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579 囚われの姫を救出せよ 1
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いくら浄化魔法で消えたと言っても、さすがにあの激苦ポーションの味が意識の中に残っているのだろう。ルドヴィカはしばらく眉を寄せ、しかめっ面で荒い呼吸を整えていた。
「──あー、何あれ。ノアちゃん、変なもの作ってんなぁ。激マズ。死ぬかと思ったわ」
「ああ、うん。人には初めてだったけど、効いてよかった」
「俺で実験すんの、止めてくれる!?」
ゼーハーしながら薬の感想を言ってくるルドヴィカにそう返せば、いくらか復活したのか、おどけた感じで叫ぶ。うん、大丈夫そうだ、よかった。
「まあ、それは非常事態だったから、ごめん。でもここで暴れられたら大騒ぎどころじゃなかったから」
「……すまない。俺も、ちょっと我を忘れた。いや、だって、番いが監禁されてるって思ったら、もう……。魔人国でのアークの気持ちがよく分かったわ」
ルドヴィカが手のひらで顔を覆って溜め息をつく。魔人国での一件は、あれだよね。俺が一時期、行方不明になったヤツ。
あとでアークのキレ具合を聞いて、ゾッとした。まあ、それだけ怒ってくれてたって嬉しくもあったんだけど。
「その番いの件でさっき父に連絡を入れたから、陛下とともに早い段階で動いてくれるはずだ。内密に動いて解決する予定だったんだが、状況が変わったからな」
アークの言葉に、今度は肩を落として項垂れる。
「それが、まさかの竜人の番いだもんな。そりゃあ、国同士の話し合いになるよな。……悪い。俺、来なきゃよかったかな。助けたあとなら、問題なくスムーズに番えたんじゃ──」
「何を言っている。むしろ来たからこそ、堂々と救出する大義名分ができたし、早急な救出が可能になる」
「そうだよ。今の彼の現状を知って、一刻も早く助けたかったんだ。それが番いであるルドヴィカの手でなされたなら、きっと彼は本当の意味で救われる」
俺達がそう言うと、ルドヴィカは怪訝そうな顔になった。
「彼の現状って、一体……。ただ監禁されているだけじゃないのか?」
うーん。いくら落ち着いたとはいえ、教えていいものか。でもすぐに分かることだし、ルドヴィカにもきちんと説明しておいて、救出後の彼のフォローもしてもらわないとだし。
「あのね、さっきみたいに暴走しないで欲しいんだけど、大丈夫?」
「……内容にもよるが」
渋い顔になるルドヴィカ。何時ものヘラヘラ顔はどうした。まあ、いい話ではないことは予想がつくだろうけど。
「ノア。暴走したら、また飲ませればいい」
「そうだね。念のために結界と激苦激マズポーションを用意しておいて──」
「おい、ネーミング! 何かイヤな言葉が増えてる。間違っちゃいないけど!」
ちょいちょいと何時ものような突っ込みが入るから、まあ大丈夫だろう。
こうして準備万端になったところで詳しい状況をルドヴィカに知らせると、案の定、さっきの比ではないほどの暴走具合だった。
さっきのことを踏まえて、俺は素早く激苦激マズポーションを飲ませ、嘔吐いて正気に戻ったところを浄化魔法でスッキリさせる。
「うへえ……消えてるはずなのに、口の中も胃も、苦々しいのが残っている気がする……オエッ」
「ごめん。でも効果てきめんで、よかった。これなら犯罪者相手にも使えそう。冒険者ギルドで販売してもいいかもしれない」
「……さすがノアちゃんって、言えばいいのか。商魂たくましいな」
俺はもう飲みたくないって呟くルドヴィカに、アークも俺も苦笑するのだった。
「──あー、何あれ。ノアちゃん、変なもの作ってんなぁ。激マズ。死ぬかと思ったわ」
「ああ、うん。人には初めてだったけど、効いてよかった」
「俺で実験すんの、止めてくれる!?」
ゼーハーしながら薬の感想を言ってくるルドヴィカにそう返せば、いくらか復活したのか、おどけた感じで叫ぶ。うん、大丈夫そうだ、よかった。
「まあ、それは非常事態だったから、ごめん。でもここで暴れられたら大騒ぎどころじゃなかったから」
「……すまない。俺も、ちょっと我を忘れた。いや、だって、番いが監禁されてるって思ったら、もう……。魔人国でのアークの気持ちがよく分かったわ」
ルドヴィカが手のひらで顔を覆って溜め息をつく。魔人国での一件は、あれだよね。俺が一時期、行方不明になったヤツ。
あとでアークのキレ具合を聞いて、ゾッとした。まあ、それだけ怒ってくれてたって嬉しくもあったんだけど。
「その番いの件でさっき父に連絡を入れたから、陛下とともに早い段階で動いてくれるはずだ。内密に動いて解決する予定だったんだが、状況が変わったからな」
アークの言葉に、今度は肩を落として項垂れる。
「それが、まさかの竜人の番いだもんな。そりゃあ、国同士の話し合いになるよな。……悪い。俺、来なきゃよかったかな。助けたあとなら、問題なくスムーズに番えたんじゃ──」
「何を言っている。むしろ来たからこそ、堂々と救出する大義名分ができたし、早急な救出が可能になる」
「そうだよ。今の彼の現状を知って、一刻も早く助けたかったんだ。それが番いであるルドヴィカの手でなされたなら、きっと彼は本当の意味で救われる」
俺達がそう言うと、ルドヴィカは怪訝そうな顔になった。
「彼の現状って、一体……。ただ監禁されているだけじゃないのか?」
うーん。いくら落ち着いたとはいえ、教えていいものか。でもすぐに分かることだし、ルドヴィカにもきちんと説明しておいて、救出後の彼のフォローもしてもらわないとだし。
「あのね、さっきみたいに暴走しないで欲しいんだけど、大丈夫?」
「……内容にもよるが」
渋い顔になるルドヴィカ。何時ものヘラヘラ顔はどうした。まあ、いい話ではないことは予想がつくだろうけど。
「ノア。暴走したら、また飲ませればいい」
「そうだね。念のために結界と激苦激マズポーションを用意しておいて──」
「おい、ネーミング! 何かイヤな言葉が増えてる。間違っちゃいないけど!」
ちょいちょいと何時ものような突っ込みが入るから、まあ大丈夫だろう。
こうして準備万端になったところで詳しい状況をルドヴィカに知らせると、案の定、さっきの比ではないほどの暴走具合だった。
さっきのことを踏まえて、俺は素早く激苦激マズポーションを飲ませ、嘔吐いて正気に戻ったところを浄化魔法でスッキリさせる。
「うへえ……消えてるはずなのに、口の中も胃も、苦々しいのが残っている気がする……オエッ」
「ごめん。でも効果てきめんで、よかった。これなら犯罪者相手にも使えそう。冒険者ギルドで販売してもいいかもしれない」
「……さすがノアちゃんって、言えばいいのか。商魂たくましいな」
俺はもう飲みたくないって呟くルドヴィカに、アークも俺も苦笑するのだった。
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