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第7章 三年女子編

第33話 上杉ケイト

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 いきなり中庭に現れたこの人達は何者だ? 

 五人いるけど、その中に外国人らしき人が三人もいるぞ!!

 中心にいるめちゃくちゃ美人の人はネクタイの色からして三年だと思うけど、髪は青髪のポニーテールで瞳も青くて肌も白い……でも普通に日本語を話しているってことは、ハーフなのか?

 それに身長は俺よりも少し高くて、恐らく170センチ以上あるってことだな?

 スタイルも抜群で足が長い。典型的なモデルタイプの人だ。

 その両サイドにいる男女も日本人とは思えない容姿だな。

 ネクタイの色からして俺と同級生と思われる男子はめちゃくちゃイケメンだし……        
 
 武田さんはこういう奴の方が釣り合うんじゃないのか?

 ってか中等部にこんなイケメンいたかな?

 まぁ、俺はあまり人の顔を見なかったから気付いていなかっただけかもしれないが……
 


「あ、あんた達、何しに来たのよ!? 今、とても大事なところだから邪魔しないで!! ケイト、お願いだから今直ぐ中庭から出て行ってちょうだい!!」

 ん? この青髪の人はケイトっていうのか?

「何を焦っているのよ、静香? あんたがそんなに焦るなんて珍しいわね? ということは余計に私はあんたの邪魔をしないといけないって決まったようなものじゃない?」

 えっ? この二人は仲が悪いのか?

「上杉さん、今日はいつもの『勝負の日』じゃないのに何で中庭に来たのよ?」

「別にいつ来たっていいじゃない? 山本さんにそんな事を言われる筋合いは無いわよ」

 この青髪の人は苗字が上杉で名前がケイトっていうのかぁ……

 しかし何かアレだな……?

 見た目が外国人の人が日本語をペラペラ話すのって凄く不思議な感じがするよな。

 まぁ、こんな状況で感心している場合じゃ無いけども……

「そうですよ。ケイト先輩に言いがかりをつけないでいただけますか、山本先輩!!」

「な、何よ、二年生のクセに生意気ね? あなたはたしか『直江なおえカノン』だったっけ? ケイトもこんな生意気な後輩の面倒を見るのは大変でしょう?」 

「面倒って、失礼じゃ何ですかぁぁ!? 私は全然、面倒な女じゃないですよぉぉ!! 私はケイト先輩の言う事なら何でも利く女なんですからねぇ!!」

 この二年生の直江カノンっていう人も身長は低いけど、見た目はハーフっぽいな。

 それに綺麗な顔立ちでおしとやかな感じに見えるけど、気が強そうな性格の人だなぁ……

 しかし、上杉さん達が来た途端、武田さんの友人達は山本さん以外、めちゃくちゃ大人しくなったんだけど、何かあるのか?

 いや、違うな。上杉さんの横にいる男子に目がいっているんだ。

 そりゃぁ、あれだけイケメンだったら意識してしまうよな。


「そうだ、あんた達に私の弟を紹介するわ。横にいるのが今年、外部入学で入って来た弟の『カイト』っていうの。これからこのカイトが学園の中心になっていくと思うから今のうちに媚びを売っていた方が良いかもよ。フフフフ……」

「だ、誰がケイトの弟に媚びを売らなきゃいけないのよ!? 訳の分からないことを言わないでちょうだい!!」

「そうよ、カンナの言う通りだわ!! 外部入学の子がいきなり仙石学園の中心になれるはず無いじゃない!?」

「ハハハハ、でも去年、私達はその外部入学の一年生に負けてしまったのよ? 静香はもう忘れちゃったの? あれだけ落ち込んで三日も学校を休んだくせに……」

 そっか、そうだよな……

 織田会長も外部入学だったよな。

 そして織田会長は数ヶ月で学園一人気者になって生徒会長の座に就いたんだもんな。

 そりゃぁ、上杉さんの言う通り、この上杉カイトが数ヶ月で人気者になってもおかしくはないな。


「違う、違うわよ!! あの織田乃恵瑠が選挙で私達に勝てたのは絶対に不正があったからよ!! じゃないと、あんな子が数ヶ月で頂点に立てるはずが無いんだから!!」

「ハッハッハッハ!! あんた、まだそんな事言っているの? 不正なんて出来る訳無いじゃない。『投票部』はしっかりした組織よ。不正なんて絶対に無いわよ。それに私はあの織田乃恵瑠会長の事はそれなりに認めているしね……」

 えっ? そうなんだ。上杉さんは織田会長の事を認めているのか……


「な、何であんたが織田さんの事を認めるのよ!? おかしいじゃない!! あっ!! さてはあんた、あの女に何か弱みでも握られているんじゃないでしょうね!?」

「フッ、そんな事ある訳無いじゃない。私、あんたと違って性格あっさりしているから素直に負けを認めて彼女の力量も認めているのよ。だから今の私は『先の事』を考えて行動しているの」

 先の事? ああ、だからこれからは弟のカイトを推していくってことか……


「さ、先の事って何よ?」

「今年もおそらく生徒会長は織田さんで決まりだと思うから来年、カイトを生徒会長にする為に織田乃恵瑠と『同盟』を組むことにしたの」

 えっ、そうなのか!?

「な、何ですって――――――っ!!??」






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お読みいただきありがとうございました。

中庭にやって来たのは三年生の上杉ケイトを中心とした五名だった。
どうやら静香とケイトは仲が悪いみたいな感じだ。

そしてケイトが言うには弟のカイトを来年、生徒会長にする為に、あの織田乃恵瑠会長と同盟を組んだと口にする。

それを聞いた静香や颯達はめちゃくちゃ驚くのであった。

ということで、次回もお楽しみに(^_-)-☆
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