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第2章 正義と悪、そして忘却
第○°話
しおりを挟むこの話はアルフォンスの過去に触れたものになります。いつもの話よりも、グロめの表現や、不快になる表現が多くあります。読む際はご注意ください
__________________
これは数百年も昔の話
この世界に存在するありとあらゆる生命が大地から溢れ出る魔力の恩恵を受けていた時代の話だ……
******************
ある村に一人の少年が生まれた。
彼は世にも珍しい白髪の子供であった。
しかしこの時代において、白色の髪は恐れられた。
それはなぜか?
答えは、女神ヴァールを信仰するものと今でいう魔族や獣人と呼ばれる彼らの戦争が原因だと言える。
ただ、この戦争が始まるまで、魔族や獣人と呼ばれる彼らはいたってなにもしていない。何事もなく暮らしていただけだった。
そんな彼らの日常は女神の気まぐれで破壊された。なんの恨みか、女神は自らを信仰する者たちへ天啓を与えた。
その内容は「人ではないものに生きる価値などない。奴らは人が支配すべきだ。なぜなら、人こそ至上の生物なのだから」というものだった。
そこから、百何年にも渡る、女神ヴァールの信徒と魔族や獣人の争いが始まった
話を少し戻そう。信徒と魔族、獣人の対立が白髪になんの関係があるのか。それは魔族の髪の色が白色であった。ただそれだけのことである。少年はこんな理由で家族にも、村中の人からも差別を受けた。
ただ、少年は自分を差別していた者たちを恨まなかった。しょうがない、自分はそういう運命なんだと。そうやって、少年はいつも笑っていた。何をされても、笑っていた
そんなある日、皮肉にも少年に光魔法の素質があることがわかった。
発覚は偶然だった。井戸に落とされた少年は、自らの周りがあまりにも暗いことに不便さを感じ、明かりを求めた。そんな少年の願いを汲み取ったのか、少年は術式もなしに初級の光魔法、〈ライト〉を成功させた。この時の少年はこれがなんなのか、わかっていなかった。
灯りなんて持たせていない。なのに井戸から光が漏れている。不審に思った村人は井戸を除いたその時、少年の手に光り輝く球があることに気づいた。村人はすぐに少年を井戸から引っ張り出し、少年を問いただした。「これはなんだ?お前の手にあった光はなんなんだ!?」と。
先ほども行った通り、少年は光について何もわかっていなかった。だから、村人の問いにもわからない。そう答えるしかなかった。
不気味に思った村人は村長に引き渡した。村長はその話を聞くやいなや、顔色を変え、行商人のもとへ走っていった。
戻ってきた村長は少年に教会に行くよう伝えた。少年は断った。この村には親がいるし、そんなよくわからないところにはいけないと。しかし村長は抵抗する少年を縛り上げ、行商人の馬車に投げ入れた。少年は村長と行商人が浮かべていた汚い笑顔をみて、生まれて初めて怒りや悲しみを覚えた。ただ、少年の顔は笑ったままだった。
このときすでに、少年は壊れていた。
******************
少年は教会に連れてこられ、牢に捉えられた。
数日経ち、彼のもとに一人の司教のような男が現れた。
「お前は光魔法の素質がある。その力を我らが神のために使うのか。それとも今ここで死ぬかを選べ」
そう聞いてきた。
少年はいつもの笑顔でこう答えた
「生きてればあいつら殺せるかなぁ?」
司教は恐ろしいと感じた。
自分がいつも敵対している者共を遥かに上回る恐ろしさを彼から感じ取った。
そして、同時に面白いと思った。
彼は少年を釈放した。そして自らの教え子として彼に自分の全てを教え込んだ。
数年後、少年は彼を越え、ヴァール教の中でも誰よりも強い男となった。
彼は少年に聞いた。
「そこまで力をつけて何をしたい?まだ自分を売ったやつを殺したいと思っているのか?」
少年は答えた
「まだ殺したいとは思ってるよ。ただね。出来るだけ無惨に、苦しく死んでほしいんだ。だから僕はもっと力をつけるよ。」
彼は身震いした。そして安心した。
自分が育てた彼がまだ面白いままでいてくれることに。
そこから数か月後、彼は任務中に命を失った。
少年は彼の死をなんとも思わなかった。
彼は遺言として、自分の後釜に少年がつくよう遺していた。
上層部は反対した。白髪の悪魔もどきが教会の顔である司教になれるわけがないだろう!と。
少年は彼らを皆殺しにした。自分に対して偉そうにした豚男を四肢をねじ切った。そんな自分を諌めようとした女を抉り殺した。この状況を見て失神したリーダーと思われる男を叩き起こし、四肢を切り落とし、止血まで完璧に行った上で魔獣の餌にした。
少年は彼の死に対しては何も思わなかった。ただ、彼のことをとても尊敬していた。自分の師として。自分の理解者として。
少年はそんな彼の最後の願いを叶えたに過ぎない。
そして少年は何百年もたった後、自らが滅びることとなる遺跡で命を落とした。
******************
少年は、真っ白な部屋にいた。
少年は歩き出した。出口は一体どこなのか。自分はなぜここにいるかを調べるために。
少し経ち、少年は、数メートルにも及ぶ大きな扉を見つけた。
なんだこれは?少年はそう思い扉に触れた。少年が軽く触れただけで扉は開いた。そしてその中には一人の光り輝く女性がいた。
「やぁ、はじめまして私が女神ヴァールだ。君は\%°#^|:○*$♪君だね?」
「そうだよ。あなたが女神なんだね。思ってたよりずいぶん小さいね。」
「死んだことでの精神の影響はなさそうだね。よかったよかった。」
女神は嬉しそうにうんうんと頭を振った
「それで女神サマがなんのようなの?」
「そうだ。それを言わないとね。
君さ、私の守護者になりなさい。そしたら生き返らせてあげる。」
「拒否権は?」
「あるよ。なんせこちらからの提案だからね。生き返る以外のメリットが欲しいならなんでも用意するけど?」
「先に言っとくけど僕は守護者なんてやらないよ。めんどくさい。」
呆れ顔で答えた自分の答えに女神はニヤリと笑った
「やっぱりそういうと思ったよ。だからね、強制的にいこうかなって思ってたんだ。」
「拒否権あるんじゃないの?」
「あるよ。ただやるやらないの話じゃないってだけだよ。わかってくれたかな?」
「あなたはやっぱりどこまでいっても神様なんだね」
少年は女神に哀れみの笑みを浮かべた
「なんだい。その顔は。気味が悪い。」
「あなたは人間の面白さを知らないんだなって思ってね」
「知りたくもないわ。下等な人間のことなんて」
「やっぱり人間嫌いだったんだ。なんとなくそんな気がしてたけど」
「そうかい。それで君はどうするつもりかな?素直に守護者になることを受け入れるのか。それとも多少なり抵抗するのかな?」
「いいよ。なってあげる。抵抗するのなんてめんどくさいからね。それに…」
「それに。なんだい?」
「いいや、なんでもないよ。それで僕はどうやって蘇るんだい?」
「そうだね。君に用意してるプランは、悪魔を取り込んでもらうことかな。」
女神は自分の信徒にありえない提案をした
「は?僕に悪魔と交われと?バカ言うなよ。あなたは僕が一番嫌がる提案をしてることをわかっているな?」
少年から怒りまじりの魔力が溢れ出した。空間自体に圧をかけるほど濃密な魔力が女神に襲い掛かった
「いいね。このぐらい強くなくちゃ、意味がない。」
女神は少年の圧に負けることなく少年に語りかけた
「ただ一度受けた仕事だ。僕は甘んじてそれを受け入れよう。期限はいつまでだい?」
「君が死ぬか、世界が滅びるまでだよ。」
女神は何かおかしいことを言ってる?という顔で少年に言い放った。
「そうかい。いやー最悪だ。契約するときは最後まで話を聞くべきだったね。」
「聞いたところで意味はないと思うけど、私は。」
「じゃあやってくれ。女神サマ。大丈夫だ。この仕事は最後まで完璧に果たそう。」
「いい返事だ。じゃあ行っておいで。私の新しい守護者ちゃん」
「じゃあね。
クソ女神。」
少年は最後に女神への愚痴を漏らした。自分の新しい人生に希望なんてないのだから。
******************
ここから数百年経ち、少年のもとに二人の男たちが訪れた。
二人の少年のおかげで少年の二度めの生は終わりを迎えた。
ただ少年の顔はとてもスッキリした顔だったそうだ。
少年の死は少しだけ世界を変えた。
そして、少年の思いが託された少年は世界の形を大きく変えていった話はまた、いつか…
「あーあ、死んじゃったか。あれ、あの子の名前なんだっけ?まぁいいや代わりなんていくらでもいるし。」
白い光で埋め尽くされた空間にて一人の女はそう呟いた。
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