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連載
589 一方その頃の獣人国は
俺がルドヴィカ達と古の森でそんなことをしている間に、獣人国ではこの前の錬金術師ギルドや薬師ギルドの摘発以上の大捕物が行われていた──らしい。
古の森に転移したあと、サムラートの聞き取り調査やら治療やらと忙しくしていて、気づいたらすっかり日が暮れていて。
それで慌ててメーレ達にサムラートのことを頼んで、エレフにルドヴィカと一緒にアークの元に転移してもらう。
あとで戻るって言ってたからね。
その際、サムラートがルドヴィカと離れたくなさそうに無意識に彼の袖を摘まんでいるのを見て、ルドヴィカが「ちくしょう、行きたくねえー!」と血涙を流して叫んでいたが、こればかりはサムラートのためだからと宥めすかして無理矢理引きずってきた。
それで今、アークから俺のいない間の状況報告を受けているところだ。
ちなみにここは獣人国の王城内で、俺とアークの宿泊にあてがわれている部屋である。エレフは散歩してくると言って、どこかに消えた。そういえばヴァンの姿がない。ヴァンでも探しに行ったのかな?
「ルドヴィカがスッパリ切り落とした幽閉塔だが、あれから塔内部をくまなくチェックして記録媒体魔導具に映像を残してきたから、何かあればすぐに分かる」
「あー、屋根というか、うん。まあ、見晴らしがよくなってよかったね」
アークの言葉に、俺は乾いた笑いを溢しながら、そんなことをおざなりに言う。あとでどうせルドヴィカに塵にされるんだし、別にいいや。
俺もサムラートのことを思えば、犯罪者もろとも存在ごと消してやりたいもんね。
ルドヴィカも同じ気持ちらしく、眉間にシワが寄っている。
「現場検証が済めば、ルドヴィカに破壊の許可が下りるだろうから、少し我慢してくれ」
「まあ、今更だからな。待つよ。それよりそのクソ野郎とか、サラの実家とかどうなったんだ?」
アークに宥められて、渋々と矛先を変えたルドヴィカ。俺もそれを聞きたい。
アークは苦笑しながら、まずは近衛騎士副団長の件を話し出す。
「サムラートを拉致監禁した近衛騎士副団長のハロスは、父親で近衛騎士団長であるコルヴァと部下達に、母親のクレエは同じく部下の近衛騎士達に捕縛」
「よかった、ちゃんと捕まったんだね」
そのことにひとまずホッとする。団長はきっちり仕事をしたようだ。
「ああ。今は二人とも騎士団詰め所にある地下の貴族牢に別々に収監されている。一応罪の意識はあるのか、思ったよりも大人しくしているようだ」
「そりゃあ、これで罪の意識はありません、なんて言われた日にゃあ、俺は速攻でぶん殴るね」
アークの言葉に、ふんっと鼻息荒くそう言うルドヴィカに、俺達も同意するように頷く。
「全くもってその通りだ。あと、オリヴァン侯爵家の方も夫人と三人の子息達はやはり捕縛後、同じ貴族牢に収監。侯爵は騎士団詰め所の一室に軟禁」
「侯爵は牢じゃないんだ」
俺が不思議に思ってそう聞くと、ルドヴィカがアークの代わりに応える。
「侯爵自身は、今回の拉致監禁に関与した証拠がないんだろう。牢に入れる理由がない」
調べてみても嘘を言っているんじゃなくて、本当に知らなかったってことか。
「ただ、参考人として事情聴取、あと諸々の証拠隠滅をされないために身柄を拘束ってところだろう。関与はなくても貴族家にとっては大打撃の不祥事だからもみ消したいだろうし」
ルドヴィカが真面目にそう言うから、思わず感心する。
「なるほど。さすがは魔法騎士団長、そういうことにはちゃんと詳しいんだね。そういえばサムラートの首枷も、俺が外すまでむやみに壊さなかったな」
すると、ジト目で俺を見るルドヴィカ。何?
「……ノアちゃんの普段の俺に対する印象がよく分かるな。そんなに俺、バカっぽい?」
「うん」
「自業自得だろう」
「アークまで!? 酷っ!」
いつもの調子を取り戻しつつあるルドヴィカのおかげで場の空気が和んで、俺は無意識に入っていた肩の力が抜けるのだった。
「まあ、詳しい内容はこれからの尋問で分かってくるだろう。俺はまだしばらくこちらにいるが、ノア達はどうする?」
「あー、俺は必要最低限の用事以外はサラについていたいから、古の森にいてもいいか? あと、アイツらの処遇が決まったら教えてほしい」
ちょっと気まずそうに、照れながらそう言うルドヴィカに、俺もアークも二つ返事で頷く。
「もちろんだよ。ルドヴィカはサムラートを第一にね。俺は彼の様子も気になるけど、カガシ達の方が治療とかは得意だから、アークとここに残る」
「エレフに言えばすぐに連絡が取れるだろうから、遠慮なく言ってくれ。エレフには面倒をかけるけど──」
《全然面倒じゃないよー! 任せてー!》
「うおっ、ビックリした」
今までいなくなっていたエレフが、アークの言葉に反応したのか、急に湧いてきた。片腕に仔狼姿のヴァンを抱いている。
唐突な出現にルドヴィカだけ驚く。俺とアークはもう慣れた。
「何時も唐突だな。ヴァンを見つけてきたの?」
《うむ、厨房で何やら食べ物を貰って食べていたのでな、食事を終えるのを待っていたのだ》
『全く……もっと食べるつもりだったのに、此奴のせいで!』
「あとで厨房の料理人達にお礼を言っておこうか」
ちょっと目を離すとこれだから。食いしん坊イッヌめ。まあ、今回は大活躍だったしエレフにも色々頼んでるし、料理も普通に戻そう。
何だかんだ言っても、俺の料理を美味しそうに食べてくれて嬉しいもんね。
※ちょっと加筆修正しました。
古の森に転移したあと、サムラートの聞き取り調査やら治療やらと忙しくしていて、気づいたらすっかり日が暮れていて。
それで慌ててメーレ達にサムラートのことを頼んで、エレフにルドヴィカと一緒にアークの元に転移してもらう。
あとで戻るって言ってたからね。
その際、サムラートがルドヴィカと離れたくなさそうに無意識に彼の袖を摘まんでいるのを見て、ルドヴィカが「ちくしょう、行きたくねえー!」と血涙を流して叫んでいたが、こればかりはサムラートのためだからと宥めすかして無理矢理引きずってきた。
それで今、アークから俺のいない間の状況報告を受けているところだ。
ちなみにここは獣人国の王城内で、俺とアークの宿泊にあてがわれている部屋である。エレフは散歩してくると言って、どこかに消えた。そういえばヴァンの姿がない。ヴァンでも探しに行ったのかな?
「ルドヴィカがスッパリ切り落とした幽閉塔だが、あれから塔内部をくまなくチェックして記録媒体魔導具に映像を残してきたから、何かあればすぐに分かる」
「あー、屋根というか、うん。まあ、見晴らしがよくなってよかったね」
アークの言葉に、俺は乾いた笑いを溢しながら、そんなことをおざなりに言う。あとでどうせルドヴィカに塵にされるんだし、別にいいや。
俺もサムラートのことを思えば、犯罪者もろとも存在ごと消してやりたいもんね。
ルドヴィカも同じ気持ちらしく、眉間にシワが寄っている。
「現場検証が済めば、ルドヴィカに破壊の許可が下りるだろうから、少し我慢してくれ」
「まあ、今更だからな。待つよ。それよりそのクソ野郎とか、サラの実家とかどうなったんだ?」
アークに宥められて、渋々と矛先を変えたルドヴィカ。俺もそれを聞きたい。
アークは苦笑しながら、まずは近衛騎士副団長の件を話し出す。
「サムラートを拉致監禁した近衛騎士副団長のハロスは、父親で近衛騎士団長であるコルヴァと部下達に、母親のクレエは同じく部下の近衛騎士達に捕縛」
「よかった、ちゃんと捕まったんだね」
そのことにひとまずホッとする。団長はきっちり仕事をしたようだ。
「ああ。今は二人とも騎士団詰め所にある地下の貴族牢に別々に収監されている。一応罪の意識はあるのか、思ったよりも大人しくしているようだ」
「そりゃあ、これで罪の意識はありません、なんて言われた日にゃあ、俺は速攻でぶん殴るね」
アークの言葉に、ふんっと鼻息荒くそう言うルドヴィカに、俺達も同意するように頷く。
「全くもってその通りだ。あと、オリヴァン侯爵家の方も夫人と三人の子息達はやはり捕縛後、同じ貴族牢に収監。侯爵は騎士団詰め所の一室に軟禁」
「侯爵は牢じゃないんだ」
俺が不思議に思ってそう聞くと、ルドヴィカがアークの代わりに応える。
「侯爵自身は、今回の拉致監禁に関与した証拠がないんだろう。牢に入れる理由がない」
調べてみても嘘を言っているんじゃなくて、本当に知らなかったってことか。
「ただ、参考人として事情聴取、あと諸々の証拠隠滅をされないために身柄を拘束ってところだろう。関与はなくても貴族家にとっては大打撃の不祥事だからもみ消したいだろうし」
ルドヴィカが真面目にそう言うから、思わず感心する。
「なるほど。さすがは魔法騎士団長、そういうことにはちゃんと詳しいんだね。そういえばサムラートの首枷も、俺が外すまでむやみに壊さなかったな」
すると、ジト目で俺を見るルドヴィカ。何?
「……ノアちゃんの普段の俺に対する印象がよく分かるな。そんなに俺、バカっぽい?」
「うん」
「自業自得だろう」
「アークまで!? 酷っ!」
いつもの調子を取り戻しつつあるルドヴィカのおかげで場の空気が和んで、俺は無意識に入っていた肩の力が抜けるのだった。
「まあ、詳しい内容はこれからの尋問で分かってくるだろう。俺はまだしばらくこちらにいるが、ノア達はどうする?」
「あー、俺は必要最低限の用事以外はサラについていたいから、古の森にいてもいいか? あと、アイツらの処遇が決まったら教えてほしい」
ちょっと気まずそうに、照れながらそう言うルドヴィカに、俺もアークも二つ返事で頷く。
「もちろんだよ。ルドヴィカはサムラートを第一にね。俺は彼の様子も気になるけど、カガシ達の方が治療とかは得意だから、アークとここに残る」
「エレフに言えばすぐに連絡が取れるだろうから、遠慮なく言ってくれ。エレフには面倒をかけるけど──」
《全然面倒じゃないよー! 任せてー!》
「うおっ、ビックリした」
今までいなくなっていたエレフが、アークの言葉に反応したのか、急に湧いてきた。片腕に仔狼姿のヴァンを抱いている。
唐突な出現にルドヴィカだけ驚く。俺とアークはもう慣れた。
「何時も唐突だな。ヴァンを見つけてきたの?」
《うむ、厨房で何やら食べ物を貰って食べていたのでな、食事を終えるのを待っていたのだ》
『全く……もっと食べるつもりだったのに、此奴のせいで!』
「あとで厨房の料理人達にお礼を言っておこうか」
ちょっと目を離すとこれだから。食いしん坊イッヌめ。まあ、今回は大活躍だったしエレフにも色々頼んでるし、料理も普通に戻そう。
何だかんだ言っても、俺の料理を美味しそうに食べてくれて嬉しいもんね。
※ちょっと加筆修正しました。
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