拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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543 再調査と魔導具 16

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発動した錬成魔法陣を見ると、俺が教えたとおりにきちんと発動していて、問題ないことが分かった。
一人頷いている間に錬成が終わって、光が収束する。光が完全に消えてシンとした部屋の中、リンクスは手元を凝視している。

「あ、上手くいったみたいだね。初めてなのに上手いよ」
「……よかったです。頭ではしっかり思い描いていたんですけど、本当に上手く錬成できるか不安で……」

リンクスが鑑定しながらちょっと震える声で言った。そりゃあ、初めてだし、周りには偉い人もいっぱいだし。緊張するよね。

リンクスが初めて錬成したのは、ピアス型。魔石はいろんな色のものがあるけど、性能は同じだから、好みで選んでもらった。
丸みを帯びた魔導銀の台座に青灰色の魔石が嵌まっている、シンプルなもの。

「それ、メーレの瞳の色だね」

優しく微笑むメーレの綺麗な瞳を思い起こさせる魔石だ。きっと母親メーレを思いながら選んで錬成したんだろうな。
そう思ってリンクスを見ると、頬を染めながら照れくさそうに笑った。

「あの、実は弟のフィフスに贈りたいと思って錬成したんです。あの子、今はアインの街の領主として、家族と離れて一人で頑張っているから」
「それで初めて錬成した物を? 最初のものは自分にって思わなかったのかい?」

リンクスの言葉にリオラルが首を傾げる。確かに一番最初にやって出来たものは、記念に取っておこうとか思うよね。でも──

「俺もね、一番最初に錬成に成功したものはラグ爺さんにあげたよ。俺を愛して育ててくれた養父にあげたかった。喜ぶ顔が見たかったから。リンクスも同じ気持ちなんじゃないかな」

俺がそう言うと、リンクスが頷いた。

「ええ、あの子は顔に出さないけど、実は甘えん坊で、とても優しいんです。今回の母のこともすごく心配だけど、領主という立場があるから我慢してる。だからこのピアスで、母や私達を身近に感じてくれたらいいなって」
「やっぱり優しいお兄さんだね。じゃあ、それはフィフス王子にあげるということで、装飾品用の箱を錬成しようか。そのあと、自分用に錬成しよう」
「はい!」

そういう訳で、装飾品用に俺の手持ちの素材からリンクスに選んでもらう。そして彼にさっきと同じように錬成魔法陣を発動させて錬成してもらう。
コロンと楕円形の可愛らしいピアスケースが出来上がった。
そこに大事そうにピアスを収納すると、リンクスが次の錬成のために自分の好みの魔石を選び、再び錬成をする。うん、同じようにピアスだったが、さっきよりもスムーズで綺麗な仕上がりだ。やっぱりセンスあるな。リンクスも嬉しそうにしている。

うんうん頷いて、そこで俺は、あっと思い出した。

「そうだ、たくさんあるから皆に錬成して渡そうと思ってて、でも好みがあるから、聞いてから錬成しようとしてたんだけど。一人ずつ聞いてたら時間がかかるから、ちょっとやってみたいことがあって……」

今まで、自分一人だったから思いつきもしなかったアレを、試してみたかったんだよね。

「それは一体、どのような?」
「うん、ほら、こういうののデザインって、イメージに頼ってるところがあって。あとは紙にデザインを描いてもらってイメージするとか」
「さっきも、そう言ってましたね。ちゃんとイメージしないとあやふやなものが出来るって」

リンクスが相づちを打ち、俺はそれに頷いて続ける。

「そう。自分の物ならいいけど、その魔導具が欲しい相手がいて、でも相手がデザインを描くのが苦手だったら、こっちも上手くイメージできなくて錬成できないでしょ? そういうときに便利かなってことで──リオラル」
「え、私?」

急に呼ばれてキョトンとするリオラルを手招きする。俺達の側まで寄ってきたリオラルに魔石を選ばせると、リンクスの手に自分の手を重ねるように言った。手はどっちでもいいし、おそらくどこかの肌に触れていれば大丈夫。

「? ええと」

リンクスも戸惑っているが、俺はスルーしてそのまま告げた。

「リオラルは、自分のアクセサリーのイメージを頭の中で思い浮かべて、リンクスに伝われー届けーってちょびっと魔力を流してみて」
「はあ?」

リオラルは言われたことは分かったが、意味が分かっていないようで、またキョトンとする。でもまあ、やり方さえ分かればとりあえず大丈夫でしょう。

「リンクスもリオラルから受けた魔力を錬成魔法陣発動に使ってみて。上手くいけば、リオラルのイメージ通りのものが出来るはず。まあ、失敗してもやり直せるから、思い切ってやってみよう!」

俺がウキウキワクワクの声でそう言うと、二人は顔を見合わせてから、お互い頷いた。

そしてさっきの詠唱をすると……

眩しく光った錬成魔法陣がパッと消えたあとには、魔石が嵌まった細身のアンクレットが残った。

「……すごい」

リオラルがそれを凝視している。リンクスはそっと手に取り、リオラルに手渡した。

「私のイメージ通りのものだ」

リオラルが頬を紅潮させている。
つまりは、実験が成功したのだ。

俺は思わず口元を緩めた。










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