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連載
590 閑話 一方その頃のあの人達やこの人達 1
時は少し遡り、ここは獣人国の王太子リオラルの執務室。
先ほどまでいた竜王国の影だという男からもたらされた情報に、リオラルと側近ギンカ、宰相オウランとその側近パンテラが一斉に深い溜め息をつく。
そして溜め息こそつかなかったが、リオラル専属の護衛騎士の三人──ロン、サイ、ヴォルも内心は同じだろう。
何の前触れもなく知らされた内容に唖然とし、次に国の滅亡に関わることだと全員が顔色を青くさせる。何なら宰相は一瞬、意識を失った。
我に返ったリオラル達の心境は──
『何やってくれてんだ! クソ野郎どもが!!』
まさにその一言に尽きる。品行方正で通っている王太子リオラルでさえ、口汚くもなろうもの。
何故なら、一〇年前に行方不明となった元魔導師を拉致監禁して幽閉塔に囲っているのが、現近衛騎士副団長で。その幽閉塔を管理しているのがその副団長の母親で。
更に監禁されている元魔導師がメーレ王妃の体調不良にも関わっていて。
しかも元魔導師の実家の侯爵家が、彼を長年虐げていた上に拉致監禁にも関与しているという。
トドメは、その元魔導師が先ほど城に来訪した竜王国魔法騎士団長の番いだという。本日一番の爆弾投下である。
しかし心の中とはいえ、罵っている時間はない。
どんよりと重苦しい空気の中、おもむろに顔を上げたリオラルが半目でギンカを見ると、これから急いで動かねばならない事柄を順を追って伝え始める。
「まずは証拠が揃っている近衛騎士副団長とコローネ夫人、オリヴァン侯爵家の面々の捕縛を。魔導師で監禁されているオリヴァン侯爵子息の救出は竜王国のアルバトロス殿達に任せるとして──」
「殿下、近衛騎士団長はいかが致しましょう」
そこに口を挟むようにギンカが声をかける。王族の発言を遮るなど、普通は不敬になるのだが、元々信頼する側近であるし、リオラルもそれくらいのことは気にしない。それにそんな悠長なことを言っていられる余裕もない。
少し考えて、リオラルはギンカに言った。
「……うむ。ひとまず、コローネ近衛騎士団長を呼んでくれ。どう動くにしても説明せねばなるまい」
「御意」
リオラルは後ろを見て、護衛騎士三人に声をかける。
「ロン、近衛騎士団長の元に走ってくれるか?」
「もちろんです」
即座に動き出すロンを見送りながら、サイにも用件を告げる。
「では、サイは第一騎士団長の元へ行って、こちらに連れてきてくれ。何か用があったとしても緊急の用件だと言って引きずってこい」
「はっ」
サイもサッと執務室をあとにする。残ったヴォルは、リオラルを見て首を傾げる。
それは「俺は?」という期待に満ちた顔だったが──
「ヴォルはここで殿下の護衛だ。護衛が三人とも殿下のお側を離れるわけに行かないだろう」
「──ですよねぇ」
茫然自失から立ち直ったオウランにジト目でそう言われたヴォルは、その艶黒のふわふわケモ耳尻尾を垂れさせて、見るからにシュンッと萎れる。
それを目の当たりにしたリオラル達は、ピリピリとした空気を霧散させて、束の間、ほのぼのとするのだった。
このあとの嵐のような怒濤の展開の前の、ほんの一時の清涼剤のようだった。
※これから数話、閑話として裏方の視点の予定です。誰とは言わず三人称の予定です。文字数が短かったりしますがご了承ください。
(仮)サブタイトル変更あるかもなので。
先ほどまでいた竜王国の影だという男からもたらされた情報に、リオラルと側近ギンカ、宰相オウランとその側近パンテラが一斉に深い溜め息をつく。
そして溜め息こそつかなかったが、リオラル専属の護衛騎士の三人──ロン、サイ、ヴォルも内心は同じだろう。
何の前触れもなく知らされた内容に唖然とし、次に国の滅亡に関わることだと全員が顔色を青くさせる。何なら宰相は一瞬、意識を失った。
我に返ったリオラル達の心境は──
『何やってくれてんだ! クソ野郎どもが!!』
まさにその一言に尽きる。品行方正で通っている王太子リオラルでさえ、口汚くもなろうもの。
何故なら、一〇年前に行方不明となった元魔導師を拉致監禁して幽閉塔に囲っているのが、現近衛騎士副団長で。その幽閉塔を管理しているのがその副団長の母親で。
更に監禁されている元魔導師がメーレ王妃の体調不良にも関わっていて。
しかも元魔導師の実家の侯爵家が、彼を長年虐げていた上に拉致監禁にも関与しているという。
トドメは、その元魔導師が先ほど城に来訪した竜王国魔法騎士団長の番いだという。本日一番の爆弾投下である。
しかし心の中とはいえ、罵っている時間はない。
どんよりと重苦しい空気の中、おもむろに顔を上げたリオラルが半目でギンカを見ると、これから急いで動かねばならない事柄を順を追って伝え始める。
「まずは証拠が揃っている近衛騎士副団長とコローネ夫人、オリヴァン侯爵家の面々の捕縛を。魔導師で監禁されているオリヴァン侯爵子息の救出は竜王国のアルバトロス殿達に任せるとして──」
「殿下、近衛騎士団長はいかが致しましょう」
そこに口を挟むようにギンカが声をかける。王族の発言を遮るなど、普通は不敬になるのだが、元々信頼する側近であるし、リオラルもそれくらいのことは気にしない。それにそんな悠長なことを言っていられる余裕もない。
少し考えて、リオラルはギンカに言った。
「……うむ。ひとまず、コローネ近衛騎士団長を呼んでくれ。どう動くにしても説明せねばなるまい」
「御意」
リオラルは後ろを見て、護衛騎士三人に声をかける。
「ロン、近衛騎士団長の元に走ってくれるか?」
「もちろんです」
即座に動き出すロンを見送りながら、サイにも用件を告げる。
「では、サイは第一騎士団長の元へ行って、こちらに連れてきてくれ。何か用があったとしても緊急の用件だと言って引きずってこい」
「はっ」
サイもサッと執務室をあとにする。残ったヴォルは、リオラルを見て首を傾げる。
それは「俺は?」という期待に満ちた顔だったが──
「ヴォルはここで殿下の護衛だ。護衛が三人とも殿下のお側を離れるわけに行かないだろう」
「──ですよねぇ」
茫然自失から立ち直ったオウランにジト目でそう言われたヴォルは、その艶黒のふわふわケモ耳尻尾を垂れさせて、見るからにシュンッと萎れる。
それを目の当たりにしたリオラル達は、ピリピリとした空気を霧散させて、束の間、ほのぼのとするのだった。
このあとの嵐のような怒濤の展開の前の、ほんの一時の清涼剤のようだった。
※これから数話、閑話として裏方の視点の予定です。誰とは言わず三人称の予定です。文字数が短かったりしますがご了承ください。
(仮)サブタイトル変更あるかもなので。
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