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プロローグ 銀河に旅立つその前に
第5話 交差するそれぞれの思惑
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【登場人物】
▼遺伝子能力養成学校高等部3年生
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
結構なバカ。
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
[ルーノ・スクラブ]
プラズマのクラスメイト。
プラズマが幼馴染、美人師匠に囲まれていることを妬んでいる。
セリナ曰く“プラズマの周りを飛びたがる衛星というか虫みたいなもの”らしい。
▼プラズマ周辺者
[アリス・ジア]
電撃の能力を持つ女性で、プラズマの師匠。
男勝りな性格。
[レオン・アイシー]
氷の能力を持つ男性で、セリナの師匠。
▼プラズマを狙う影
[ウィンド]
プラズマを狙う緑髪の青年。
ギリア、バリーと行動を共にする。
[ギリア]
アリスと対峙した男。空間を作用させ物を吸い込むような能力を持つ。
[バリー]
アリスと対峙した男。岩の能力者。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
【お知らせ】
コンセントをアルコールティッシュで拭いて、すぐにプラグ挿す。
これ爆発する可能性あるらしいので気をつけてくださいね。
今まで無事でよかった……
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
~山の洞穴~
拠点にしている山の洞穴に戻った緑髪の男は、手に持った通信機器を口元に当てていた。
「ウィンドですが。えぇ、アクスグフスさんの言う通りでしたよ。奴の周りには邪魔者が多い。まぁ上手いことやります。」
ウィンドが自身の上司にあたる人物に必要な報告を済ませ、気にかかっていることを尋ねようとした時だった。
「あと、対象のサンダ……って切りやがった。」
ウィンドは突然切られたことに苛つきながらもそのまま眠りについた。
~遺伝子能力養成学校・講堂~
翌日、遺伝子能力学校では卒業試験に向けた学校長からの激励会が執り行われようとしていた。
講堂の壇上では学校長であるイヴ・パラムが激励を始める。
「皆さんの激励のために、ここはひとつ私の苦労話を話したいと思います。退屈かとは思いますが、少しの時間お付き合いくださいね。」
「知ってのとおり、私は33歳まで惑星間の事件を遊撃で捜査する機関にいました。」
「ですが、突然ここの学校長に出向を命じられることになり……」
学校長の声が遠のいていく。
ガクンッと頭が揺れると、もう二度と眠くならないのではないかというくらいはっきりと意識が戻った。
「……が先代の学…長から……継いだ時…当に大変で……」
しかしそれは一瞬のことで……また意識が遠のいていく。
拍手が響き渡りプラズマはハッと目を覚ます。
「以上で学校長による激励は終わりです。各学年解散してください。」
進行役の生徒会委員が解散を促し、皆が席を立ち始めた時だった。
前方からセリナがすごい剣幕でプラズマに近寄ってきている。
「プラズマ!あんたまた寝てたでしょ!」
「寝てねえよ!集中してただけ……」
「あんたが寝て怒られるの、学級長のあたしなんだからね!」
プラズマの反論を遮るようにセリナが責め立てる。
セリナに叱られながら講堂から廊下に出たところで、プラズマは自身を呼ぶ声に気づく。
「パーマー君、パーマー君」
背後から聞こえる声。
振り向くと学校長のイヴ・パラムが立っていた。
「よく眠っていましたね。見ていて気持ちいいくらいでした。」
「すいません!よく言って聞かせておきますので!」
セリナが勢いよく頭を下げる。
「セリナさんは本当にまじめね。委員長の役割もしっかり果たそうとして。」
パラム学校長は穏やかに笑みを浮かべるが、その目は全く笑っていなかった。
「まぁ、私自身大した話はしていませんので気にしていませんよ。」
学校長はにこやかに続ける。
「それにしてもあなたたちは本当に仲がいいのね。いっつも一緒にいるじゃない。」
「まるで……」
「まるで……?」
学校長の言葉を聞いたセリナは赤面し、たじろぎながら言葉の続きを待つ。
「まるで………戦友のようですね。」
「は………?」
唖然と立ち尽くすプラズマとは対照的に、セリナはガクッと気が抜け、学校長を力一杯睨みつけた。
そんなセリナを無視するかのように学校長はプラズマに話を続ける。
「最近は物騒なことも聞きます。もし困ったことがあれば校長である私になんでも相談してくださいね。」
セリナが慌てて2人の間に割って入った
「ちょ、ちょっと、校長……!」
「セリナさんは委員長の役割で忙しいでしょうから。」
「何ですか、その言い方……?」
誰が聞いても分かるくらいの嫌味だった。
バチバチの険悪ムードが校長とセリナの間で火花を上げている。
プラズマは校長に軽くお辞儀すると、学校長はニコッと笑みを浮かべ、くるりと振り返り去って行った。
プラズマたちも下校準備をするため、自分たちの教室に戻る。
「ほんとあの校長って嫌な感じ!」
かなりイライラしているのが見て取れる。
「知らねえよ、そんなにイラつくなって。」
「なによ戦友って……なにも知らないのに軽々しく言ってほしくない!」
プラズマは呆れながらも下校準備を続ける。
そのとき校内放送が流れた。
『ピーンポーンパーンポーン』
『高等部三年生のセリナさん、校長がお呼びです。校長室までお越しください。』
「!?」
セリナは険しい顔となり、
「やってやろうじゃない、決闘よ!」
と吐き捨て、鼻息荒く教室を出て行った。
「ま、おれは帰るか。」
プラズマが教室を出ようとしたときだった。
「ここに居たか!パーマー!!救護室に来なさい!!」
息を切らせた教師――古典のブラン・プルナマが現れた。
「どうしたんす……」
「スクラブが何者かに襲われ、救護室に搬送されたそうだ!!」
「なっ……!ルーノが!?」
~救護室~
「ルーノ!!!」
プラズマが救護室に入ると、頭部に包帯を巻いたルーノがベッドに横たわっていた。
頭部の包帯には赤く血が滲んでおり、布団から覗かせた両手にも赤く染まった包帯が巻いてあった。
見るからに痛々しい光景だった。
「プラズマ……」
痛みに耐えているからか、ルーノの息は荒い。
「お前襲われたって……!」
「あぁ……不意打ちだ……やられちまった……」
「相手は!?俺がぶっ飛ばしてきてやる!!」
「やめとけ……奴らはおそらくお前より強い……」
そう言ってルーノは視線を落とした。
「それに俺は相手の顔を見ていない…」
プラズマは唇を噛みしめ怒りを抑えた。
「でもなんで襲われたんだ?」
「お前の居場所が知りたかったみたいだ…」
「俺の……?」
「My Geneがどうとか言ってたが、詳しい事は分からん……」
「それに御伽噺を信じるにゃ、ちょっとマジすぎる。」
My Geneは御伽噺として知られ、映画やアニメなどの創作物にはよく出てくる、言わば『なんでも叶える魔法の遺伝子能力』だった。
オカルトの中でも最も程度が低く、親が子供を寝かしつけるときに読んで聞かせる物語というレベルのものだった。
そのためMy Geneを本気で信じている者は、新興宗教や気の触れた者という認識だったのだ。
「確かに戦争で大切な存在を失った奴らが、愛する人を生き返らせるためにMy Geneを求めて宇宙に出たってのは知ってる……」
「けどそれは、悲しみで気が狂っちまった人達だ。」
ルーノの言う通り、戦争で大事な家族や恋人、友人を失った者達はその深い悲しみゆえに、その御伽噺に縋るしかなかったのだ。
「本気でMy Geneが存在するなんて信じてる奴は笑われる。My Geneってのはそういう伝説の話だ。」
「それをマジで……暴力を使って探してるってんだからな……」
「気をつけろ……なぜかは知らんが奴らはお前を狙ってるぞ。」
「お、おう……」
~学校からの帰り道~
プラズマはルーノの話を何度も繰り返し考えていた。
「一体誰がルーノを………?アリスに相談するか……?」
なぜ直接自分ではなくルーノが襲われたのか?
My Geneと自分に何の関係があるのか?
「それにルーノがあんなになるなんて……」
ルーノは学生とは言え、すでに煉術の基唱を習得している上、複合煉術で習得難易度の高い轟唱をも操ることができた。
並みの政府軍の兵士でもルーノには敵わないだろう。
そのルーノをあそこまで重傷に……
「クソっ、一体だれが……」
ゴンッ
鈍い音と共に、重い衝撃がプラズマの後頭部を襲った。
「っ痛……って………なん………」
不意打ちに意識を失い、その場に倒れ込んでしまう。
そして何者かに担がれ、どこかへと連れて行かれてしまった。
~遺伝子能力養成学校校門~
「あの校長め~、わざわざ私に言うほどの事じゃないじゃない!プラズマも先帰るし……」
セリナが校長とのやりとりを思い出し、文句を言いながら歩いていると、3人の男達が人を担いでいるところを目にする。
「なにあれ……人さら……ってプラズマ……!?」
「ちょっ………待っ……!」
男達は宙に浮かぶ黒色の靄の中へと入り、姿を消した。
「嘘でしょ!?こんなの聞いてない!!一体誰の仕業!?」
セリナはレオンに連絡しながら、学校へと全力疾走する。
~アリス自宅~
「なんだと!?どこの誰に!?」
アリスはソファーから飛び上がった。
「大声を出すな。場所なんてすぐわかる。」
レオンは甲高いアリスの声に眉をひそめながらそうたしなめた。
「レオンてめぇ、何か知ってんのか?」
「そういう意味じゃない。もちろん俺も知らん。」
「ならセリナか!?」
アリスとは対照的に、レオンは至って冷静だった。
「落ち着け。なんで攫った奴から電話が来るんだ。」
「じゃぁ、パラムだ……!あの学校長……!」
アリスから鋭い殺気が放たれる。
「アリス、プラズマが心配なのはわかるが血が上りすぎだ。頭を涼しくしろ。」
「俺やセリナまで疑うな。みんなプラズマのために動いてるだろ?」
レオンの言葉に気が抜けたのか、アリスはストンとソファーに座った。
「プラズマのことになったら視野がウサギの片目並みになるのはお前の悪いところだ。」
レオンは動揺するアリスを置いて先に家を出ていった。
~とある山の山道~
「こんな山に……本当にプラズマいるんだろうな………!っんだよ!この虫!!さっきからずっと私の頭の上にばっか着いてきやがって!!」
アリスが顔の上を飛ぶ小さな羽虫を、鬱陶しそうに追い払いながら坂道を上っていたところだった。
『おいおい。なんでこっちだと分かった?』
アリス達の前に立ちはだかる2つの影。
バリーとギリアだった。
「何も痕跡はなかったはずだ。」
バリーは怪訝そうな顔をして尋ねた。
「高等煉術には能力共鳴探査ってのがあってな。」
レインの説明にアリスが挑発するように続く。
「どこに能力者がいるか分かるんだよ。お前ら下っ端じゃこんな技知らないだろ。」
かく言うアリスも使えないのだが。
そんなアリスの挑発に眉を動かしたのはギリアだった。
「下っ端ですと?言ってくれますね。」
「あなた方は私達の実力を見誤っているようですね。」
「ぐちゃぐちゃとうっせぇなぁ。」
そう言ってアリスは電撃を、レオンは冷気を手に纏い、眼前の敵に向かって歩き始めた。
「いくよ、レオン。プラズマの居場所100回は吐かせてやる。」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~学校廊下~
「誰が“戦友”よ!!人の気も知らないで!!」
「それに下校前に呼び出しだなんて……!!」
「あの校長、プラズマがいなかったらギッタンギッタンにしてやるのに……!」
「このセリナの力、とくと見せてやる……!!」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
【登場人物】
▼遺伝子能力養成学校高等部3年生
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
結構なバカ。
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
[ルーノ・スクラブ]
プラズマのクラスメイト。
プラズマが幼馴染、美人師匠に囲まれていることを妬んでいる。
セリナ曰く“プラズマの周りを飛びたがる衛星というか虫みたいなもの”らしい。
▼プラズマ周辺者
[アリス・ジア]
電撃の能力を持つ女性で、プラズマの師匠。
男勝りな性格。
[レオン・アイシー]
氷の能力を持つ男性で、セリナの師匠。
▼プラズマを狙う影
[ウィンド]
プラズマを狙う緑髪の青年。
ギリア、バリーと行動を共にする。
[ギリア]
アリスと対峙した男。空間を作用させ物を吸い込むような能力を持つ。
[バリー]
アリスと対峙した男。岩の能力者。
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【お知らせ】
コンセントをアルコールティッシュで拭いて、すぐにプラグ挿す。
これ爆発する可能性あるらしいので気をつけてくださいね。
今まで無事でよかった……
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~山の洞穴~
拠点にしている山の洞穴に戻った緑髪の男は、手に持った通信機器を口元に当てていた。
「ウィンドですが。えぇ、アクスグフスさんの言う通りでしたよ。奴の周りには邪魔者が多い。まぁ上手いことやります。」
ウィンドが自身の上司にあたる人物に必要な報告を済ませ、気にかかっていることを尋ねようとした時だった。
「あと、対象のサンダ……って切りやがった。」
ウィンドは突然切られたことに苛つきながらもそのまま眠りについた。
~遺伝子能力養成学校・講堂~
翌日、遺伝子能力学校では卒業試験に向けた学校長からの激励会が執り行われようとしていた。
講堂の壇上では学校長であるイヴ・パラムが激励を始める。
「皆さんの激励のために、ここはひとつ私の苦労話を話したいと思います。退屈かとは思いますが、少しの時間お付き合いくださいね。」
「知ってのとおり、私は33歳まで惑星間の事件を遊撃で捜査する機関にいました。」
「ですが、突然ここの学校長に出向を命じられることになり……」
学校長の声が遠のいていく。
ガクンッと頭が揺れると、もう二度と眠くならないのではないかというくらいはっきりと意識が戻った。
「……が先代の学…長から……継いだ時…当に大変で……」
しかしそれは一瞬のことで……また意識が遠のいていく。
拍手が響き渡りプラズマはハッと目を覚ます。
「以上で学校長による激励は終わりです。各学年解散してください。」
進行役の生徒会委員が解散を促し、皆が席を立ち始めた時だった。
前方からセリナがすごい剣幕でプラズマに近寄ってきている。
「プラズマ!あんたまた寝てたでしょ!」
「寝てねえよ!集中してただけ……」
「あんたが寝て怒られるの、学級長のあたしなんだからね!」
プラズマの反論を遮るようにセリナが責め立てる。
セリナに叱られながら講堂から廊下に出たところで、プラズマは自身を呼ぶ声に気づく。
「パーマー君、パーマー君」
背後から聞こえる声。
振り向くと学校長のイヴ・パラムが立っていた。
「よく眠っていましたね。見ていて気持ちいいくらいでした。」
「すいません!よく言って聞かせておきますので!」
セリナが勢いよく頭を下げる。
「セリナさんは本当にまじめね。委員長の役割もしっかり果たそうとして。」
パラム学校長は穏やかに笑みを浮かべるが、その目は全く笑っていなかった。
「まぁ、私自身大した話はしていませんので気にしていませんよ。」
学校長はにこやかに続ける。
「それにしてもあなたたちは本当に仲がいいのね。いっつも一緒にいるじゃない。」
「まるで……」
「まるで……?」
学校長の言葉を聞いたセリナは赤面し、たじろぎながら言葉の続きを待つ。
「まるで………戦友のようですね。」
「は………?」
唖然と立ち尽くすプラズマとは対照的に、セリナはガクッと気が抜け、学校長を力一杯睨みつけた。
そんなセリナを無視するかのように学校長はプラズマに話を続ける。
「最近は物騒なことも聞きます。もし困ったことがあれば校長である私になんでも相談してくださいね。」
セリナが慌てて2人の間に割って入った
「ちょ、ちょっと、校長……!」
「セリナさんは委員長の役割で忙しいでしょうから。」
「何ですか、その言い方……?」
誰が聞いても分かるくらいの嫌味だった。
バチバチの険悪ムードが校長とセリナの間で火花を上げている。
プラズマは校長に軽くお辞儀すると、学校長はニコッと笑みを浮かべ、くるりと振り返り去って行った。
プラズマたちも下校準備をするため、自分たちの教室に戻る。
「ほんとあの校長って嫌な感じ!」
かなりイライラしているのが見て取れる。
「知らねえよ、そんなにイラつくなって。」
「なによ戦友って……なにも知らないのに軽々しく言ってほしくない!」
プラズマは呆れながらも下校準備を続ける。
そのとき校内放送が流れた。
『ピーンポーンパーンポーン』
『高等部三年生のセリナさん、校長がお呼びです。校長室までお越しください。』
「!?」
セリナは険しい顔となり、
「やってやろうじゃない、決闘よ!」
と吐き捨て、鼻息荒く教室を出て行った。
「ま、おれは帰るか。」
プラズマが教室を出ようとしたときだった。
「ここに居たか!パーマー!!救護室に来なさい!!」
息を切らせた教師――古典のブラン・プルナマが現れた。
「どうしたんす……」
「スクラブが何者かに襲われ、救護室に搬送されたそうだ!!」
「なっ……!ルーノが!?」
~救護室~
「ルーノ!!!」
プラズマが救護室に入ると、頭部に包帯を巻いたルーノがベッドに横たわっていた。
頭部の包帯には赤く血が滲んでおり、布団から覗かせた両手にも赤く染まった包帯が巻いてあった。
見るからに痛々しい光景だった。
「プラズマ……」
痛みに耐えているからか、ルーノの息は荒い。
「お前襲われたって……!」
「あぁ……不意打ちだ……やられちまった……」
「相手は!?俺がぶっ飛ばしてきてやる!!」
「やめとけ……奴らはおそらくお前より強い……」
そう言ってルーノは視線を落とした。
「それに俺は相手の顔を見ていない…」
プラズマは唇を噛みしめ怒りを抑えた。
「でもなんで襲われたんだ?」
「お前の居場所が知りたかったみたいだ…」
「俺の……?」
「My Geneがどうとか言ってたが、詳しい事は分からん……」
「それに御伽噺を信じるにゃ、ちょっとマジすぎる。」
My Geneは御伽噺として知られ、映画やアニメなどの創作物にはよく出てくる、言わば『なんでも叶える魔法の遺伝子能力』だった。
オカルトの中でも最も程度が低く、親が子供を寝かしつけるときに読んで聞かせる物語というレベルのものだった。
そのためMy Geneを本気で信じている者は、新興宗教や気の触れた者という認識だったのだ。
「確かに戦争で大切な存在を失った奴らが、愛する人を生き返らせるためにMy Geneを求めて宇宙に出たってのは知ってる……」
「けどそれは、悲しみで気が狂っちまった人達だ。」
ルーノの言う通り、戦争で大事な家族や恋人、友人を失った者達はその深い悲しみゆえに、その御伽噺に縋るしかなかったのだ。
「本気でMy Geneが存在するなんて信じてる奴は笑われる。My Geneってのはそういう伝説の話だ。」
「それをマジで……暴力を使って探してるってんだからな……」
「気をつけろ……なぜかは知らんが奴らはお前を狙ってるぞ。」
「お、おう……」
~学校からの帰り道~
プラズマはルーノの話を何度も繰り返し考えていた。
「一体誰がルーノを………?アリスに相談するか……?」
なぜ直接自分ではなくルーノが襲われたのか?
My Geneと自分に何の関係があるのか?
「それにルーノがあんなになるなんて……」
ルーノは学生とは言え、すでに煉術の基唱を習得している上、複合煉術で習得難易度の高い轟唱をも操ることができた。
並みの政府軍の兵士でもルーノには敵わないだろう。
そのルーノをあそこまで重傷に……
「クソっ、一体だれが……」
ゴンッ
鈍い音と共に、重い衝撃がプラズマの後頭部を襲った。
「っ痛……って………なん………」
不意打ちに意識を失い、その場に倒れ込んでしまう。
そして何者かに担がれ、どこかへと連れて行かれてしまった。
~遺伝子能力養成学校校門~
「あの校長め~、わざわざ私に言うほどの事じゃないじゃない!プラズマも先帰るし……」
セリナが校長とのやりとりを思い出し、文句を言いながら歩いていると、3人の男達が人を担いでいるところを目にする。
「なにあれ……人さら……ってプラズマ……!?」
「ちょっ………待っ……!」
男達は宙に浮かぶ黒色の靄の中へと入り、姿を消した。
「嘘でしょ!?こんなの聞いてない!!一体誰の仕業!?」
セリナはレオンに連絡しながら、学校へと全力疾走する。
~アリス自宅~
「なんだと!?どこの誰に!?」
アリスはソファーから飛び上がった。
「大声を出すな。場所なんてすぐわかる。」
レオンは甲高いアリスの声に眉をひそめながらそうたしなめた。
「レオンてめぇ、何か知ってんのか?」
「そういう意味じゃない。もちろん俺も知らん。」
「ならセリナか!?」
アリスとは対照的に、レオンは至って冷静だった。
「落ち着け。なんで攫った奴から電話が来るんだ。」
「じゃぁ、パラムだ……!あの学校長……!」
アリスから鋭い殺気が放たれる。
「アリス、プラズマが心配なのはわかるが血が上りすぎだ。頭を涼しくしろ。」
「俺やセリナまで疑うな。みんなプラズマのために動いてるだろ?」
レオンの言葉に気が抜けたのか、アリスはストンとソファーに座った。
「プラズマのことになったら視野がウサギの片目並みになるのはお前の悪いところだ。」
レオンは動揺するアリスを置いて先に家を出ていった。
~とある山の山道~
「こんな山に……本当にプラズマいるんだろうな………!っんだよ!この虫!!さっきからずっと私の頭の上にばっか着いてきやがって!!」
アリスが顔の上を飛ぶ小さな羽虫を、鬱陶しそうに追い払いながら坂道を上っていたところだった。
『おいおい。なんでこっちだと分かった?』
アリス達の前に立ちはだかる2つの影。
バリーとギリアだった。
「何も痕跡はなかったはずだ。」
バリーは怪訝そうな顔をして尋ねた。
「高等煉術には能力共鳴探査ってのがあってな。」
レインの説明にアリスが挑発するように続く。
「どこに能力者がいるか分かるんだよ。お前ら下っ端じゃこんな技知らないだろ。」
かく言うアリスも使えないのだが。
そんなアリスの挑発に眉を動かしたのはギリアだった。
「下っ端ですと?言ってくれますね。」
「あなた方は私達の実力を見誤っているようですね。」
「ぐちゃぐちゃとうっせぇなぁ。」
そう言ってアリスは電撃を、レオンは冷気を手に纏い、眼前の敵に向かって歩き始めた。
「いくよ、レオン。プラズマの居場所100回は吐かせてやる。」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~学校廊下~
「誰が“戦友”よ!!人の気も知らないで!!」
「それに下校前に呼び出しだなんて……!!」
「あの校長、プラズマがいなかったらギッタンギッタンにしてやるのに……!」
「このセリナの力、とくと見せてやる……!!」
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