拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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567 婚姻の事後報告 2

少しして、アサギが許可が下りたと戻ってきた。

「お二人とご一緒でしたら問題ないとのことです。ただ、王太子殿下も正妃様のご様子を気にされておりまして……」
「ああ、そうだね。記録媒体の魔導具で記録して、あとで見ていただこうか」
「是非に」

本当は本人も行きたいところを、王太子ということで我慢しているのだろう。それなら、せめて映像だけでも見せてあげないとね。
そういうわけで時間ももったいないので、早速転移することになった。着替え? そんなの、今のこの格好で十分だよ。

「じゃあエレフ──」
「お待ちください!」
「我々もご一緒に!」

エレフに頼もうとしたら、アサギとモエギが慌てて声をかけてきた。リンクスの護衛任務中だから自分達も行くと言う。

「まあ、仕事だからという気持ちは分かるが。正直、古の森に護衛なんて要らないぞ」

アークが困ったようにそう言うと、アサギとモエギは真面目な顔で言った。

「分かっております」
「単なる好奇心です」
「……ああコイツら、ルドヴィカと同類だったっけ」

そういえば、昨日、そんな感じだったね。見た目が真面目そうだから、つい忘れてた。

「だって、普通は竜人族の方々しか立ち入れない森ですよ。この好機を逃してなるものですか」
「それに一応、正妃様のご様子が気になります」
「そこは一応じゃなくて断言しろ」

相も変わらず真顔で本音を言う二人に、アークが苦い顔で突っ込む。リンクスは慣れているのか苦笑するだけだった。まあ、ルドヴィカみたいに引っかき回したりしないなら、いいんじゃないか。
そういう結論に達したので、他に行きたいという人が増えないうちにサッサと転移してしまおう。

「あ、そういえばヴァンは?」
「ああ、アイツは城に残って探検だとさ。古の森に行っても、魔物を狩るくらいしかやることがないから、暇つぶしになるんじゃないか」
「なるほど?」

姿が見えないと思ったら、そういうこと。たぶん、こっそり影達のフォローにまわるんだろうな。それなら、置いていっても大丈夫か。何かあればラン辺りが注意してくれるだろう。

「じゃあ、今度こそ、エレフの出番」
《はーい。じゃあ、行くよー》
「相変わらず、軽いな」

本当に、最初の頃の威厳がないよね。でも、それって俺達に気を許してくれてるってことだろうから、そう思うと嬉しいけどね。

そんなことを思った次の瞬間には、最近ずっといて見慣れた古の森の広場に着いていた。

「あら、お帰り──リンクス?」
「は、母上っ! ──あっ」

ちょうど畑仕事を終えたのか、エプロンをパンパンと叩いて土埃を払うメーレが俺達を見て、声をかけて、それから目を瞠った。
それを目にしたリンクスが思わず駆け寄ろうとするが、でこぼこの地面に足を取られて転びそうになる。そこをスコルが危なげなく腕を巻き付け、その身体を支える。

それをキョトンとして見て、メーレが笑う。

「あらあらあら、いつの間にかを捕まえたのねぇ。ちょっと待っててね、着替えるから。エレン達はお茶をお願いできるかな」
「はい」

どうやら、メーレはあの一瞬で二人の関係性を察したらしい。近くに来ていたエレンとミオにそう言ってお茶の準備を頼むと、一旦、テントに戻った。

「母上、お元気そうで……あんなにやつれていたのにっ」

ウルッときたのか、涙ぐむリンクスの肩を、ポンポンと撫でて慰めるスコル。うん、やっぱりゴーレムに見えないな。

そんなスコルの足下に、小さい猫獣人型ゴーレムのブラウイェルがてちてちと歩いてきた。

『こんにちは』
『こんちゃ!』
『ああ』
「え、可愛いいっ!」

ブラウとイェルが、それぞれ手を上げて挨拶をすると、スコルはぶっきらぼうに応え、リンクスは頬を紅潮させ、目もキラキラさせて屈みこむ。

「こんにちは。貴方達がノア師匠の錬成したクルールのうちの二人?」
『あい!』
『そうです。よろしくお願いします』

そう言ってイェルは両手を万歳して、ブラウはペコリとお辞儀をする。その仕草にリンクスはやられた。

「かぁわいいー!」

満面の笑みになったかと思うと、二人、いや二体の猫獣人型ゴーレムを両手の平に乗せてスリスリと頬ずりをし出した。

『……リン』
「え、あっ!?」
『にゃ』
『にぃ』

これにはさすがのスコルも我慢できなかったようだ。ブラウとイェルを片手でわしづかみすると、一応は優しい手つきで地面に下ろす。そして屈んでいたリンクスをヒョイッと片手で抱き上げた。

『リンクスは俺の番いだから、軽々しく触るな』
『おー……』
『……にゃるほど?』
「──スコルったら、こんな小さなゴーレムにも嫉妬? 順番でいったら、クルール達はスコルのお兄様だよね」

スコルが無表情ながらも、しっかり不満げな声で言うと、ブラウとイェルは本当に理解したのか怪しい返事を返す。
そのやりとりに、リンクスが呆れたように言った。

それを聞いて、なるほど、確かにそれで言うとスコルは末っ子かと思う。
末っ子──アークも末っ子だったな。だから二人はどことなく似てるのか?

そんなどうでもいいようなことを考えているうちにお茶の準備が終わっていて、メーレも簡素な服に着替えてテントから出てきた。

「お待たせ! さあ、お茶会を始めようか」
「はい」
「うん、ちょうどいい時間だね」

こうして婚姻の事後報告会が始まるのだった。
ちなみにここに住んでいるカガシ達薬師はというと、今は研究用のテントに引き篭もっていろいろと作業中らしいと、ミオが教えてくれた。

じゃあ、あとで顔を見に行こうかな。














※誤字脱字等の報告、いつもありがとうございます。助かります。
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