転生して最強の俺が追放されて婚約破棄されてざまぁされた後のはなし

tanuki

文字の大きさ
11 / 13

第11話 シリアスは死んだ!もういない!!

しおりを挟む
 好夫は目の前でゾラとか名乗ってた鶏人間が光の粒子に変わるのを見ていた。

 ──汚ねぇ花火だ。

 それを見つめながら某王子の台詞を思い浮かべるのは好夫のルーティーンになっている。

 魔力の過多に存在を左右される魔族はその性質故か死と共に大気中のマナへと還る。はじめてそれをみた好夫は「なんてエコなんだ」と感動したものだ。人間に比べればこいつらのほうがよっぽど地球に優しいかもしれない。まぁ、そんなことどうでもいいけど。

「チートがあれば……」

 結局大事なことはそれに落ち着く。好夫は「なんやかんやで村人たちは幸せに暮らしましたチート」のことを思い出していた。魔王討伐の旅の中でよく使ったものだ。

「レイのやつも脳筋だったしな」

 頭の中がお花畑でいっぱいの勇者を思い出す。そいつはドラゴンを殴り殺すために生まれてきたと公言していた。好夫はそいつの頭の中を最後まで理解することができなかった。そういえば、あいつ俺がパーティーから追放されるの全然止めなかったな。

「あの……」

 好夫が友人の定義について考えはじめたとき、1人の少年が好夫に話しかけた。上着を着ておらず、胸には「15」という傷跡がついている。首にある首輪のような黒い痣が痛々しい。

「ありが……」

「そういうのいいから」

 最低なインターセプトだった。

「それよりもさ、あの一人鶏人間コンテストの寝ぐらってどこにある?」

 好夫はシリアスさんにもう異世界無双俺TUEEEを邪魔されたくなかった。好夫の最高の異世界ライフでは目の前のシリアスってる少年は一番邪魔だったのだ。

 ぽかんと口を開けた少年は気を取り直して、曲がりなりにも命の恩人の好夫の頼みを快く引き受けた。どうやら村の中心部の元々村長が住んでいた屋敷を拠点にしていたらしい。

 魔族は財宝を好む。なぜなら古くから存在する宝石や金は魔力を集める特性があるからだ。魔力フェチと言い換えてもいいくらい魔力大好きな魔族は、好んでそれらを貯め込むことがある。

「当たりをひきますように……! 当たりを引きますように……!」

 ただし、それには個体差がある。宝石そのものを身体に取り込んでしまう個体や、いっさい興味を持たない個体もいる。

 ただでさえ、美味しい仕事を放り出してきた好夫はここで当たりを引かなければ物理的な生命の危機に陥る可能性があった。

 最近では夢の中でも好夫に折檻する借金取りは、夢の回数に比例してその凶暴さを増していた。前回の夢では死ぬ一歩手前まで追い詰められた。

 次の夢で自分がどうなるのか好夫は想像すらしたくなかった。

 これは警告だ。俺の生存本能が「おまえのタイムリミットそろそろだぞ」と言っている。好夫にはまとまった金が必要だった。切実に。本気で。

 ここらでまとまった金がいる。頼む……! 頼むぞ……!










 ──5分後。


 村長の家は大きな炎をあげて燃えていた。


「くそチキン野郎おおおおおおおお!!!!!」

 小屋には何もなかった。あったのは趣味の悪い糞鳥魔族の餌だけだった。死体が残ってたら今ここで串焼きにしてやったのに。まったくの無駄足だったと好夫が燃える小屋から目を離すとそこでは生き残った村人たちが泣いて抱き合ったりしていた。空を見上げて動かない子どもいる。そっちは精神が保たなかったのだろう。

「嫌だ嫌だ」

 ほらやっぱりチートがないと全然楽しくない。異世界シリアス旅なんてどこにも需要はないのだ。好夫は生き残った集団に近寄った。

「おい、ガキんちょ。あ、いや大人もいるか」

 数は少ないが成人してそうな村人も何人かいた。とりあえず顔だけでしっかりしてそうな者を選んだ好夫は、ポケットから翠色のブローチを取り出す。

「これをラズ……あーレイライン商会のやつに渡せ。あいつのことだ。どうせすぐに商会の人間がここにくる」

「26」と刻まれた村人の胸元に乱暴にブローチを投げる。

「それを見せりゃ、何とかなるだろ。あ、一応王都から来てる衛兵には見せんなよ」

 ラズがさらっといっていた衝撃事実を思い出した。「じゃあな」と言い捨てて歩き出す。途中にあった無人の小屋で見つけた上着を羽織る。安物だがまぁ変態扱いされるよりかはいいだろう。

 結局、好夫は一度も振り返らずに村の出て行ったが、その後ろでは生き残った者たちが頭を地面に着くほどに下げて見送っていた。

「ゴミクエストだったなぁ」

 大きな街道へ向かう畦道を歩きながら、好夫は今後のことを考えていた。今回の騒動で自分の居場所が割れる可能性は十分あった。それはピンクの悪魔と白い鬼が自分を探しにやってくることを意味している。上着を着たはずの背中がぶるりと震える。畦道の砂利に足をとられながら歩いていると、遠くに広い街道が見えてきた。

「リザルトがカスすぎるよぉ」

 魔族がかっぱらった物資はほどんど焼かれていたし、肝心の魔族も悪趣味を拗らせた鳥野郎だったし。あとなんかゲロかけようとしてたしな、最後。まじで汚ねぇ花火だった。とにかく、

「異世界で就職するもんじゃないな」

 好夫はそもそもの発端を思い出す。レイライン商会にいた日々を本当に仕事といえるかは甚だ疑問だったが、好夫の中では立派な仕事だった。清々しいまでのニート宣言をして、そして、

「チートがあればなぁ」

 街道で寄り合い馬車に乗り込むまで、好夫はずっとそんなことを考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...