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第15章 デート編
第85話 伊緒奈の暴走?
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はぁ……詩音の奴、やっと自分の席に行ってくれたぞ。
これでようやく静香さんに『本題』の話ができるな。
ピロロロローン ピロロロローン
「いらっしゃいませ。何人様でございますか?」
「三人です……でも私は向こうの席のお客さんに少し用事がありますので、この二人だけ先に席に案内していただけますか?」
「え? あ、はい……かしこまりました。そ、それではお二人様をあちらの席にご案内させていただきます」
ん? なんか聞き覚えのある声が……
「ぶっ!!」
「ど、どうしたの颯君!? いきなり吹き出したりなんかして」
「ゴホッゴホッ!! い、いえ……水が喉に詰まってしまって……ゴホッゴホッ」
「えっ、大丈夫? 背中をさすってあげましょうか?」
「い、いえ、俺は大丈夫ですから……」
伊緒奈の奴、やはり近くにいたのか?
にしても何で今頃、ファミレスに入って来たんだ?
あっ!?
伊緒奈だけ違う席の方に……ってか詩音達の席に向かっているじゃねぇか!?
な、何で伊緒奈が詩音達の席へ……?
「どうしたの、颯君? 私の後ろの方ばかり見ているけど」
「えっ? いや、何でもないですよ!! それよりも俺は今から静香さんに大事な話をしたいんです」
ポッ……「えっ?」
告白じゃないですよ。静香さん、勘違いしないでくださいね?
うーん……伊緒奈は一応、俺の味方のはずだし、それにバイト先のお嬢様でもあるし、うちの家族に挨拶をしたいだけかもしれないよな?
とりあえず伊緒奈の事は気にせずに俺は静香さんとの話に集中するべきだな。
「そ、それでですね、静香さん……話というのは……」
【竹中家サイド】
「ん? 君は……えーっとぉぉ、どちら様かな?」
「颯君のお父様、お母様、妹さんですよね?」
「ああ、そうだけど君は?」
「初めまして。私は颯君のクラスメイトの徳川伊緒奈と申します。颯君のスマホの待受け画面のご両親に似ている方々がおられたので思わず近づいてしまいました……」
「ハハハハ、颯の待受け画面ってそうなのかい? なんか意外だな」
「えっ、徳川さん? ああ、もしかして前にお電話をくれた……」
「はい、そうです。あの時はとても親切な応対をして頂きありがとうございました」
「もしかして日美子? このお嬢さんが、颯のアルバイト先の?」
「そうそう、あの『トクガワキヨシ』創業者のお孫さんよ」
「えーっ!? そ、そうなんですか!? あの超有名なドラッグストアのお嬢様が『陰キャオタク』のお兄ちゃんとクラスメイトなんですか!?」
「フフフ……そうよ。たしかお名前は詩音ちゃんよね? 颯君から聞いていた通り、とても可愛くて明るい子ねぇ?」
「えっ!? お、お兄ちゃんがそんな事を言っていたんですか!? エ、エヘヘヘ……」
「詩音、変な笑い方になっているわよ? まぁ、詩音はお兄ちゃんの事が大好きだからそんな事を言われてしまったら、そんな笑い方になるのも無理ないけど……」
「お、お母さん!! 私、べ、別にお兄ちゃんの事なんか好きじゃないし……」
「ハハハハ、詩音は相変わらず『ツンデレ』だな?」
「ツンデレじゃないし!!」
「フフフ……お父様、お若いですね? まさか『ツンデレ』なんていう言葉を使われるだなんて……」
「まぁ、そうだね。俺は仕事柄、周りに若い社員が多くてね。で、彼等と会話をしているといつの間にか俺も若者用語を使っているんだよ」
「あなた? 私達も改めて徳川さんに自己紹介をした方が良いんじゃない?」
「ん? そうだね。それじゃぁ俺から……俺は颯の父親で『竹中茂琉』と言うんだ。これからも颯の奴と仲良くしてやってね?」
「はい、それは勿論です」
「私は颯の母親で『竹中日美子』と言います。徳川さんみたいな美人さんと颯がクラスメイトだなんて光栄だわ」
「そ、そんな光栄だなんて……それにお母様もとてもお若くて美人ですよぉ」
「あら? フフフ……ありがとね」
「と、徳川さん? 私の名前はもうご存じだからいいですよね? それよりも私の隣に座って一緒にお食事しませんか? 私、色々とお話がしたいです!!」
「え? いいの?」
「ハハハ、勿論だとも。私も徳川さんとお話がしたいなぁ。実は仕事の方でも君のお爺さんの会社とは関係があるんだよ」
「えっ、そうなんですかぁ? そ、それではお言葉に甘えて……それと皆さん、私の事は伊緒奈って呼んでくださいね?」
【颯&静香サイド】
えっ?
伊緒奈の奴、詩音の隣に座りだしたぞ!?
それも満面の笑顔で……
ほんと、俺の周りはコミュニケーション能力の高い奴等ばかりだな!?
一体、どんな会話をしているんだろう?
帰ってから詩音達に聞かなければ……
「なるほどねぇ……颯君の彼女になる為の条件はよく分かったわ」
「す、すみません……ワガママを言ってしまって……」
「いいの、いいの。颯君が謝ることなんてないわ。短期間の間にこれだけの女子に告白されたら誰だって戸惑うしね。まさか羽柴副会長や茂香までもが告白してきたのは驚いちゃったけど……ライバルが増えたなぁ……」
静香さんも乃恵瑠さん同様に物分かりの良い人で助かったぞ。
しかし、こうやってゆっくり話をすると相手の良いところがよく分かるよなぁ……
今まであえてこういうのを避けていた自分が情けない気がしてくるよ。
「颯君、一つだけ質問してもいいかな?」
「え? は、はい……どうぞ」
「もし私が応援した人が生徒会長になっても、その人が颯君の事を好きではない場合は私の『一人勝ち』になるって思ってもいいのかな?」
「え? そ、そうですよね。そうなりますよね……」
【直人&知由サイド】
「オイオイオイッ!? 伊緒奈の奴、なんか颯さんの家族と一緒に食事をしだしたぞ!? 俺達はどうすればいいんだよ? 知由、伊緒奈を連れ戻してこいよ!!」
「フフフ……別にいいじゃない……伊緒奈ちゃんの好きなようにさせてあげましょうよ。それにしても……あんな笑顔の伊緒奈ちゃんを見るのって久しぶりだなぁ……」
「……言われてみればそうだな」
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
次回、颯は三回目のデート開始!?
どうそ次回もお楽しみに(^_-)-☆
これでようやく静香さんに『本題』の話ができるな。
ピロロロローン ピロロロローン
「いらっしゃいませ。何人様でございますか?」
「三人です……でも私は向こうの席のお客さんに少し用事がありますので、この二人だけ先に席に案内していただけますか?」
「え? あ、はい……かしこまりました。そ、それではお二人様をあちらの席にご案内させていただきます」
ん? なんか聞き覚えのある声が……
「ぶっ!!」
「ど、どうしたの颯君!? いきなり吹き出したりなんかして」
「ゴホッゴホッ!! い、いえ……水が喉に詰まってしまって……ゴホッゴホッ」
「えっ、大丈夫? 背中をさすってあげましょうか?」
「い、いえ、俺は大丈夫ですから……」
伊緒奈の奴、やはり近くにいたのか?
にしても何で今頃、ファミレスに入って来たんだ?
あっ!?
伊緒奈だけ違う席の方に……ってか詩音達の席に向かっているじゃねぇか!?
な、何で伊緒奈が詩音達の席へ……?
「どうしたの、颯君? 私の後ろの方ばかり見ているけど」
「えっ? いや、何でもないですよ!! それよりも俺は今から静香さんに大事な話をしたいんです」
ポッ……「えっ?」
告白じゃないですよ。静香さん、勘違いしないでくださいね?
うーん……伊緒奈は一応、俺の味方のはずだし、それにバイト先のお嬢様でもあるし、うちの家族に挨拶をしたいだけかもしれないよな?
とりあえず伊緒奈の事は気にせずに俺は静香さんとの話に集中するべきだな。
「そ、それでですね、静香さん……話というのは……」
【竹中家サイド】
「ん? 君は……えーっとぉぉ、どちら様かな?」
「颯君のお父様、お母様、妹さんですよね?」
「ああ、そうだけど君は?」
「初めまして。私は颯君のクラスメイトの徳川伊緒奈と申します。颯君のスマホの待受け画面のご両親に似ている方々がおられたので思わず近づいてしまいました……」
「ハハハハ、颯の待受け画面ってそうなのかい? なんか意外だな」
「えっ、徳川さん? ああ、もしかして前にお電話をくれた……」
「はい、そうです。あの時はとても親切な応対をして頂きありがとうございました」
「もしかして日美子? このお嬢さんが、颯のアルバイト先の?」
「そうそう、あの『トクガワキヨシ』創業者のお孫さんよ」
「えーっ!? そ、そうなんですか!? あの超有名なドラッグストアのお嬢様が『陰キャオタク』のお兄ちゃんとクラスメイトなんですか!?」
「フフフ……そうよ。たしかお名前は詩音ちゃんよね? 颯君から聞いていた通り、とても可愛くて明るい子ねぇ?」
「えっ!? お、お兄ちゃんがそんな事を言っていたんですか!? エ、エヘヘヘ……」
「詩音、変な笑い方になっているわよ? まぁ、詩音はお兄ちゃんの事が大好きだからそんな事を言われてしまったら、そんな笑い方になるのも無理ないけど……」
「お、お母さん!! 私、べ、別にお兄ちゃんの事なんか好きじゃないし……」
「ハハハハ、詩音は相変わらず『ツンデレ』だな?」
「ツンデレじゃないし!!」
「フフフ……お父様、お若いですね? まさか『ツンデレ』なんていう言葉を使われるだなんて……」
「まぁ、そうだね。俺は仕事柄、周りに若い社員が多くてね。で、彼等と会話をしているといつの間にか俺も若者用語を使っているんだよ」
「あなた? 私達も改めて徳川さんに自己紹介をした方が良いんじゃない?」
「ん? そうだね。それじゃぁ俺から……俺は颯の父親で『竹中茂琉』と言うんだ。これからも颯の奴と仲良くしてやってね?」
「はい、それは勿論です」
「私は颯の母親で『竹中日美子』と言います。徳川さんみたいな美人さんと颯がクラスメイトだなんて光栄だわ」
「そ、そんな光栄だなんて……それにお母様もとてもお若くて美人ですよぉ」
「あら? フフフ……ありがとね」
「と、徳川さん? 私の名前はもうご存じだからいいですよね? それよりも私の隣に座って一緒にお食事しませんか? 私、色々とお話がしたいです!!」
「え? いいの?」
「ハハハ、勿論だとも。私も徳川さんとお話がしたいなぁ。実は仕事の方でも君のお爺さんの会社とは関係があるんだよ」
「えっ、そうなんですかぁ? そ、それではお言葉に甘えて……それと皆さん、私の事は伊緒奈って呼んでくださいね?」
【颯&静香サイド】
えっ?
伊緒奈の奴、詩音の隣に座りだしたぞ!?
それも満面の笑顔で……
ほんと、俺の周りはコミュニケーション能力の高い奴等ばかりだな!?
一体、どんな会話をしているんだろう?
帰ってから詩音達に聞かなければ……
「なるほどねぇ……颯君の彼女になる為の条件はよく分かったわ」
「す、すみません……ワガママを言ってしまって……」
「いいの、いいの。颯君が謝ることなんてないわ。短期間の間にこれだけの女子に告白されたら誰だって戸惑うしね。まさか羽柴副会長や茂香までもが告白してきたのは驚いちゃったけど……ライバルが増えたなぁ……」
静香さんも乃恵瑠さん同様に物分かりの良い人で助かったぞ。
しかし、こうやってゆっくり話をすると相手の良いところがよく分かるよなぁ……
今まであえてこういうのを避けていた自分が情けない気がしてくるよ。
「颯君、一つだけ質問してもいいかな?」
「え? は、はい……どうぞ」
「もし私が応援した人が生徒会長になっても、その人が颯君の事を好きではない場合は私の『一人勝ち』になるって思ってもいいのかな?」
「え? そ、そうですよね。そうなりますよね……」
【直人&知由サイド】
「オイオイオイッ!? 伊緒奈の奴、なんか颯さんの家族と一緒に食事をしだしたぞ!? 俺達はどうすればいいんだよ? 知由、伊緒奈を連れ戻してこいよ!!」
「フフフ……別にいいじゃない……伊緒奈ちゃんの好きなようにさせてあげましょうよ。それにしても……あんな笑顔の伊緒奈ちゃんを見るのって久しぶりだなぁ……」
「……言われてみればそうだな」
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お読みいただきありがとうございました。
次回、颯は三回目のデート開始!?
どうそ次回もお楽しみに(^_-)-☆
応援ありがとうございます!
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