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第7章 四大茶部総会編

第71話 見ていて飽きない奴等だな 

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【ネガティ部、部室内】


どよ――――――――――――ん

「はぁぁぁ……」
「ふぅぅぅ……」

「一矢君と舞奈ちゃん、二人共ためを息ついてどうかしたの?」

「えっ? ああテルマ先輩……いや、あのルイルイが臨時とはいえ、まさかうちのクラスの担任になるとは思ってもいなかったので……だからショックというか、これからどうなんるんだという不安しか湧いてこなくて……」

 あのテルマ先輩が心配そうな表情で声をかかてくれるなんて珍しいな。なんかめっちゃ嬉しいんですけど。それに心配した表情もマジでキュートだし。お陰で少しだけ気持ちが楽になった気がするぞ。

「そっ、そうなんです!! ほんと、まさか過ぎて未だに信じられませんよぉ!! 私、教壇の前に立ったルイルイの姿を見て思わず家に帰ろうかと思いました!!」

 舞奈、お前は何かあったら家に帰ってしまう癖でもあるのか!? 

「で、でも部活は出たかったので帰りたい衝動は我慢できたといいかすか……それにもし私の居ないところで部活内の色んな事が決まってしまったら……私だけ何も知らない状態なのにワザと誰も教えてくれなかったら……1人ポツンと部室の隅っこでたたずむなんて耐えられないし……」

 相変わらずマイナス思考な奴だな!!

「そ、そうよねぇ……そりゃあショックよねぇ……気持ち分かるわ……」



「はぁぁぁあああ……」

 ん? 今のため息は菜弥美先輩か?

「菜弥美までため息ついてどうしたのよ?」

「だって、あのルイルイがうちの学園の教師に就任したという事はネガティ部アルバイト顧問から正式な顧問になったということでしょ? それって嫌じゃない?」

「そうね。でもアルバイトから正式な顧問になったからってルイルイがハチャメチャなのは変わらないんじゃないの?」

「あ、そっか。うん、言われてみればそうだわ。あのルイルイはどんな立場になっても変わらないのがルイルイだったわ!! でももう1つ悩ましい問題があるわ!!」

「ああ、アレね。私もそっちの方がこれから面倒な気がするわ」

 え? アレ? 悩ましい問題って何だろう?

「あのぉ菜弥美先輩? 悩ましい問題というのはどんなこと何でしょうか?」

「一矢君、聞いてくれる? 実はね、あのルイルイって国教師なの。それで2年生の一部も担当するらしくて明日からうちのクラスも担当になるって聞いたのよ!! どう思う? 絶対にめちゃくちゃな授業になるだろうし想像しただけで最悪でしょぉ!? あぁぁああ『菜弥美の悩み事』が益々増えていきそうだわ!!」

「そうだったわね。菜弥美のクラスはルイルイが国語の担当になるんだったわねぇ。お気の毒に……」

「そうなんですか!? それは最悪ですねぇ……でも菜弥美先輩、あまり悩まないでくださいね?」

「う、うん……ありがとう……悩みだしたらまた一矢君に相談するわね?」

「えっ!? あ、はい……いつでもどうぞ……」

「うふ、ありがと♡」

 何、この菜弥美先輩の可愛らしい笑顔は!?

 部員の中では一番しっかり者の菜弥美先輩だからこそ余計に今の笑顔はギャップがあって萌えちまうぜ!!



「ぼっ、僕のクラスも菜弥美のクラスと同じでルイルイが国語担当なんだよ!!」

「へぇ、そうなんですねぇ……」

「ひ、一矢君!! 僕に対しての扱い冷たすぎないか!?」

「え? お気に召しませんでしたか?」

「い、いや、それはそれでいいというか、何というか……」

 けっ、この変態イケメンめ!!

「で、でもさ、今日いきなり僕のクラスに入ってくるなり全員に『ウジ虫共』って言ってヒンシュクを買っていたんだよ。まぁルイルイは全然気にして無かったけどね。ほんと一体どんな神経をしているのやら……」

「ですよねぇ。うちのクラスも同じ登場の仕方でしたよ。ただうちの学年は合宿でルイルイに会っているので免疫があるのか思ったほどみんな驚いてはいませんでしたけど……」

 いや舞奈、うちのクラスの連中は驚きを通り越して体が硬直してしまって何の反応も出来なかったんだと思うぞ。


「おいおいおい~ミジンコ共~よくもまぁ本人が居る前でそこまで私の悪口を言えるよなぁ~? ゾウリムシ程の根性しか無かったお前達なのに、いつの間にか神経が図太くなったんじゃないのか~?」

「ル、ルイルイにだけにはそんなこと言われたくないわ!! ルイルイ以上に口の悪い人なんてこの学園には居ないんだからね!!」

「まぁ、落ち着けヤミヤミ~私の事でそんなに悩んでも何も得は無いぞぉおぉ。お肌に悪いだけだ。せっかくの美人が台無しだぞ!!」

 そっ、それは言えるな。菜弥美先輩はやはり常に明るくて笑顔の方が良く似合う。

「わ、私美人じゃ無いし!! それにルイルイが私の悩みを増やしてるんじゃないの!! どうして本業の『占い師』を辞めてまで、うちの学園の教師になったのよ!?」

「ハッハッハッハ!! 何で私が占い師を止めて教師になったのかだと? 理由は簡単だ。この学園に『新ヒトヤン様』がいるからに決まっているだろ!!」

「だからその『新ヒトヤン様』って何だよ!? っていうか、あれだけ親父に言われたのにまだ俺の事、諦めてねぇのかよ!?」

「ハッハッハッハ!! 諦める訳ないだろぉ!! 諦めたらそこで試合終了じゃないかぁ」

「試合じゃねぇだろ!!」

「まぁ、私の事は気にするな。お前達の邪魔をする気なんて無いから心配無用だ。私はただ、『新ヒトヤン様』をゲットできればそれで良いんだからな!!」

『『『 だっ、だからそれが邪魔しているって事なのよ―――っ!!』』』

 みっ、みんな同時に突っ込んだぞっ!!

 しかしルイルイ……こ、この女、全然諦めてないぞ……まだ15歳で『普通』の俺……いやっ『普通』じゃ無いけども、一体俺のどこが良いんだろうか?

「ハッハッハッハ!! 『新ヒトヤン様』モテモテだな~?」

「べっ、別にモテてねぇし!! ねっ、皆さん? 俺の事なんて別に何とも思っていないですよね!?」

「えっ? あっ、そうだった!! そろそろ備品整理をしておかないといけなかったわ!!」

 な、菜弥美先輩、急にどうしたんですか?
 それにうちの部に備品なんて物があるんですか!?

「わわわ私もそろそろ聖香と遊びに行くところを考えないといけなかったわ!!」

 舞奈、それは家で考えろ!!

「ぼっ、僕もそろそろ、いつも同じ方向ばかり向いている顔を反対に向けなくては!!」

 好きにしてくれ子龍先輩!! ってかあんた、顔の向きを簡単に変えれるんじゃねぇか!!

「私もそろそろ部室の洗面所で髪を黒く染めようかしら……」

 テ、テルマ先輩!?

 お願いだから金髪のままでいてください!! っていうか髪染なんて部室でするもんじゃ無いでしょ!?

 みんな急によそよそしくなって一体どうしたんだろうか?

「ハッハッハッハ!! ハッハッハッハ!! ほんとお前達は見ていて飽きない奴等だな!!」

「ルイルイ、笑い過ぎだ!!」




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お読みいただきありがとうございました。
新章『四大茶部総会編』スタートしました。
どうぞ宜しくお願い致します。
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