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第1章 ネガティ部の仲間達編

第14話 あの占いか!?

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 チュンチュン チュンチュン

 う~ん もう朝かよ~って、まだ六時じゃないか!?
 こんな時間に目が覚めるなんて珍しいよな。

 逆に疲れ過ぎて目が覚めたのか?

「母さんオハヨ~。あれ、親父は?」

「あら一矢、珍しいわね。こんなに早く起きてくるなんて……あ、お父さん今日は大阪に出張で朝早くから出かけたわよ」

 へぇ、親父珍しいな。
 メチャクチャ仕事嫌いな人なのに出張って……全然似合わねぇな。

 俺の両親は二人共、名染伊太学園のOBとOGで先輩後輩の関係から自然と付き合うようになり、そして結婚し、俺と妹が生まれる。

 ちなみに俺の妹は現在、アメリカに留学していてこの家にはいない。恐らく来年、高校生になる時には日本に帰ってくるらしいけど……

 何故、妹がその年齢で単身、アメリカ留学をしているのかは今は言わないでおく。俺は訳あって、あまり妹の話はしたくないんだ。

 それで話を変えるが何度か両親に名染伊太学園では何の部活に入っていたのか聞いた事があるが、何故か上手くはぐらかされて未だに聞けていない。

 まぁ、二人共、超根アカな性格だから元ネガティ部ってことはまず無いだろうけどな。

 そして俺は眼が冴えたので早々と制服に着替え階段を下りてリビングへと向かった。リビングの方からは朝のテレビ番組の音が聞こえてくる。

 朝のテレビ番組なんていつも起きるのがギリギリだから久しぶりにゆっくりと観れよなぁ……

 おっ? 『今日の星占い』……元々俺は美代部長達と違って占いなんて興味は無いけど……まぁ、聞くだけ聞いてやろうか。

 え? 占いの結果が画面に出る方式じゃないんだな? へぇ、占い師自らテレビ出演して結果を言うのか? 最近の占い番組としては珍しいよな?

 そ、それにしてもあの占い師、黒いマント姿でフードをかぶっていて表情が見えないし、めちゃくちゃインチキ臭そうだな?
 
 まぁ、それはそれとして……蠍座さそりざの俺の今日の運勢はどうなんだ?

「蠍座のあなた……会社や学校で今日、初めて出会った人を絶対に『モノ』にしないと、あなたは『死ぬ』でしょう。絶対に『モノ』にしてください……」

「・・・・・・」

 えぇ―――――――――ッ!!??

 もしかしてこれがあの噂の占いかっ!?

 全然知らなかった。まさかマジでこんな占いがあつただなんて……
 美代部長が言ってた占いは、嘘じゃなかったんだな。

『今日、初めて出会った人を『モノ』にしないと死ぬ』かぁ……

 ふ、ふざけるな―――っ!!
 バカにすんじゃねぇぞ!! 

 お、俺がそんな占いを信じるとでも思っているのか!?
 しっ、信じるわけねぇじゃねぇか!!
 で、『モノにする』ってどういう事だ!?
 変な事か? イヤ絶対違うだろ!!
 全然意味分からねーし!!

 もういい!!
 少し早いけど、いや、メッチャ早いけど学校行こ!!

「次に、射手座いてざのあなたは今日あなたの許から去って行く人を絶対引き留めて下さい。そうでなければお互いに死ぬでしょう……」

「ふん、勝手に言っとけ!!」

 そして、怒りで完全に目が覚めた俺はいつもより早く学園に行くのであった。



【校門前】

「あら? 一矢君、おはようございます」

「あっ、美代部長おはようございます。美代部長も今日はめちゃくちゃ早いですね?」

「そ、そうなんです。いつも早起きして家でゆっくり朝食をいただいてから登校するのですが、なんだか今日は居ても立っても居られなくなってしまい、朝食も取らずについ早く来てしまいました……」

 美代部長の居ても立っても居られなくなった理由を知りたいところだけど……

「そ、そうなんですね? 実は俺もなんですよ。朝からちょっと嫌な気分になってしまったんで思わず早く来ちゃいましたよ。ハ、ハハハ……」

「一矢君の嫌な気分になった理由がとても気になりますので、今日の部活でお話聞かせて下さいね?」

「え? あ、ありがとうございます。それじゃあまた、部活でお会いしましょう」

 仮入部してから一週間経ったけど、先輩達とも少しずつだけど打ち解けてきたから話しやすくなってきたよなぁ。

 それに初めて会った時からそうだったけど、美代部長はほんと、優しい人だなぁ。
 見た目が地味じゃなかったら俺みたいなのが気安く会話なんてできないだろう。

 地味なのを感謝しなくちゃいけないかもしれないな。

 今朝の占いが『初めて出会った人』じゃなくて『最初に出会った人』だったらなぁ……そうであれば俺は美代部長をモノに……

 そんな少しイヤラシイ事を考えながら俺は自分の教室にたどり着く。

 ガラッ……ガラガラ~

 教室に入ると当然ながら誰もいない。

 やはり俺が一番乗りだよな。

 そう言えば一番乗りってのは小中校合わせても初めてかもしれないな。
 そんな事を思いながらとりあえず自分の席に座った。

 しかし、誰も居ない教室の中って静かだなぁ……
 最近落ち着いた生活をしていないから、たまにはこんな静かな教室で一人、黄昏たそがれるのも悪くないかもな?

 コツ コツ コツ コツ……

 ん? 廊下の方から足音が聞こえてきたぞ。
 すると足音は俺の教室の前で止まった。そして……

 ガラッ……ガラガラーッ……

 うちのクラスの人間なのかな?

 俺みたいな訳あってこんな早い時間に学校に登校する奴が他にもいるのか?
 それとも毎日こんな早い時間に登校しているのか?

 ん? でもなかなか教室に入って来ないな。
 何でだ? もしかして俺がいるからかとかか?

 窓越しに人影は見える。そしておそらくあのシルエットは女子だな。
 一体誰だろう? まだ入学して一週間だから女子の名前はちゃんと覚えていないんだよなぁ……

 あっ!! 
 ようやく教室に入って来たぞ!!
 
 あれ? 誰だあの子は? 髪の色がピンクでツインテール? 
 うちのクラスにあんな女子いたか?
 全然見た事が無い子なんだが……

 それに何だかキョロキョロしていて挙動不審で怪しいな。

 あっ? 
 今、俺と目が合ったぞ? 
 
 合ったと同時に凄い緊張した顔で俺に近付いて来たーっ!!
 な、なんか凄い怖いんですけど!!
 だ、大丈夫なのか俺!?

 と、少しビビっていた俺だったが彼女は俺に軽く会釈をすると隣の席にちょこんと座ったのだった。

 あれっ?
 も、もしかして、この子は……

 すると彼女は俺に話かけてきたのだった。
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