【完結】オタク女子はクラス転移で愛を知り哀を察る(しる)

秋空花林

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31話

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 ボオオオ!

 激しく燃える火は、横に横に、上に上に広がり、魔王軍側に近づいていく。

 キャー

 女の子みたいな叫び声をあげて、魔王軍が逃げ始めた。

 ずっーと向こうの魔王軍の偉そうな人が何か叫んでるけど、魔王軍はもう散り散りだ!

「すごいね!忍くん!」
「とりあえずは作戦その2は成功だね」

 姿は見えないけど、忍くんの声は聞こえた。

 今わたし達がいるのは、城壁の前!

 わたし達だけでなく、非戦闘組の何人かで姿の見えなくなるローブを着て、魔王軍が近づくのをココで待機していたのだ。

 そして、火矢が放たれたタイミングで、わたしが妄想召喚で出した複数のデッカい扇風機をスイッチオン!

 あらかじめ、地面にオイルを散布してたから、火は思い切り燃え上がって、オイルの散布された魔王軍側へ燃え広がっていった!

 魔王軍が散り散りに逃げ出したので、焼死体を見なくて済んで良かった!

「鈴木くん、電気ないのに扇風機動かすなんてどういう仕掛け?」
「ふえーん。電池無いのに不思議ですぅ」
「魔石がエネルギーチャージの代わりになってるんだよ。扇風機を改良してあーだこーだ」
「ごめん、聞いた私が悪かった」
「ふえーん」

 巨大扇風機はわたしが絵を描いてポポンと出したけど、動かす様にしたのは忍くんとクラスのオタク男子達だ。

 よくこんな短時間でって思うけど。どうやら前々からそういう実験をしていたらしい。

 よくわからないけど忍くんが優秀て事でよし!

 ピンポーン

 耳元につけた飾りが鳴りクラスメイトの声が聞こえた。

『魔王軍の方から飛んでくるヤツらがいるぞ。作戦3は特に上空部分重点に頼む』

 その声にわたしは城壁を見上げた。

 そこから、多くのカラフルな召喚獣達が飛び越えて来た。

 空を飛ぶ召喚獣達は魔物に接近すると、背中に背負ったデッカい籠を前に抱えて、次々とカラフルな玉を投げている。

 当たった魔物達は、ぎゃーと叫んでバタバタ倒れてる。

 あれは聖水入りの水風船だ。

 非戦闘組や城側の用意した水風船みたいな素材の袋に、クラスメイトと本職の回復系のメンバーが大量に作った聖水を詰め、召喚獣を操れるクラスメイトと本職が指示を出している。

 いわばクラスメイトとこの世界の本職さんとのみんなの合作だ!

 数は多くない物の、濃度が高い聖水は少しでも相当影響が強いらしく、水滴が拡散して当たる度に、どんどん魔物達は数を減らして行った。

 ピンポーン

 再び音が鳴る。

『上空はその調子で!今度は火をよけたヤツらが両端から近づいてる!さっきより強そうだ。作戦その4頼む』

 城門が開いて、この国の騎士や兵士、クラスの戦闘組が、両端から向かってくる魔物にうって出た。

 今回は討伐というより、少しでも大量の魔王軍を散らすのが目的の筈なんだけど…。我らが戦闘組は相当スキルが高いみたいで、何だか余裕でサクサク倒してる!

 もしかして、わたし達って相当強い!?

「そろそろ戻ろう!」
「うん、わかった!」

 忍くんの合図で、わたし達、非戦闘組は開いている城門に入った。
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