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6話
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まあ結果として騎士団の人たちの協力でオークを倒す事は出来たから、ヨシ!
もうね、ほぼ秒だった。オークもだいぶ弱ってたし。
俺が仲間を守りながらオークを威嚇してる間に、リュウゼン殿下がやってきてサーベルでバッサリ。
続いてやってきた騎士団がオークを2,3人で囲み、残りの3人は周囲を警戒していた。
今は怪我の手当ても終わり、リュウゼン殿下が事情を説明している。
「私たち騎士団はトティカヌスポリに呼ばれてここに来た」
「とてぃかぬすぽり…?」
「そこの大きな猫のこと?」
「そうだ」
リュウゼン殿下の説明にアスリーとシュタが俺を見る。
俺は虎の姿のまま歩いているが、シュタやアスリーは騎士団の馬に相乗りだ。
なんと羨ましい事にシュタは話がしやすいからという理由でリュウゼン殿下と一緒である。
その隣を殿下の側近さんがアスリーを乗せてるので、合計4人の前を俺が先導するかのように歩く。
(どうしよ、いつ俺がトラマルだって言おう…)
助けを呼ぶのに必死で何も考えてなかった。俺ってばホント馬鹿。
このままでは俺は無口でクールなキャラどころか、2人を見捨てて王都に逃げた卑怯者になってしまう。
(それは…嫌だ)
まだ半年の付き合いだが、シュタやアスリーに嫌われてしまうのは普通に辛い。
これは今のうちに変身を解いて、俺がトラマルだって事をバラした方が―――
「ところで殿下、その大きい猫はどうしましょうか?」
「今日から城で飼う」
俺は逃げ出した。
「逃げましたけど」
「問題ない。いずれ戻ってくる」
耳がいいのも困りものだ。恐ろしい幻聴が聞こえるのだから。
俺は確かにご主人様が欲しいとは思っているが、それは人間の時の話であってだな!!
(早く人間に戻らなきゃ…)
騎士団から猛ダッシュで離れた俺は、周囲に誰もいないのを確認してから人間に戻る。
ふう、これで一安心だ。変身する時に光とか出るんじゃなくて、徐々に変化していくタイプでよかった。
(問題は、ここからどう合流するかだよなぁ…)
本当に何も考えてなくて笑える。はは。
それと仲間が無事で安心したせいだろうか。何だか力が抜けてきた。
体幹があったから立ってたけど、俺に体幹がなかったら倒れてる。
(とにかく…このまま戻って合流しよう、それから2人に謝ろう)
例え仲間たちに幻滅されて、パーティーから離れる事になったとしても。
自分があの大きい猫だって説明して信じてもらえなくても。
(…ちゃんと言おう)
そのためにも、まずは―――
「…武器を拾わないとな…」
どこにやったかなぁ。結構気に入ってたんだけどなぁ。
―――数分後。無事に見つかった武器を持って、俺は騎士団の人たちと合流した。
もうね、ほぼ秒だった。オークもだいぶ弱ってたし。
俺が仲間を守りながらオークを威嚇してる間に、リュウゼン殿下がやってきてサーベルでバッサリ。
続いてやってきた騎士団がオークを2,3人で囲み、残りの3人は周囲を警戒していた。
今は怪我の手当ても終わり、リュウゼン殿下が事情を説明している。
「私たち騎士団はトティカヌスポリに呼ばれてここに来た」
「とてぃかぬすぽり…?」
「そこの大きな猫のこと?」
「そうだ」
リュウゼン殿下の説明にアスリーとシュタが俺を見る。
俺は虎の姿のまま歩いているが、シュタやアスリーは騎士団の馬に相乗りだ。
なんと羨ましい事にシュタは話がしやすいからという理由でリュウゼン殿下と一緒である。
その隣を殿下の側近さんがアスリーを乗せてるので、合計4人の前を俺が先導するかのように歩く。
(どうしよ、いつ俺がトラマルだって言おう…)
助けを呼ぶのに必死で何も考えてなかった。俺ってばホント馬鹿。
このままでは俺は無口でクールなキャラどころか、2人を見捨てて王都に逃げた卑怯者になってしまう。
(それは…嫌だ)
まだ半年の付き合いだが、シュタやアスリーに嫌われてしまうのは普通に辛い。
これは今のうちに変身を解いて、俺がトラマルだって事をバラした方が―――
「ところで殿下、その大きい猫はどうしましょうか?」
「今日から城で飼う」
俺は逃げ出した。
「逃げましたけど」
「問題ない。いずれ戻ってくる」
耳がいいのも困りものだ。恐ろしい幻聴が聞こえるのだから。
俺は確かにご主人様が欲しいとは思っているが、それは人間の時の話であってだな!!
(早く人間に戻らなきゃ…)
騎士団から猛ダッシュで離れた俺は、周囲に誰もいないのを確認してから人間に戻る。
ふう、これで一安心だ。変身する時に光とか出るんじゃなくて、徐々に変化していくタイプでよかった。
(問題は、ここからどう合流するかだよなぁ…)
本当に何も考えてなくて笑える。はは。
それと仲間が無事で安心したせいだろうか。何だか力が抜けてきた。
体幹があったから立ってたけど、俺に体幹がなかったら倒れてる。
(とにかく…このまま戻って合流しよう、それから2人に謝ろう)
例え仲間たちに幻滅されて、パーティーから離れる事になったとしても。
自分があの大きい猫だって説明して信じてもらえなくても。
(…ちゃんと言おう)
そのためにも、まずは―――
「…武器を拾わないとな…」
どこにやったかなぁ。結構気に入ってたんだけどなぁ。
―――数分後。無事に見つかった武器を持って、俺は騎士団の人たちと合流した。
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