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第4章 百獣の王の星 [森星]
第3話 暴君パレード
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【登場人物】
▼何でも屋
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。
政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。
▼森星
[ドルニク・バリスタ]
森星の王。黄金色のたてがみを生やしている上裸の大男。
[ザルダム・バリスタ]
ドルニク・バリスタの父で、宇宙船の代わりとなる宇宙亀を販売している。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
【お知らせ】
もう一つ小説あげようか悩む。
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「じゃぁ、星王許可証を」
「星王許可証?」
~森星市街区~
宇宙亀販売店店主である彼から求められた星王許可証を取得するため、市街区に戻って来たのだった。
「とにかく宇宙亀買うにゃ星王の許可証が必要だ。役所行くぞ役所」
ムダな往復だったとバリスがイラついた様子で一行を先導している。
「にしても最初来たときよりも賑やかじゃねぇか?」
「あれは…祭りか!?」
プラズマと涙流華は、道を歩いている装飾を施した星民たちに目が釘付けになっていた。
「これは多分あれじゃねぇのか」
ラルトが前方の人だかりと神輿を指さした。
「多分星王のパレードだ。役所も宇宙亀の承認は今は受けてくれないかもな」
市街区の中心に近づくにつれて、お祭り騒ぎの規模が大きくなっていく。
「すげぇ! 見てみろよルルカ!!」
「これが“ぱれーど”か……?」
プラズマと涙流華は豪華絢爛の神輿や装飾に言葉を詰まらせながらも目を輝かせている。
すると、プラズマ達の近くを通りすがった星民が晴れやかな表情で話しかけてきた。
「君達、旅行者だろう?」
プラズマは“うん”と頷いている。
「これってなんのパレード? 何のお祝いなんだ?」
プラズマのその言葉に星民は嬉しそうに説明し始めた。
「星王様就任2年目のお祝いさ!! バリスタ星王になってから森星民は息を吹き返したから皆こぞってお祝いムードさ!」
さらに近くにいた他の星民も続いた。
「バリスタ星王が就任する前は政府軍やら周辺の惑星やらが、この星を乗っ取ろうとしていたからな!」
「異星民や政府軍の回し者を排除してくれるから心強いし、今や森星民を一番に考えてくれる政策ばかり打ち出してくれる希望の王だよ!」
その言葉を聞いたプラズマは横に立つ涙流華に小声で耳打ちした。
「異星民だし元政府軍のいる俺達もしかして、星王からしたらすごい敵なんじゃ……?」
プラズマの耳打ちを受けながらも涙流華がパレードを見ていると、その傍にパレードとは違う集団を発見する。それは見覚えのある団体だった。
「あれは……」
その集団は怒号を上げながらプラカードやのぼりを掲げている。その集団について星民は呆れたように説明した。
「ありゃ反バリスタ星王のデモだ。いつも王宮前でやってる」
「森星に大量入星して帰化した異星民。当時は発言力も頼りがいもない星王でやりたい放題してたけど、今や強硬派のバリスタ星王から虐げられて怒り狂ってるってわけだ」
『星王は暴力による統治をやめろ!!』
『星民人権を虐げるな!!』
パレードの中心、巨大な神輿の上に座する星王、ドルニク・バリスタ。
彼の乗っている神輿がデモ集団に近づくと、彼は椅子から立ち上がった。
するとバリスタ星王は約10メートルという高さはあろう神輿から飛び降りる。そして彼はマイクを片手に大通りの端にいるデモ集団に近づいていった。
「お前ら、森星で好き勝手できると言われ帰化を唆されたんだろ?」
ずんずんと近づいてくる星王に、デモ集団の腰は引けていた。星王はさらに威圧するようにいかり肩で迫っていく。
「そしたらまさかのまさか。その後ワシが王になってしまったからお前ら立場が無いわなぁ」
バリスタ星王はデモ集団を見渡して嘲笑している。
「ワシは偽りの星民のために為政はしない。残念だったな」
挑発じみた星王の言葉にデモ集団は怒り心頭だった。
「クソ野郎が!!特定の帰化民団体にだけ贔屓しやがって!」
「やかましい!ワシに逆らうなら死だ!!」
そのやり取りを見ていた星王支持者も若干引き気味に笑っている。
「ただ……あの過激で暴力的なところは損だよなぁ……」
「すげえ。なんかライオンみたいだな」
プラズマの感想通り、見た目も相まってまるでライオンのようだった。
「それはその通りだよ。政府軍からは【百獣の王】なんて二つ名を与えられているからね」
星民は苦笑した。
「実際にドルニク・バリスタ星王は横暴さ」
プラズマに応えたのは、灰色のローブを着た男性だった。その男はフードを被っており、表情は見えない。
「気に入らなければ怒鳴り散らし、反対勢力は暴力を用いて徹底的に潰す。相手が誰だろうとね」
「え?」
灰色のローブの男はプラズマの横に並ぶように立つと、プラズマの方を見ることなくパレード中の星王を指差した。
「ほら、見てごらん」
一頻りの暴言を言い終えた星王がパレードの列に戻ろうとした時だった。
「ライオンの王様ぁ!!」
小さな女の子が観覧の列から飛び出して、星王の元へ駆け寄った。
「こらっ! ダメよクロン!」
母親の制止に全く聞く耳を持たない少女を警備兵が排除しようとするが、星王が兵士たちを手で制した。
少女は無邪気な様子で星王の元へたどり着く。
そんな少女を傍目に、兵士やデモ集団がその様子を固唾を飲んで見守っていた。
「ライオンの王様! いつもありがとう!!」
少女はポケットから木の実を取り出すと、嬉しそうに星王のバリスタに差し出した。
星王が女の子に向けて手を伸ばす。
ドンッ
「キャッ」
星王は木の実を受け取らず、突然女の子の胸を押して突き飛ばした。
女の子は数メートル先にしりもちをついて倒れている。
それは星王が女の子を突き飛ばしたのと同時だった。
パァン
銃声と共に女の子を突き飛ばした星王の肘あたりが小さく爆発し鮮血が飛び散る。
当然のことながら突然の銃声に辺りは騒然となった。星民は蜘蛛の子を散らしたようにその場から離れていく。プラズマは涙流華とともに人込みに押されて、バリス達と離された。
プラズマの横にいたローブの男はその光景を見て飛び出した。そして星王に詰め寄っていく。
そして、彼は被っていたフードを取って顔を露わにした。
「手を引け!! 自分を応援する女の子に手を出すとはなんと卑劣な! それでも星王か!」
王の前へと出たローブの男を見て、ラルトがその男の名を口にする。
「あいつは……ロレンツ……!」
星王は血が滴る手を押さえながら、その男を嘲笑している。
「またお前か……ロレンツ。選挙でワシに負けたのがそんなに悔しいか」
「何が選挙だ! お前の陣営が不正に票を操作したのだろう!!」
「このパレードで必ずお前が反対派に手を上げるだろうと確信していた。だから能力者に狙撃を依頼していた」
ロレンツはそう言うと、付近の山の方向を指さした。
「山からスナイプねぇ……」
星王は山を一瞥すると、下を向いて鼻で笑った。その余裕とも取れる笑みに、ロレンツは激昂した。
「また民衆に手を上げようものなら、次はお前の頭を吹っ飛ばすぞ!」
「ふん、やれるものならやってみろ。だがワシが死ぬ前にお前の頭も吹っ飛ばすから覚悟しておくんだな」
ロレンツは同じ反星王派たちに押さえられながら、星王と引き離される。星王の身辺警護員が追いかけようとするが、星王は“あんなゴミども放っておけ”と制した。
星王はロレンツが見えなくなるまで睨み続け、姿が消えてから唾を吐いてパレードへと戻っていった。
王の周辺者が狙撃された手を気にかけるも、彼は“構うな”と言わんばかりにもう一方の手で制している。
その様子を見ていたプラズマはつい叫んでしまった。
「おいおい、この星めちゃくちゃ物騒じゃねぇか!」
プラズマがそう叫び、涙流華も“全くだ”と同意した時だった。
「プラズマ! ルルカ!」
バリスが彼らを呼ぶ。
「んだよ」「なんだいきなり」
バリスとラルトは安堵で胸を撫で下ろす。
「よし、面倒製造機はまだ面倒を起こしてない……!」
さっきの銃声で騒然となり、バリスとラルトは人混みでプラズマ達から引き離されてしまったのだった。
「面倒ごとに巻き込まれる前に退散するぞ!」
バリスがプラズマを、ラルトが涙流華をそれぞれ引っ張ってパレードから離れていく。
一行は少し離れたところで、未だ慌ただしく星警察が動いているパレードの方を見ていた。
「なんか、物騒だな…」
せっかくのパレードだったが、プラズマは意気消沈していた。
すると彼らに近寄る一つの影があった。
「あ、あなたは! 前に森星に来ていた政府軍の!」
その人影はラルトに話しかけているようだった。
そしてラルトも見覚えのあるその人物に応えた。
「ロレンツ! あんたさっき見てたぞ! あんな危ない真似……!」
ロレンツは“お騒がせしてすみません”と頭を掻いている。
「また森星でのお仕事なんですね。ありがとうございます」
頭を下げるロレンツにラルトはバツが悪そうに答えた。
「俺はもう政府軍の人間じゃないんだ」
「えっ?退官されたのですか?」
ロレンツは驚いた様子で尋ねた。
「あぁ今は四帝直轄の遊撃捜査隊をやってる。とは言っても何でも屋みたいなもんだけどな」
「何でも屋ですか……?」
ロレンツは不思議そうな表情を浮かべると、少し考え込んだ。
「でしたら……」
「あなた方に頼みたいことがあるのですが……」
「頼みたいこと?」
「私達の仲間を救ってほしいんです」
「何かあったのか?」
ラルトに代わってバリスが尋ねる。
「バリスタ星王は我々反星王派を攫っているんです」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~1年前のパレード~
「このバカ星王が!!!」
「バカという方がバカなのだ!」
「なんだと!? 星民に支えられてこその星王だというのに!!」
「バーカバーカ!! ワシが王だ!! ルールだ!!」
「うるさいバカが!!」
「バカにバカと言われる筋合いはないわ!!」
「これも平和……なのか?」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
【登場人物】
▼何でも屋
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。
政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。
▼森星
[ドルニク・バリスタ]
森星の王。黄金色のたてがみを生やしている上裸の大男。
[ザルダム・バリスタ]
ドルニク・バリスタの父で、宇宙船の代わりとなる宇宙亀を販売している。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
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【お知らせ】
もう一つ小説あげようか悩む。
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「じゃぁ、星王許可証を」
「星王許可証?」
~森星市街区~
宇宙亀販売店店主である彼から求められた星王許可証を取得するため、市街区に戻って来たのだった。
「とにかく宇宙亀買うにゃ星王の許可証が必要だ。役所行くぞ役所」
ムダな往復だったとバリスがイラついた様子で一行を先導している。
「にしても最初来たときよりも賑やかじゃねぇか?」
「あれは…祭りか!?」
プラズマと涙流華は、道を歩いている装飾を施した星民たちに目が釘付けになっていた。
「これは多分あれじゃねぇのか」
ラルトが前方の人だかりと神輿を指さした。
「多分星王のパレードだ。役所も宇宙亀の承認は今は受けてくれないかもな」
市街区の中心に近づくにつれて、お祭り騒ぎの規模が大きくなっていく。
「すげぇ! 見てみろよルルカ!!」
「これが“ぱれーど”か……?」
プラズマと涙流華は豪華絢爛の神輿や装飾に言葉を詰まらせながらも目を輝かせている。
すると、プラズマ達の近くを通りすがった星民が晴れやかな表情で話しかけてきた。
「君達、旅行者だろう?」
プラズマは“うん”と頷いている。
「これってなんのパレード? 何のお祝いなんだ?」
プラズマのその言葉に星民は嬉しそうに説明し始めた。
「星王様就任2年目のお祝いさ!! バリスタ星王になってから森星民は息を吹き返したから皆こぞってお祝いムードさ!」
さらに近くにいた他の星民も続いた。
「バリスタ星王が就任する前は政府軍やら周辺の惑星やらが、この星を乗っ取ろうとしていたからな!」
「異星民や政府軍の回し者を排除してくれるから心強いし、今や森星民を一番に考えてくれる政策ばかり打ち出してくれる希望の王だよ!」
その言葉を聞いたプラズマは横に立つ涙流華に小声で耳打ちした。
「異星民だし元政府軍のいる俺達もしかして、星王からしたらすごい敵なんじゃ……?」
プラズマの耳打ちを受けながらも涙流華がパレードを見ていると、その傍にパレードとは違う集団を発見する。それは見覚えのある団体だった。
「あれは……」
その集団は怒号を上げながらプラカードやのぼりを掲げている。その集団について星民は呆れたように説明した。
「ありゃ反バリスタ星王のデモだ。いつも王宮前でやってる」
「森星に大量入星して帰化した異星民。当時は発言力も頼りがいもない星王でやりたい放題してたけど、今や強硬派のバリスタ星王から虐げられて怒り狂ってるってわけだ」
『星王は暴力による統治をやめろ!!』
『星民人権を虐げるな!!』
パレードの中心、巨大な神輿の上に座する星王、ドルニク・バリスタ。
彼の乗っている神輿がデモ集団に近づくと、彼は椅子から立ち上がった。
するとバリスタ星王は約10メートルという高さはあろう神輿から飛び降りる。そして彼はマイクを片手に大通りの端にいるデモ集団に近づいていった。
「お前ら、森星で好き勝手できると言われ帰化を唆されたんだろ?」
ずんずんと近づいてくる星王に、デモ集団の腰は引けていた。星王はさらに威圧するようにいかり肩で迫っていく。
「そしたらまさかのまさか。その後ワシが王になってしまったからお前ら立場が無いわなぁ」
バリスタ星王はデモ集団を見渡して嘲笑している。
「ワシは偽りの星民のために為政はしない。残念だったな」
挑発じみた星王の言葉にデモ集団は怒り心頭だった。
「クソ野郎が!!特定の帰化民団体にだけ贔屓しやがって!」
「やかましい!ワシに逆らうなら死だ!!」
そのやり取りを見ていた星王支持者も若干引き気味に笑っている。
「ただ……あの過激で暴力的なところは損だよなぁ……」
「すげえ。なんかライオンみたいだな」
プラズマの感想通り、見た目も相まってまるでライオンのようだった。
「それはその通りだよ。政府軍からは【百獣の王】なんて二つ名を与えられているからね」
星民は苦笑した。
「実際にドルニク・バリスタ星王は横暴さ」
プラズマに応えたのは、灰色のローブを着た男性だった。その男はフードを被っており、表情は見えない。
「気に入らなければ怒鳴り散らし、反対勢力は暴力を用いて徹底的に潰す。相手が誰だろうとね」
「え?」
灰色のローブの男はプラズマの横に並ぶように立つと、プラズマの方を見ることなくパレード中の星王を指差した。
「ほら、見てごらん」
一頻りの暴言を言い終えた星王がパレードの列に戻ろうとした時だった。
「ライオンの王様ぁ!!」
小さな女の子が観覧の列から飛び出して、星王の元へ駆け寄った。
「こらっ! ダメよクロン!」
母親の制止に全く聞く耳を持たない少女を警備兵が排除しようとするが、星王が兵士たちを手で制した。
少女は無邪気な様子で星王の元へたどり着く。
そんな少女を傍目に、兵士やデモ集団がその様子を固唾を飲んで見守っていた。
「ライオンの王様! いつもありがとう!!」
少女はポケットから木の実を取り出すと、嬉しそうに星王のバリスタに差し出した。
星王が女の子に向けて手を伸ばす。
ドンッ
「キャッ」
星王は木の実を受け取らず、突然女の子の胸を押して突き飛ばした。
女の子は数メートル先にしりもちをついて倒れている。
それは星王が女の子を突き飛ばしたのと同時だった。
パァン
銃声と共に女の子を突き飛ばした星王の肘あたりが小さく爆発し鮮血が飛び散る。
当然のことながら突然の銃声に辺りは騒然となった。星民は蜘蛛の子を散らしたようにその場から離れていく。プラズマは涙流華とともに人込みに押されて、バリス達と離された。
プラズマの横にいたローブの男はその光景を見て飛び出した。そして星王に詰め寄っていく。
そして、彼は被っていたフードを取って顔を露わにした。
「手を引け!! 自分を応援する女の子に手を出すとはなんと卑劣な! それでも星王か!」
王の前へと出たローブの男を見て、ラルトがその男の名を口にする。
「あいつは……ロレンツ……!」
星王は血が滴る手を押さえながら、その男を嘲笑している。
「またお前か……ロレンツ。選挙でワシに負けたのがそんなに悔しいか」
「何が選挙だ! お前の陣営が不正に票を操作したのだろう!!」
「このパレードで必ずお前が反対派に手を上げるだろうと確信していた。だから能力者に狙撃を依頼していた」
ロレンツはそう言うと、付近の山の方向を指さした。
「山からスナイプねぇ……」
星王は山を一瞥すると、下を向いて鼻で笑った。その余裕とも取れる笑みに、ロレンツは激昂した。
「また民衆に手を上げようものなら、次はお前の頭を吹っ飛ばすぞ!」
「ふん、やれるものならやってみろ。だがワシが死ぬ前にお前の頭も吹っ飛ばすから覚悟しておくんだな」
ロレンツは同じ反星王派たちに押さえられながら、星王と引き離される。星王の身辺警護員が追いかけようとするが、星王は“あんなゴミども放っておけ”と制した。
星王はロレンツが見えなくなるまで睨み続け、姿が消えてから唾を吐いてパレードへと戻っていった。
王の周辺者が狙撃された手を気にかけるも、彼は“構うな”と言わんばかりにもう一方の手で制している。
その様子を見ていたプラズマはつい叫んでしまった。
「おいおい、この星めちゃくちゃ物騒じゃねぇか!」
プラズマがそう叫び、涙流華も“全くだ”と同意した時だった。
「プラズマ! ルルカ!」
バリスが彼らを呼ぶ。
「んだよ」「なんだいきなり」
バリスとラルトは安堵で胸を撫で下ろす。
「よし、面倒製造機はまだ面倒を起こしてない……!」
さっきの銃声で騒然となり、バリスとラルトは人混みでプラズマ達から引き離されてしまったのだった。
「面倒ごとに巻き込まれる前に退散するぞ!」
バリスがプラズマを、ラルトが涙流華をそれぞれ引っ張ってパレードから離れていく。
一行は少し離れたところで、未だ慌ただしく星警察が動いているパレードの方を見ていた。
「なんか、物騒だな…」
せっかくのパレードだったが、プラズマは意気消沈していた。
すると彼らに近寄る一つの影があった。
「あ、あなたは! 前に森星に来ていた政府軍の!」
その人影はラルトに話しかけているようだった。
そしてラルトも見覚えのあるその人物に応えた。
「ロレンツ! あんたさっき見てたぞ! あんな危ない真似……!」
ロレンツは“お騒がせしてすみません”と頭を掻いている。
「また森星でのお仕事なんですね。ありがとうございます」
頭を下げるロレンツにラルトはバツが悪そうに答えた。
「俺はもう政府軍の人間じゃないんだ」
「えっ?退官されたのですか?」
ロレンツは驚いた様子で尋ねた。
「あぁ今は四帝直轄の遊撃捜査隊をやってる。とは言っても何でも屋みたいなもんだけどな」
「何でも屋ですか……?」
ロレンツは不思議そうな表情を浮かべると、少し考え込んだ。
「でしたら……」
「あなた方に頼みたいことがあるのですが……」
「頼みたいこと?」
「私達の仲間を救ってほしいんです」
「何かあったのか?」
ラルトに代わってバリスが尋ねる。
「バリスタ星王は我々反星王派を攫っているんです」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~1年前のパレード~
「このバカ星王が!!!」
「バカという方がバカなのだ!」
「なんだと!? 星民に支えられてこその星王だというのに!!」
「バーカバーカ!! ワシが王だ!! ルールだ!!」
「うるさいバカが!!」
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