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連載
585 忍気呑声(にんきどんせい)2 sideルドヴィカ
軽口を叩きつつ、ノアちゃんはサムラートの首枷を破壊しないように解除して取り外す。
俺なんかだと、思い切り魔力を込めるか力尽くで引きちぎるかになるんだが、よく見てみると、錬成に使う魔法を応用しているらしい。『分離』の魔法をうまく調整して、接合部を離したようだ。
これを簡単そうに熟すあたり、やっぱり大賢者様の義息子なんだなと思う。俺は魔力が強くてアークよりは扱いがうまい方だが、そこまで繊細な微調整は難しい。
「お待たせ、ルドヴィカ。あと、申し訳ないんだけど、その、暴行の傷とかも証拠としてザッと診てもらって書類を作成したいんだ。もちろん映像なんて残さないから安心して!」
「……ああ、分かるけども……クソッ。いや、サッサと終わらせて治療だよな。じゃあ、頼む」
ノアちゃんの言うことは正しい。だけどこっちの感情としては、そんなことよりも早く傷を治してやりたい。
そんな正反対の気持ちが湧き上がるが、これもアイツらを破滅に導くために必要なことだと、堪える。
サッサと終わらせるために、サムラートの服を手早く、しかし優しく脱がせる。そうだ、これはついでにノアちゃんに証拠品として持っていってもらって、俺の服を着せよう。
そうと決まれば、ズボンもサッサと剥いで──
怒りを抑えるのが難しいほどの性暴力の痕に、俺は奥歯を噛みしめながら堪える。カガシもノアちゃんも同様の気持ちなんだろう。険しい顔でチェックしていく。
長いような短いような時間を堪え、三人ともが、深い溜め息をつく。
「……ふーっ」
「マジでクソだなっ」
「同感です」
全身の痛々しい痕を、ノアちゃんの規格外なハイパーグレートスペシャルポーションでスッキリ綺麗に治す。心なしかサムラートの寝顔が緩んだ気がする。やっぱり辛かったよな。
「外傷は治ったけど、中は飲ませないといけないから、ルドヴィカ、お願いね」
それはつまり、口移しで飲ませろってことだな。
「任せろ」
意識のない状態での口移しだから、これは治療。ノーカン! でも、どうせ俺の初口付けはサムラートだから、別にいいか。
「じゃあ、俺達は一旦、テントの外に出ているから、飲ませたらそのまま寝かせてあげて。でも何かあれば、すぐに呼んでね」
「おう、ありがとう」
ノアちゃん達が出ていったあと、そっとサムラートの頭を抱える。HGSPを口に含んでサムラートの可憐な唇に触れ、舌を使って口腔内にポーションを流し入れる。それを反射的に嚥下したのを見届けて様子をうかがう。
どうやら、落ち着いたようだ。穏やかな表情で、眠っている。
「サムラート……サラ……。早く目を覚まして、その瞳に俺を映して、俺を認めて、微笑んでくれ」
そっと横たえて、やつれた頬を撫でる。その手に、か弱く、すりっと擦り寄る仕草に、俺は泣きたくなった。
意識してはいないのだろう。でも、無意識に俺を求めて安心してくれているようで──
「目が覚めたら、今までのことなんか全部忘れるくらい、頭からつま先まで、いや、ナカまででろでろに愛して上書きしてやるからな」
そうして俺もラフな格好に着替えると、サラの横に身体を滑り込ませ、番いの薫りを堪能しながら目を閉じる。
──あとでイェルが、このときの俺の様子をノアちゃんに報告していたなんて、露ほども思わず。
次に会ったときに、俺が反対に揶揄われるなんて。ちょっと調子が狂うなと、笑い話になるのだ。
俺なんかだと、思い切り魔力を込めるか力尽くで引きちぎるかになるんだが、よく見てみると、錬成に使う魔法を応用しているらしい。『分離』の魔法をうまく調整して、接合部を離したようだ。
これを簡単そうに熟すあたり、やっぱり大賢者様の義息子なんだなと思う。俺は魔力が強くてアークよりは扱いがうまい方だが、そこまで繊細な微調整は難しい。
「お待たせ、ルドヴィカ。あと、申し訳ないんだけど、その、暴行の傷とかも証拠としてザッと診てもらって書類を作成したいんだ。もちろん映像なんて残さないから安心して!」
「……ああ、分かるけども……クソッ。いや、サッサと終わらせて治療だよな。じゃあ、頼む」
ノアちゃんの言うことは正しい。だけどこっちの感情としては、そんなことよりも早く傷を治してやりたい。
そんな正反対の気持ちが湧き上がるが、これもアイツらを破滅に導くために必要なことだと、堪える。
サッサと終わらせるために、サムラートの服を手早く、しかし優しく脱がせる。そうだ、これはついでにノアちゃんに証拠品として持っていってもらって、俺の服を着せよう。
そうと決まれば、ズボンもサッサと剥いで──
怒りを抑えるのが難しいほどの性暴力の痕に、俺は奥歯を噛みしめながら堪える。カガシもノアちゃんも同様の気持ちなんだろう。険しい顔でチェックしていく。
長いような短いような時間を堪え、三人ともが、深い溜め息をつく。
「……ふーっ」
「マジでクソだなっ」
「同感です」
全身の痛々しい痕を、ノアちゃんの規格外なハイパーグレートスペシャルポーションでスッキリ綺麗に治す。心なしかサムラートの寝顔が緩んだ気がする。やっぱり辛かったよな。
「外傷は治ったけど、中は飲ませないといけないから、ルドヴィカ、お願いね」
それはつまり、口移しで飲ませろってことだな。
「任せろ」
意識のない状態での口移しだから、これは治療。ノーカン! でも、どうせ俺の初口付けはサムラートだから、別にいいか。
「じゃあ、俺達は一旦、テントの外に出ているから、飲ませたらそのまま寝かせてあげて。でも何かあれば、すぐに呼んでね」
「おう、ありがとう」
ノアちゃん達が出ていったあと、そっとサムラートの頭を抱える。HGSPを口に含んでサムラートの可憐な唇に触れ、舌を使って口腔内にポーションを流し入れる。それを反射的に嚥下したのを見届けて様子をうかがう。
どうやら、落ち着いたようだ。穏やかな表情で、眠っている。
「サムラート……サラ……。早く目を覚まして、その瞳に俺を映して、俺を認めて、微笑んでくれ」
そっと横たえて、やつれた頬を撫でる。その手に、か弱く、すりっと擦り寄る仕草に、俺は泣きたくなった。
意識してはいないのだろう。でも、無意識に俺を求めて安心してくれているようで──
「目が覚めたら、今までのことなんか全部忘れるくらい、頭からつま先まで、いや、ナカまででろでろに愛して上書きしてやるからな」
そうして俺もラフな格好に着替えると、サラの横に身体を滑り込ませ、番いの薫りを堪能しながら目を閉じる。
──あとでイェルが、このときの俺の様子をノアちゃんに報告していたなんて、露ほども思わず。
次に会ったときに、俺が反対に揶揄われるなんて。ちょっと調子が狂うなと、笑い話になるのだ。
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