タカミ、ちょっとこっちに来なさい。」
父が俺に気付き、呼ぶ。
「はい。父様。あ、師匠も」
父「お前、ホープ様の所で剣術を習っていたのか?」
「ええ、まぁ、ちょっと、成り行きで…」
父「成り行きって・・・、お前、剣聖様に剣を習ったんだぞ。しかも、何?免許皆伝だって?お前、一体何していたんだ?」
「ははは・・・ちょっと、剣術大会に出場することになっちゃいまして。それで、ちゃんと剣をやってみようなかって・・・」
父「それで、免許皆伝か・・・、はぁ、まったくお前って奴は・・・」
父は、なんだか呆れたように大きなため息をつく。
ホープ「まぁまぁ、御父上、落ち着いて下され。何にせよ、我々もタカミには凄く助けられたしの。そうじゃ!折角なので、ご両親に少しお主の剣技を披露せい。おーい、ドミノ。」
今度は、ホープが向こう側にいたドミノを呼ぶ。
ドミノ「はい。おじい様。何でしょうか?」
ホープ「タカミと軽く手合わせしてもらえるか?」
ドミノ「私は、構いません。タカミとの手合わせも久しぶりですし。」
ホープ「ってことで、お主、ドミノと手合わせしてみい。」
ドミノは木刀を持って俺の所にやって来た。
「分かりましたよ。では、こっちでやりましょうか。」
俺とドミノは、海から離れた平らな砂浜に移動した。その姿を見て野次馬が集まってくる。
キャップ「なになに?タカミと神明流のドミノが手合わせするって。そりゃ、見に行くだろ!」
ビートル「タカミって剣も使うのか!?魔法もかなりの腕前だったよな?」
コブラ「剣の腕も凄いぞ。俺達とPTを組んでいた時も結構な腕前だった。更に上達したのか・・・」
セリカ「僕の師匠もタカミは卒業とか言っていたし、魔法だけじゃなくて剣まで使えるようになったんだ。」
ティファ「彼、魔導剣士とか言って魔法と剣の両方を使うのよ。まったく、普通は考えられないわよ。」
ヴァイロン「旦那様は、魔法の腕前は大魔導士以上だニャ。剣の腕前は剣聖レベルだニャ。ほんとに凄いニャ!」
ヤマト侯爵「あれ?タカミって魔導士じゃないのか?」
シルビア「え?タカミって魔法使いじゃないの?」
何やら侯爵様とシルビアも俺とドミノの手合わせの話を聞きつけたらしい。各々勝手な事を言いながら俺とドミノの手合わせの見学になってきた。いつの間にか、ほぼ全員が集まり取り囲まれている。
「それでは、ドミノ師範、よろしくお願いします。」
ドミノ「うん。よろしく。では始めようか。」
俺とドミノは、木刀を構える。最初は、ドミノから打ち込んでくる。俺は、それを木刀で受ける。基本に忠実に。そして、時折神明流の抜刀術も折り込む。お互いの攻防は、約5分程度行われた。
「ありがとうございました。」
ドミノ「はぁはぁ・・・、ありがとうございました。やっぱり、なんか悔しいわ。」
ドミノは肩で息をしている。別に手を抜いていたわけじゃないのだが絶対的な体力の差が出るのだろう。俺の場合、チート的な体力を持っているので中々息が上がったりしない。剣の手合わせを終えると両親とシン兄ちゃんが俺の所に駆け寄ってくる。
シン「タカミ!お前凄いな!!騎士団に入れるんじゃないのか!?」
「いやいや、僕は前から言っている通り、大賢者になって人の役に立てるようになりたいんだよ。戦いとか行きたくないしね。」
シン「なんか、もったいねーなー。俺だったら間違いなく騎士団に入るのに・・・」
父「本当に強くなったな。もう、俺じゃかなわないよ。魔法も凄かったが、剣の腕も大したもんだ。我が子ながら感心するよ。」
なんか、父親に認めて貰えたようでちょっと嬉しいかも。
母「でも、あまり危険な事はしないでね。強くなったからと言って上には上がいるし、危険も沢山なるんだから。」
「はい。それは心得ています。出来る限り危険な事はしない様にしているのですが・・・(;’∀’)」
父「まぁ、なんにせよ、我が子が立派になる事は嬉しいもんだよ。しかし、この短期間で随分成長したよな・・・子供に見えないぞ」
母「そうねぇ。随分立派になったわねぇ。でも、お母さん、ちょっと寂しいかな。」
「そこは、すみません。(;’∀’)」
そんな親子のやり取りをしている近くでは、コブラ、ビートルPTが集まって騒いでいる。
キャップ「あいつ、あれでも全然本気出しえないんだよな・・・ちょっと、腹立つな。」
コブラ「やはり、タカミは凄い。俺もタカミに負けないようにもっと鍛錬しないとだな!」
ビートル「おいおい、まったく・・・あれで魔導士かよ。なんか、自信無くすよな・・・」
ヴァイロン「すごいニャ!!流石私の将来の旦那様ニャ!!」
セリカ「なんか、凄く見違えちゃった。タカミって剣も使えるようになったんだね。僕も頑張らないといけないな!」
シルビア「凄い。別れて余り時間が経ってないのに剣術まで習得するなんて。なんて規格外なのよ。まったく・・・」
コブラとビートルPTは結構打ち解けたようで、あっちはあっちで俺を肴に盛り上がっている様子だ。冒険者同士コミュニケーションが取れれば様々な情報を共有することが出来るようになる。これはこれで、凄く有意義な事だろう。そんな彼らを横目で見ていると、ヤマト侯爵達がやって来た。
シルビア「タカミ、剣も使えるようになったんだ。凄いよ!!」
「シルビアには剣の才能があるんだから、うまく魔法を両立すれば、今みたいなことも出来るよ。」
シルビア「うん。剣はあまり好きじゃなかったけど、少し見直した。私も少し剣術をやってみようかな。」
シルビアはガッツポーズをしながらちょっとやる気を出したみたいだ。
侯爵「では、タカミに習うといい。君は免許皆伝なんだろ?」
「え?でも、俺は、魔導学園に行くんですが・・・」
侯爵「まぁ、帰って来た時でもいいから教えてやって貰えないか?それに、私は、君と繋がっていたいしね。」
侯爵は顎に手を当てて、細目で俺を見る。まぁ、元々シルビアは教え子みたいなものだし問題無いかな。
「時間がある時でいいならもちろん、喜んで。僕も侯爵とは仲良くしていきたいですから。」
侯爵「お!嬉しい事を言ってくれるね。やはり、是非、私に仕えて欲しいものだ。」
「え。それは・・・(;’∀’)」
侯爵「なんにせよ、なんかあったら何でも言ってくれ。私は君の味方だ。こうやって君主催の集まりに呼んでもらえたことも大変うれしく思っている。」
「そんな。僕の方こそ侯爵様にお越し頂て凄く光栄に思っています。」
少しの間、シルビアと侯爵と話をし、パラソルの下でリクライニングチェアーに腰かけ海を眺めている師匠の下に行った。
「師匠、楽しめていますか?」
師匠「ああ、君か。相変わらず、君って奴は・・・、まあ、もう驚かないが。しかし、本当に何でもやってのけるな。」
「魔法が効かない相手と遭遇した時に剣も使えた方が良いかなっと思いまして。」
師匠「君レベルの魔導士の魔法を抑えるのはまずいないよ。まぁ、しかし、そう言う想定もあってもいいかもしれないが。」
「上には上がいますからね。何事にも対応できるようにしときたかったんですよ。いざ、大切な人達を守ろうとする時に後悔したくないですから」
師匠「君は、本当に勤勉だな。君に守られる人がうらやましいよ。」
「なにいっているんですか!?勿論、師匠は僕の大切な人なのですから当然、命を懸けて守りますよ。」
師匠「まったく、君は本当に”たらし”だな。女性にそう言う事を言うと色々勘違いされるぞ。」
師匠は、俺の事をジト目で見る。
「え?僕って“たらし”なんですか!?何もしてないのに・・・」
師匠「何もしてない・・・か。きっと君には自覚が無いんだな。まぁ、君らしいが。私は、色々君の世話になったし、救われたんだよ。」
「え。そんなの当然のことをしただけですよー。(;’∀’)」
師匠「それでも、私は救われたんだ。本当に君には感謝しているよ。」
「僕も師匠には感謝してもしきれません。」
「まったく・・・君って奴は・・・(苦笑)」
そんな話をしながら師匠は遠くを見つめている。その横顔がとても愛しく感じた。
”まぁ、俺は、もともとおっさんだし、彼女くらいの年齢がストライクなのかもな。”
そんな有意義な時間も日が落ちてきた。最後にとっておきの魔法を用意した。
「さて、皆さん、今日はお集まりいただき本当に感謝しています。ここにいる皆さんは、俺にとってかけがえのない人達です。皆さんと出会いは、そして様々な事を体験し、今の俺があります。俺は、この奇跡にとても感謝しています。最後に俺のとっておきの魔法を見てください。」
俺は、薄暗くなった空に両手を広げ、魔法を唱える。
《ファイヤーワークス》
俺の両手から一筋の大きめのファイヤーボールが空高く昇っていく。そして、数秒後、そのファイヤーボールが炸裂し、大きな花火となった。大きく広がった花火が尾を引くように水面に落ちていく。見た事のない人達にとってそれはとても幻想的に見えただろう。その証拠に俺も周りは静まり返っている。
「凄い奇麗・・・」
誰かが呟いた。そして、静かに闇が訪れる。俺は、ライトの魔法で皆の周りとゲートまでの道を照らした。その後は、予想通り皆にもみくちゃにされた。
前世は、人とコミュニケーションを釣る事がほとんどなかった。コミュニケーション能力が低い俺がこの世界に生まれ、最初に出会ったのが両親。その両親から愛情を沢山受け育てられ、ひょんなきっかけからセリカと出会い、師匠から魔法を習う。そして、ティナやナディア、新しい”家族”も出来、俺に好意的な人達も出来た。そして、師匠やヤマト侯爵の働きかけにより魔導学園で学ぶチャンスを与えられ、その学習をする中央帝都にある図書館へ許可を頂いた。そして中央帝都への道中、様々な出会いがあり、新たな”家族”であるノアとも出会い、中央での生活が俺を更に成長させてくれた。”魔法”や”剣”が存在する異世界。俺の知らない事がまだまだ沢山ある。など全く知らない俺が、周りの人達との生活の中や冒険を通して、今の自分がいるんだと自覚する。
前世の記憶とこのチートな能力を持つ俺は、この異世界で一体何が出来るのだろうか。
第一部 完
終わりに・・・
長い間読んでいただきありがとうございました。取り合えず、一部の完結となります。今思えば、これが処女作で、最後まで書き上げられた事に安堵しています。そして、拙い文章をこんなにも楽しみに読んでいただいた読者の方々に本当に支えられてきました。高評価も頂け、満足しております。読者の方々の声が、作者の原動力となります。続きが読みたいと思って下さる読者様達が多ければそれだけ気持ちを振るい立たせられます。もし、続きを希望される読者様がいらっしゃいましたら感想欄に続きを希望の旨を書き込んで下さい。皆様の声が私の力になります。また、大和市にある冒険者ギルド酒場に良く出入りしています。ギルドマスターに”チューイいる?”と聞いてくださればもしかしたら色々なお話が出来る機会があるかもしれません。是非、お立ち寄りください。
最後に、もし2部を描く事があったら次は学園での活躍やそれを取り巻く様々な事を題材に書きたいと思います。長い間、ご愛読ありがとうございました。読者の皆様に心からの感謝を持ち、一旦は終了させていただきます。
ナ「そりゃ!」
揺れる。
ノ「えい!ティナちゃん!」
揺れる。
テ「はい!とぉ!!」
余り揺れないけど、可愛い。
ナ「なんの!!シルビア!」
揺れる。
シ「えい!!」
揺れる。中々のラリーぶりである。その度に俺の目は釘付けだ。
シ「あぁーー!」
テ、ノ「やったぁ!!!!!!」
二人はハイタッチする。なんか、砂浜の水着女子はたまらない。
ナディア「なんか、視線を感じるのじゃ。お!ご主人が帰って来ておる。ご主じーん!」
4人が走ってこっちにやって来る。揺れる、揺れる、揺れないけど可愛い、揺れる。そして、ティナが抱き付いてくる。
ティナ「タカミーー」
俺は、受け止め頭を撫でる。
ナディア「ご主人!あの”びーちばれー”は楽しいのじゃ。皆も楽しんでおるぞ!」
ノア「ご主人、ナディア達に6勝5敗で勝っていますのよ。ご褒美。ご褒美!」
ナディア「な、あれは、引き分けじゃろう!5勝5敗1分けじゃ!!」
ノア「あらぁ。ナディアったら。負け惜しみ♪私達が強いからって変なイチャモン付けないで下さる?」
ノアは、口に手を当ててジト目で見ながらナディアに絡む。
ナディア「あー、何言っているのじゃ!あれはお主が空をとんだからじゃろう!反則じゃ!なぁ、ご主人!」
俺に助けを求められても・・・
「ま、まぁ、空飛んだらダメだね。(;’∀’)」
ノア「そんな話聞いてないわ!勝は勝ちですわ!」
ナディア「引き分けじゃ!!」
なんか、ヒートアップしてるけど・・・。でも、飛んだらダメだよな・・・
「まぁまぁ、今回は引き分けって事でいいじゃん(;’∀’)」
「ご主人がそう言うなら、引き分けにしてあげるわ。」
「なんか、納得いかんが、まあよいか。」
不本意そうだが、何とか納得したらしい。そしてチームを再編成し直し、ビーチバレーが再開された。
あれ?あそこにいるのはコブラとビートルのパーティーだ。
「皆さん集まって何しているのですか?」
ビートル「コブラさん達にちょっと、胸を借りていたんだよ。流石、プラチナランク冒険者だよ。全く歯が立たなかった。」
ちょっと悔しそうだが、表情は晴れ晴れとしている。
コブラ「いやいや、そんなことは無いですよ。ビートルなんかの連係プレイはかなりものです。このPTパーティはいいPTですね。」
ビートル「ありがとうございます。我々一人一人はまだまだですが力を合わせる事で上位クエストも熟せる様になりました。本当にPTの皆には感謝です。」
コブラ「なるほど。見事な連携でお互いを助けう。いい勉強になります。我々なんか、まだ数回しかPTを組んだことないから、まだまだですね。」
ムラーノ「まぁ、そう言う俺達も解散の危機はあったけど、タカミやアルファードって言う冒険者にも世話になった。本当に感謝だぜ。」
アルフォードの名前が出るとなぜか”ドキッ”とするんだよな・・・(苦笑)
キャップ「へー。アルファードねぇ・・・(・∀・)ニヤニヤ」
ムラーノ「ん?アルファードを知っているのか?」
キャップ「知っているも何も、タカミの弟子でしょ?彼も俺らと同じプラチナランク冒険者だし。」
ムラーノ「そうか。彼はもうプラチナランクになったのか。俺の所に来た時は装備もままならない駆け出し以前の問題だったのになぁ。」
ムラーノはちょっと悔しそうに遠い目をした。
セリカ「っていうか、タカミ、いつのまに弟子をとったの?」
「ははは・・・ちょっと、成り行きで・・・(;’∀’)」
セリカ「すごいなぁ。僕なんかまだまだなのに…ちょっと、悔しぞ!」
「ははは・・・でも、セリカ先輩には本当にお世話になったので。」
セリカ「僕は、お世話して無いよ。っていうか、僕たちが世話になりっぱなしだったよ。」
ビートル「そっか、君達もアルファードを知っているんだね。」
シルビア「まぁ、そのアルファードの昇給テストしたの私達だしね。彼は、プラチナどころじゃないよ。ミスリル、いや、アダマンタイト級かな。」
なんか、心臓に良くないな・・・(;’∀’)
「まぁまぁ、アルファードの話は良いじゃないですか(;’∀’)」
キャップ「(・∀・)ニヤニヤ」
「キャップ兄さん、勘弁してくださいよ・・・(;’∀’)」
コブラ「まぁ、それだけ彼は実力がある冒険者だよ。まぁ、タカミには全然及ばないけどね。」
「コブラ兄さんも・・・(;’∀’)」
ティファ「じゃあ、良かったらPTをシャッフルして模擬戦してみない?」
ビートル「そうですね。自分のPTだけだと見えない部分も見えてくるかもしれませんね。」
ヴァイロン「じゃあ、私は、旦那様とPT組むニャ!」
シルビア「えーー!ずるい!!私もタカミと組む!」
セリカ「タカミ、モテモテね。いつの間に・・・」
セリカは、”ヤレヤレ”と言う感じで俺を見る。
キャップ「おいおい、タカミを入れたら模擬戦にならないだろうが・・・、タカミは見学な。」
ティファ・ヴァイロン「えーーー!」
コブラ「えーー!じゃない!ほら行くぞ!」
ティファ「タカミ、また後でね。」
ヴァイロン「後でニャ!」
コブラPTとビートルPTで再度模擬戦をやるらしい。俺は、オッティーの所に行く。オッティーは、お酒を飲みいい感じに仕上がっている。
「師匠と何かあったんですか?」
「特に何かあった訳じゃないのじゃが・・・きっと、例の事件を気にしているのじゃろ。気にせんでもいいのにのお。」
「例の事件と師匠と何か関りがあるのですか?」
「いや、直接的には関りは無いと思うんじゃが、奴の気持ちの問題じゃないのかの?」
俺とオッティーが話をしているとそこに師匠がやって来る。
ウォーレン「師匠・・・お久しぶりです。」
オッティー「うむ。お主も元気そうで何よりじゃ。しかも、主君様を育てるなんて、立派になったのう。」
ウォーレン「いえ、そんな事はです。私は、師匠に教わった通り、才能ある者のお手伝いをさせてもらったに過ぎません。」
オッティー「それでも、こうやって主君が主君として独り立ちしているのはお主の成果だと思うぞ。」
「そうですよ。僕がこうして魔法が使えるようになったのは、師匠の教えがあってこそです。」
ウォーレン「そう言ってもらえるととても嬉しいよ。しかし、私があの時、師匠のおっしゃったとおり、魔導騎士団の副団長の話を受けていれば師匠がそんな事になる事もなたっかと思うと・・・」
師匠が俯き、顔が少し曇ったように感じる。やっぱり、気にしてるんだろうな・・・
オッティー「そりゃ、考え過ぎじゃ。お主が当時副団長となっても同じような輩は出てきよる。もしかしたらお主も巻き込まれていたかもしれぬ。そう考えると儂だけで済んでよかったわ。お主はお主の運命の下、主君様を育てるのだ宿命だったのかも知れぬしの。そう考えれば、お主はお主の氏名をきちんと果たした。それが、今回の事件の解決に繋がっとる。お主は、使命を全うしたと言う事じゃろう。そう考えれば、お主にも礼を言わねばならぬの。主君様を育ててくれて感謝する。ウォーレン、立派になったのう。」
ウォーレン「そ、そんな!私は・・・私は・・・」
師匠は顔を上げオッティーと俺を見る。
「僕からもお礼を言います。師匠がいなければ魔法を使う事がままならなかったと思います。ありがとうございます。」
少し師匠の顔に笑顔が戻ってきた。完全に吹っ切るのには時間がかかると思うけど、少しづつでも乗り越えて欲しい。
ウォーレン「本当に君ってやつは。私の唯一の心残りまで払ってしまうなんて。君みたいな人には会ったことが無い。本当に不思議な人だ。私の身体も心もすべて癒してくれた。もう、お礼だけじゃ足りないよ。」
「そんな事無いです。僕は、師匠に沢山の物を頂きました。そのご恩は、僕にとって一生ものです。僕は、師匠の為なら何でもしますよ。だから、元気出してください。僕が付いています。」
ウォーレン「君は、何を言っているのか分かって言っているのかい?」
「もちろんですよ。僕は、ずっと師匠の側にいますよ。」
オッティー「ついに、あのウォーレンも気になる奴が出来たか。しかも、愛弟子とは。ほーほっほっほ」
「な、何を言っているんですか。師匠は、僕を弟子として必要としてくれているだけですよ。こんなに素敵な女性が僕の事そんな風に思う訳ないじゃないですか(;’∀’)。ね。師匠?」
ウォーレン「あ、あぁ。君はそう言う人だったな。今は、それでいいよ。(でも、いずれかは・・・)ボソ」
「ん?なんですか?」
ウォーレン「い、いや、なんでもなよ。」
オッティー「ウォーレン、お主も鈍感な主君殿で大変じゃのう・・・」
ウォーレン「全くです(笑)」
師匠に笑顔が戻った。やはり、女性は笑っている方が素敵だ。しかし、師匠が若返ってすごくかわカッコいい女性(可愛いくてカッコいい女性)になった。こうなると、世の女性達はきっとフェニックスの血を欲しがるに違いないな。
BBQを取り囲み、父と母がホープと話をしている。
ホープ「本当にご子息には大変お世話になり、なんとお礼を言っていいのか分かりませぬ。これも、ご両親がとても大切に育てられた賜物だと思っておりまする。」
父「そんな、我々なんてそんな大層な事はしていませんよ。あいつは昔から何でも自分で色々やっていまして、親の私達でも何やってるいるか分からないことだらけですよ。」
母「でも、そう言う風に言ってもらえるように育ったのは両親としてもとても嬉しい事ですわ。」
ホープ「彼の才能には本当に驚かされてばかりですじゃ。ここの人達に聞くと、基本的には魔法が得意との事。しかし、タカミは神明流の奥義すら習得し、更に発展させるだけの力がありまする。この様な人材は会ったことが無い。息子さんはいつか世の中を驚かすようなことをするでしょうな。」
父「ははは・・・、っというか、まさか、剣聖ホープ様の下で剣術を習っているなんて知りませんでした。いつも驚かされてばっかりですよ。私はてっきり賢者になりたいとばかり思っていましたし。あ、タカミ、ちょっとこっちに来なさい。」
父が俺に気付き、呼ぶ。
「はい。父様。あ、師匠も」
父「お前、ホープ様の所で剣術を習っていたのか?」
「ええ、まぁ、ちょっと、成り行きで…」
父「成り行きって・・・、お前、剣聖様に剣を習ったんだぞ。しかも、何?免許皆伝だって?お前、一体何していたんだ?」
「ははは・・・ちょっと、剣術大会に出場することになっちゃいまして。それで、ちゃんと剣をやってみようなかって・・・」
父「それで、免許皆伝か・・・、はぁ、まったくお前って奴は・・・」
父は、なんだか呆れたように大きなため息をつく。
ホープ「まぁまぁ、御父上、落ち着いて下され。何にせよ、我々もタカミには凄く助けられたしの。そうじゃ!折角なので、ご両親に少しお主の剣技を披露せい。おーい、ドミノ。」
今度は、ホープが向こう側にいたドミノを呼ぶ。
ドミノ「はい。おじい様。何でしょうか?」
ホープ「タカミと軽く手合わせしてもらえるか?」
ドミノ「私は、構いません。タカミとの手合わせも久しぶりですし。」
ホープ「ってことで、お主、ドミノと手合わせしてみい。」
ドミノは木刀を持って俺の所にやって来た。
「分かりましたよ。では、こっちでやりましょうか。」
俺とドミノは、海から離れた平らな砂浜に移動した。その姿を見て野次馬が集まってくる。
キャップ「なになに?タカミと神明流のドミノが手合わせするって。そりゃ、見に行くだろ!」
ビートル「タカミって剣も使うのか!?魔法もかなりの腕前だったよな?」
コブラ「剣の腕も凄いぞ。俺達とPTを組んでいた時も結構な腕前だった。更に上達したのか・・・」
セリカ「僕の師匠もタカミは卒業とか言っていたし、魔法だけじゃなくて剣まで使えるようになったんだ。」
ティファ「彼、魔導剣士とか言って魔法と剣の両方を使うのよ。まったく、普通は考えられないわよ。」
ヴァイロン「旦那様は、魔法の腕前は大魔導士以上だニャ。剣の腕前は剣聖レベルだニャ。ほんとに凄いニャ!」
ヤマト侯爵「あれ?タカミって魔導士じゃないのか?」
シルビア「え?タカミって魔法使いじゃないの?」
何やら侯爵様とシルビアも俺とドミノの手合わせの話を聞きつけたらしい。各々勝手な事を言いながら俺とドミノの手合わせの見学になってきた。いつの間にか、ほぼ全員が集まり取り囲まれている。
「それでは、ドミノ師範、よろしくお願いします。」
ドミノ「うん。よろしく。では始めようか。」
俺とドミノは、木刀を構える。最初は、ドミノから打ち込んでくる。俺は、それを木刀で受ける。基本に忠実に。そして、時折神明流の抜刀術も折り込む。お互いの攻防は、約5分程度行われた。
「ありがとうございました。」
ドミノ「はぁはぁ・・・、ありがとうございました。やっぱり、なんか悔しいわ。」
ドミノは肩で息をしている。別に手を抜いていたわけじゃないのだが絶対的な体力の差が出るのだろう。俺の場合、チート的な体力を持っているので中々息が上がったりしない。剣の手合わせを終えると両親とシン兄ちゃんが俺の所に駆け寄ってくる。
シン「タカミ!お前凄いな!!騎士団に入れるんじゃないのか!?」
「いやいや、僕は前から言っている通り、大賢者になって人の役に立てるようになりたいんだよ。戦いとか行きたくないしね。」
シン「なんか、もったいねーなー。俺だったら間違いなく騎士団に入るのに・・・」
父「本当に強くなったな。もう、俺じゃかなわないよ。魔法も凄かったが、剣の腕も大したもんだ。我が子ながら感心するよ。」
なんか、父親に認めて貰えたようでちょっと嬉しいかも。
母「でも、あまり危険な事はしないでね。強くなったからと言って上には上がいるし、危険も沢山なるんだから。」
「はい。それは心得ています。出来る限り危険な事はしない様にしているのですが・・・(;’∀’)」
父「まぁ、なんにせよ、我が子が立派になる事は嬉しいもんだよ。しかし、この短期間で随分成長したよな・・・子供に見えないぞ」
母「そうねぇ。随分立派になったわねぇ。でも、お母さん、ちょっと寂しいかな。」
「そこは、すみません。(;’∀’)」
そんな親子のやり取りをしている近くでは、コブラ、ビートルPTが集まって騒いでいる。
キャップ「あいつ、あれでも全然本気出しえないんだよな・・・ちょっと、腹立つな。」
コブラ「やはり、タカミは凄い。俺もタカミに負けないようにもっと鍛錬しないとだな!」
ビートル「おいおい、まったく・・・あれで魔導士かよ。なんか、自信無くすよな・・・」
ヴァイロン「すごいニャ!!流石私の将来の旦那様ニャ!!」
セリカ「なんか、凄く見違えちゃった。タカミって剣も使えるようになったんだね。僕も頑張らないといけないな!」
シルビア「凄い。別れて余り時間が経ってないのに剣術まで習得するなんて。なんて規格外なのよ。まったく・・・」
コブラとビートルPTは結構打ち解けたようで、あっちはあっちで俺を肴に盛り上がっている様子だ。冒険者同士コミュニケーションが取れれば様々な情報を共有することが出来るようになる。これはこれで、凄く有意義な事だろう。そんな彼らを横目で見ていると、ヤマト侯爵達がやって来た。
シルビア「タカミ、剣も使えるようになったんだ。凄いよ!!」
「シルビアには剣の才能があるんだから、うまく魔法を両立すれば、今みたいなことも出来るよ。」
シルビア「うん。剣はあまり好きじゃなかったけど、少し見直した。私も少し剣術をやってみようかな。」
シルビアはガッツポーズをしながらちょっとやる気を出したみたいだ。
侯爵「では、タカミに習うといい。君は免許皆伝なんだろ?」
「え?でも、俺は、魔導学園に行くんですが・・・」
侯爵「まぁ、帰って来た時でもいいから教えてやって貰えないか?それに、私は、君と繋がっていたいしね。」
侯爵は顎に手を当てて、細目で俺を見る。まぁ、元々シルビアは教え子みたいなものだし問題無いかな。
「時間がある時でいいならもちろん、喜んで。僕も侯爵とは仲良くしていきたいですから。」
侯爵「お!嬉しい事を言ってくれるね。やはり、是非、私に仕えて欲しいものだ。」
「え。それは・・・(;’∀’)」
侯爵「なんにせよ、なんかあったら何でも言ってくれ。私は君の味方だ。こうやって君主催の集まりに呼んでもらえたことも大変うれしく思っている。」
「そんな。僕の方こそ侯爵様にお越し頂て凄く光栄に思っています。」
少しの間、シルビアと侯爵と話をし、パラソルの下でリクライニングチェアーに腰かけ海を眺めている師匠の下に行った。
「師匠、楽しめていますか?」
師匠「ああ、君か。相変わらず、君って奴は・・・、まあ、もう驚かないが。しかし、本当に何でもやってのけるな。」
「魔法が効かない相手と遭遇した時に剣も使えた方が良いかなっと思いまして。」
師匠「君レベルの魔導士の魔法を抑えるのはまずいないよ。まぁ、しかし、そう言う想定もあってもいいかもしれないが。」
「上には上がいますからね。何事にも対応できるようにしときたかったんですよ。いざ、大切な人達を守ろうとする時に後悔したくないですから」
師匠「君は、本当に勤勉だな。君に守られる人がうらやましいよ。」
「なにいっているんですか!?勿論、師匠は僕の大切な人なのですから当然、命を懸けて守りますよ。」
師匠「まったく、君は本当に”たらし”だな。女性にそう言う事を言うと色々勘違いされるぞ。」
師匠は、俺の事をジト目で見る。
「え?僕って“たらし”なんですか!?何もしてないのに・・・」
師匠「何もしてない・・・か。きっと君には自覚が無いんだな。まぁ、君らしいが。私は、色々君の世話になったし、救われたんだよ。」
「え。そんなの当然のことをしただけですよー。(;’∀’)」
師匠「それでも、私は救われたんだ。本当に君には感謝しているよ。」
「僕も師匠には感謝してもしきれません。」
「まったく・・・君って奴は・・・(苦笑)」
そんな話をしながら師匠は遠くを見つめている。その横顔がとても愛しく感じた。
”まぁ、俺は、もともとおっさんだし、彼女くらいの年齢がストライクなのかもな。”
そんな有意義な時間も日が落ちてきた。最後にとっておきの魔法を用意した。
「さて、皆さん、今日はお集まりいただき本当に感謝しています。ここにいる皆さんは、俺にとってかけがえのない人達です。皆さんと出会いは、そして様々な事を体験し、今の俺があります。俺は、この奇跡にとても感謝しています。最後に俺のとっておきの魔法を見てください。」
俺は、薄暗くなった空に両手を広げ、魔法を唱える。
《ファイヤーワークス》
俺の両手から一筋の大きめのファイヤーボールが空高く昇っていく。そして、数秒後、そのファイヤーボールが炸裂し、大きな花火となった。大きく広がった花火が尾を引くように水面に落ちていく。見た事のない人達にとってそれはとても幻想的に見えただろう。その証拠に俺も周りは静まり返っている。
「凄い奇麗・・・」
誰かが呟いた。そして、静かに闇が訪れる。俺は、ライトの魔法で皆の周りとゲートまでの道を照らした。その後は、予想通り皆にもみくちゃにされた。
前世は、人とコミュニケーションを釣る事がほとんどなかった。コミュニケーション能力が低い俺がこの世界に生まれ、最初に出会ったのが両親。その両親から愛情を沢山受け育てられ、ひょんなきっかけからセリカと出会い、師匠から魔法を習う。そして、ティナやナディア、新しい”家族”も出来、俺に好意的な人達も出来た。そして、師匠やヤマト侯爵の働きかけにより魔導学園で学ぶチャンスを与えられ、その学習をする中央帝都にある図書館へ許可を頂いた。そして中央帝都への道中、様々な出会いがあり、新たな”家族”であるノアとも出会い、中央での生活が俺を更に成長させてくれた。”魔法”や”剣”が存在する異世界。俺の知らない事がまだまだ沢山ある。など全く知らない俺が、周りの人達との生活の中や冒険を通して、今の自分がいるんだと自覚する。
前世の記憶とこのチートな能力を持つ俺は、この異世界で一体何が出来るのだろうか。
第一部 完
終わりに・・・
長い間読んでいただきありがとうございました。取り合えず、一部の完結となります。今思えば、これが処女作で、最後まで書き上げられた事に安堵しています。そして、拙い文章をこんなにも楽しみに読んでいただいた読者の方々に本当に支えられてきました。高評価も頂け、満足しております。読者の方々の声が、作者の原動力となります。続きが読みたいと思って下さる読者様達が多ければそれだけ気持ちを振るい立たせられます。もし、続きを希望される読者様がいらっしゃいましたら感想欄に続きを希望の旨を書き込んで下さい。皆様の声が私の力になります。また、大和市にある冒険者ギルド酒場に良く出入りしています。ギルドマスターに”チューイいる?”と聞いてくださればもしかしたら色々なお話が出来る機会があるかもしれません。是非、お立ち寄りください。
最後に、もし2部を描く事があったら次は学園での活躍やそれを取り巻く様々な事を題材に書きたいと思います。長い間、ご愛読ありがとうございました。読者の皆様に心からの感謝を持ち、一旦は終了させていただきます。
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