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家族
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老人は森の手前にぽつりと建った家に住んでいた
昔は家族と住んでいたらしいが妻を亡くし、娘が嫁いだことで一人になったらしい
娘が何度も一緒に住もうと言ってきているが、妻との思い出のあるこの場所で最後を迎えたいと留まっているのだという
ドミオール様は領民達と交代で週に一度必ず誰かが訪れるようにしていると言った
ノックをしても返事が無い
ドミオール様にここで待つよう言われ私は大人しく待つことにした
暫くしてドミオール様が淋しさを滲ませたような面持ちで言った
「一人旅立った後だった…」
中へ共に入ると、前日の残りと思われる鍋からスープの香りがし、テーブルにはまだ昨日摘み取ったばかりだろう花が飾られていた
ベッドに眠るようにして横たわっている
穏やかな旅立ちだったのだろう
ベッド脇に置かれていた夫婦の姿絵
妻らしき女性はあのテーブルに飾られた花を手にしている
一人になっても妻と思い出の場所を離れず、ずっと妻を思い続けそして妻の元へ
こんな愛し方があるのかと初めて知った
一番近くに住む領民の所まで馬を走らせても一時間は掛かる
私はここで待つと言い、ドミオール様に向かって貰った
埋葬の為の花が要るだろう
テーブルの花と同じ物を摘みに行った
森の奥まで行くのは危険だろう
幸い森の入り口付近でその花は見つかった
その花の側にラッパのような形をした朝顔のような白い花がたくさん咲いていた
その花も少し摘み、老人の家へ戻った
古びた木馬のような玩具
嫁いだ娘のために作られた物だろう
温かみのあるこの家は今も家族の香りが残っている
一人旅立ったとはいえ、羨ましいと思った
皆が居ても温かみの無い家族
表面上は仲良くお互いに心配して気遣ってる振り
比べて皆が居なくてもその存在や思い出だけで生きていけるほどの家族
私も旅立つ時はこの老人のように穏やかな顔で逝きたいと思った
夕方近くになり、老人の埋葬を終えた
埋葬場所は老人の妻の隣
墓所に夫婦の花を添えた
帰り道またあの小屋で過ごすことになった
行きとは違いドミオール様は少し疲れた顔をしていた
当然だろう、領民一人一人を気遣い、独居老人を心配し訪ねれば亡くなっていたのだから
この人は優し過ぎるのだ
使用人も領民も家族だと言い世話をする
あの母親では満たされ無い家族の情を埋めているのだろう
あの場所に居た私と同じだ
泣きたいけれど泣けないような顔に見えた
気付けばドミオール様の頭を抱きしめていた
行きとは逆で、私がドミオール様の頭を撫でていた
辛かったからだろう
ドミオール様はされるがままになっていた
暫くしてぽつりと言った
「…ありがとう」
私は先日芽生えた感情が何か自覚した
昔は家族と住んでいたらしいが妻を亡くし、娘が嫁いだことで一人になったらしい
娘が何度も一緒に住もうと言ってきているが、妻との思い出のあるこの場所で最後を迎えたいと留まっているのだという
ドミオール様は領民達と交代で週に一度必ず誰かが訪れるようにしていると言った
ノックをしても返事が無い
ドミオール様にここで待つよう言われ私は大人しく待つことにした
暫くしてドミオール様が淋しさを滲ませたような面持ちで言った
「一人旅立った後だった…」
中へ共に入ると、前日の残りと思われる鍋からスープの香りがし、テーブルにはまだ昨日摘み取ったばかりだろう花が飾られていた
ベッドに眠るようにして横たわっている
穏やかな旅立ちだったのだろう
ベッド脇に置かれていた夫婦の姿絵
妻らしき女性はあのテーブルに飾られた花を手にしている
一人になっても妻と思い出の場所を離れず、ずっと妻を思い続けそして妻の元へ
こんな愛し方があるのかと初めて知った
一番近くに住む領民の所まで馬を走らせても一時間は掛かる
私はここで待つと言い、ドミオール様に向かって貰った
埋葬の為の花が要るだろう
テーブルの花と同じ物を摘みに行った
森の奥まで行くのは危険だろう
幸い森の入り口付近でその花は見つかった
その花の側にラッパのような形をした朝顔のような白い花がたくさん咲いていた
その花も少し摘み、老人の家へ戻った
古びた木馬のような玩具
嫁いだ娘のために作られた物だろう
温かみのあるこの家は今も家族の香りが残っている
一人旅立ったとはいえ、羨ましいと思った
皆が居ても温かみの無い家族
表面上は仲良くお互いに心配して気遣ってる振り
比べて皆が居なくてもその存在や思い出だけで生きていけるほどの家族
私も旅立つ時はこの老人のように穏やかな顔で逝きたいと思った
夕方近くになり、老人の埋葬を終えた
埋葬場所は老人の妻の隣
墓所に夫婦の花を添えた
帰り道またあの小屋で過ごすことになった
行きとは違いドミオール様は少し疲れた顔をしていた
当然だろう、領民一人一人を気遣い、独居老人を心配し訪ねれば亡くなっていたのだから
この人は優し過ぎるのだ
使用人も領民も家族だと言い世話をする
あの母親では満たされ無い家族の情を埋めているのだろう
あの場所に居た私と同じだ
泣きたいけれど泣けないような顔に見えた
気付けばドミオール様の頭を抱きしめていた
行きとは逆で、私がドミオール様の頭を撫でていた
辛かったからだろう
ドミオール様はされるがままになっていた
暫くしてぽつりと言った
「…ありがとう」
私は先日芽生えた感情が何か自覚した
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