初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

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第7章 夏休み編

第35話 初恋の人に嫉妬

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 山本……?
 どこかで聞いたことのある苗字だな……

「ええ、それじゃまた機会があればよろしくね。さようならぁ……」

 チン……

「隆君ゴメンなさいね」

 『つねちゃん』は何事も無かった様な顔で俺に謝って来た。

「いや別にいいんだけど……それよりも今の電話の人……山本って名前の人……」

 俺は不安な気持ちを抱きながら恐る恐る『山本』という男の事を聞きだそうとする。

「あっ、今の人ね……? 今の人は『山本三郎君』と言って、志保ちゃんの大学時代の同級生の子なのよ」

 俺はやはりそうかとは思っていたが、次に出す言葉を一瞬ためらいながら『つねちゃん』に出来るだけ明るい言い方で質問を続けた。

「って事はこないだ商店街で志保姉ちゃんがつねちゃんに『飲み会』を誘っていたけど、やっぱりつねちゃんは行ったんだね……?」

「そうなのよぉぉ!! あまりにも志保ちゃんがしつこく誘うから……あっ、志保ちゃんには内緒にしててね?」

 『つねちゃん』は俺が笑顔で質問したのでどこか安心した表情で質問に答えて来る。

「ハハハ、そうなんだ。まぁ志保姉ちゃんはあんな性格だから仕方無いけどね。あっ、俺も志保姉ちゃんに対して失礼な事を言っちゃったかも。今のは志保姉ちゃんには言わないでね?」

 俺は今、かなり無理をしている……

「フフフ……それじゃ『おあいこ』という事で二人だけの秘密にしておきましょう」

 少し頭痛がしてきたが、俺は笑顔のままだ。

「じゃあアレなのかな? その山本さんっていう人はつねちゃんの自宅の電話番号は志保姉ちゃんから聞いたのかな?」

「えっと、山本君には先生から自宅の電話番号を教えたのよ。また次、誘うかもしれないから自宅の電話番号を教えて欲しいってしつこく言うから……ほんと志保ちゃんの周りは『似た者同士』が集まるのね……フフフ……」

 限界が近づいて来た……

「まぁ、志保姉ちゃんと『似た者同士』かもしれないけど、その山本っていう人は具体的にはどんな感じの人だったの?」

「うーん……そうねぇ……とても面白くて、優しい感じの人だったかな。『飲み会』の時は先生の知っている子は志保ちゃんしか居なくて、先生誰とも話が出来なくて……そんな時に山本君が色々と話かけてくれたのよ。あの時はほんと助かったわ。だって志保ちゃん、他の友達と話をして先生の事ほったらかしにするんだもの。先生の事、無理矢理誘っておいて失礼だと思わない? でもほんと山本君が横で色々と面白い話をしてくれたから最終的には楽しい飲み会だったわ……」

 マズい、マジで頭痛がひどくなってきた。作り笑顔ももう限外だ……

「そ、それで今度また『飲み会』に誘われたらつねちゃんは行くのかな……?」

「うーん、そうねぇ……志保ちゃんと山本君が居るんなら参加させてもらうかもしれないわねぇ……さっきの電話で山本君は『またお誘いします』って言ってくれていたけど……」

 痛い……

「えっ? 隆君どうしたの!?」

「頭が痛い……頭が痛い……」

「えっ!? 頭が痛いの、隆君!? 大丈夫? ちょっと待って!! 今、頭痛薬持ってくるから!!」

「帰る……」

「えっ?」

「つねちゃん、ゴメン……俺、今日はもう帰るよ……」

「でも隆君、そんな状態で帰るって……」

「だ、大丈夫だよ……早く帰って寝たいんだ……」

「それじゃ、先生の部屋で少し休んでから……」

「帰る!! 帰りたいんだ!!」

「わ、分かったわ……じゃあ駅まで送るから……ねっ? それだけはさせてくれないかな!? 隆君、お願い!?」

 俺は黙ってうなずき、駅まで『つねちゃん』と一言も話す事も無く、プラットフォームまで来た。

 そして電車が到着し、俺は乗り込む際に少しだけ手を挙げながら無言で『つねちゃん』に挨拶をし電車に乗り込んだ。

 一瞬だけ見た『つねちゃん』の目には涙が浮かんでいたように見えた……


 電車の中でも頭痛は治まらなかった。
 この痛みは『あの時』の痛みによく似ている。
 俺が『この世界』に来るキッカケになったと思われる頭痛……

 この痛みが頻繁に続いたらどうなる?
 もしかして俺は『この世界』から……
 いや、まさかな……


 ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン

 俺は頭を抑えながら座席に座っている。


 『つねちゃん』どう思ってるかな……
 心配してるだろうな……
 とても申し訳ない態度をとってしまったけど……

 もう俺も限界だったんだ。
 本当はもっと聞きたい事はあったんだ。
 言いたい事もたくさんあった!!

 でもこれ以上聞けなかった……
 まして言いたい事なんて今の『つねちゃん』に言える訳がない……

 そんな葛藤の中、俺の『つねちゃん』に対する『嫉妬』がドンドン大きくなり、『山本』に『つねちゃん』を奪われてしまう気がして、耐えられなくなってしまった。

 自分で質問をしておいて情けない話だが、聞けば聞く程……『つねちゃん』が笑顔で話せば話す程、俺の『嫉妬』が膨れ上がってしまった。

「はぁ……『記念日』が『最悪の日』になっちまったな……」


 しかし俺は知らなかった。

 俺を見送った『つねちゃん』が、大粒の涙を流していたことを……
 俺の乗った電車が見えなくなっても一時間くらいその場に立ち尽くしていたことを……





――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

もしかしたらこの回が一番、悲しく切ない回になったかもしれませんね。
隆の『嫉妬』は治まるのでしょうか?

そして隆を見送る『つねちゃん』の気持ちは?
隆が『つねちゃん』に本当に言いたかった事とは?

次回全てが分かるかもです?

という事で次回もお楽しみに(^_-)-☆
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