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足りないもの
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「なるほどな…。それでお前、そんな浮かない顔してたんだな」
「すみません。昨日のこと思い出したら…何かモヤモヤしちゃって…」
雅耶は苦笑を浮かべると、既に冷めかけているコーヒーを飲みほした。
「お前達はホントに仲の良い兄弟みたいな感じだったからな」
「そう…ですね。ウチは姉貴とは歳が離れてるから…姉貴との小さい頃の記憶って殆ど無いんですけど、逆に冬樹と夏樹とはいつも一緒で…本当に兄弟みたいに育ったんです」
空のカップを両手に包みながら、雅耶は呟いた。すっかり肩を落としている雅耶に、直純は少し考える素振りを見せると、ゆっくりと口を開いた。
「なぁ…雅耶。その双子の夏樹ちゃんのことだけど…」
「…えっ?」
「空手の稽古に、よくお前達と一緒について来てたよな?」
直純の唐突な質問に、雅耶は一瞬きょとんとした。
「そう、ですね。一緒に見に来てました。本当は夏樹も一緒に空手を習いたかったみたいなんです。でもおばさんに女の子だからって反対されたみたいで…」
「そう…か…」
「はい。でも、一緒に空手の稽古を見に来て、その日やったことを冬樹が教えたり、俺らと一緒におさらいしたりしてたんですよ」
その言葉に、一瞬直純は瞳を見開いて動きを止めた。
「直純先生…?」
その様子に気付いた雅耶が不思議そうに声を掛けると、直純はすぐに元の穏やかな笑顔を見せた。
「ああ…ごめん。何でもないんだ」
「夏樹が…どうかしたんですか?」
直純の様子が気になって、雅耶が聞き返すが、
「いや。ちょっとな…」
直純は笑顔を浮かべるだけで、それ以上は話してくれなかった。
「おっ…雅耶、あいつらもやっと来たみたいだぞ」
直純の言葉に雅耶は店の入口の方を振り返ると、同年代の空手仲間達が遅れて集団でやって来た。やっと集まった未成年チームでカウンターを陣取り、雅耶はその後楽しく仲間達と話に花を咲かせ、パーティーを楽しんだ。
「今日は、みんな来てくれてサンキューなっ」
帰り際、直純は店先まで教え子達を見送りに出てきた。店内では大人達がまだまだ盛り上がっていたが、高校生の帰る時刻は直純がきちんと決めて取り仕切っていた。
「直純先生っ。お店もお忙しいかもしれませんが、また稽古つけて下さいね!」
「ああ!またなっ。みんな気を付けて帰れよっ」
そうして、皆が散り散りに帰って行く中。
「雅耶…」
一番後方にいた雅耶に直純が声を掛けた。
「すみません。昨日のこと思い出したら…何かモヤモヤしちゃって…」
雅耶は苦笑を浮かべると、既に冷めかけているコーヒーを飲みほした。
「お前達はホントに仲の良い兄弟みたいな感じだったからな」
「そう…ですね。ウチは姉貴とは歳が離れてるから…姉貴との小さい頃の記憶って殆ど無いんですけど、逆に冬樹と夏樹とはいつも一緒で…本当に兄弟みたいに育ったんです」
空のカップを両手に包みながら、雅耶は呟いた。すっかり肩を落としている雅耶に、直純は少し考える素振りを見せると、ゆっくりと口を開いた。
「なぁ…雅耶。その双子の夏樹ちゃんのことだけど…」
「…えっ?」
「空手の稽古に、よくお前達と一緒について来てたよな?」
直純の唐突な質問に、雅耶は一瞬きょとんとした。
「そう、ですね。一緒に見に来てました。本当は夏樹も一緒に空手を習いたかったみたいなんです。でもおばさんに女の子だからって反対されたみたいで…」
「そう…か…」
「はい。でも、一緒に空手の稽古を見に来て、その日やったことを冬樹が教えたり、俺らと一緒におさらいしたりしてたんですよ」
その言葉に、一瞬直純は瞳を見開いて動きを止めた。
「直純先生…?」
その様子に気付いた雅耶が不思議そうに声を掛けると、直純はすぐに元の穏やかな笑顔を見せた。
「ああ…ごめん。何でもないんだ」
「夏樹が…どうかしたんですか?」
直純の様子が気になって、雅耶が聞き返すが、
「いや。ちょっとな…」
直純は笑顔を浮かべるだけで、それ以上は話してくれなかった。
「おっ…雅耶、あいつらもやっと来たみたいだぞ」
直純の言葉に雅耶は店の入口の方を振り返ると、同年代の空手仲間達が遅れて集団でやって来た。やっと集まった未成年チームでカウンターを陣取り、雅耶はその後楽しく仲間達と話に花を咲かせ、パーティーを楽しんだ。
「今日は、みんな来てくれてサンキューなっ」
帰り際、直純は店先まで教え子達を見送りに出てきた。店内では大人達がまだまだ盛り上がっていたが、高校生の帰る時刻は直純がきちんと決めて取り仕切っていた。
「直純先生っ。お店もお忙しいかもしれませんが、また稽古つけて下さいね!」
「ああ!またなっ。みんな気を付けて帰れよっ」
そうして、皆が散り散りに帰って行く中。
「雅耶…」
一番後方にいた雅耶に直純が声を掛けた。
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