拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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593 閑話 一方その頃のあの人達やこの人達 4 sideオリヴァン侯爵家

※お待たせ致しました。オリヴァン侯爵視点から、後半は侯爵夫人と子息達視点になります。



──それは私にとっては青天の霹靂だった。

「オリヴァン侯爵並びに侯爵夫人とご子息方、全員ご同行願おう。使用人達は一人残らず広間に集まるように。なお抵抗する者は問答無用で捕縛するからそのつもりで」

邸に大人数でやって来た王立騎士団の第一騎士団長であるルイズ・パトリス殿が、私達に向かってそう宣言した。

そして宣言後は阿鼻叫喚。

私は何が何やら、訳が分からずに困惑する。
何だ、あの件か、それともアレか? バレないように上手く帳簿を合わせていたはず。それとも別件か!?

とにかく疚しいことがあり過ぎて、決定打が分からない。
前触れなく取り囲まれたため、証拠隠滅もできない。

──クソッ!

あっと言う間に制圧されて連行される私達を不安そうに見つめる使用人達。そりゃあそうだ。私達に何かあれば、ここにいる使用人全員職を失うことになるのだからな。

「言い訳も釈明も、牢に入れてから聞く。今は黙れ!」
「ひいっ!」

ずっと喚き散らしているつまや息子達に堪えきれなくなったのか、第一騎士団長が鋭い声で制止し、ビクッと固まり口を閉ざす。

恥ずかしながら、私も威圧で思わず漏らしそうになった。

その後、夫達は貴族牢に収監され、私だけは別の場所で軟禁状態で事情聴取が行われた。

そこで知ったことは、一〇年前に行方不明になって死亡扱いになっている四男のサムラートが実は生きていて、失踪に関与したのが夫と息子達だということ。

何だそれ、私は知らない。
そんなことをしでかしたせいで、私まで連行されたのか。くだらん!

「私は知らぬ。それはそちらで調べて分かっているのだろう? なら、私は邸に戻らせてもらう」

憤慨しながら席を立とうとして、背後に立っていた騎士に肩を掴まれて制止させられる。
ムッとして騎士団長を睨めば、にっこりして言った。

「それは無理です。失踪に関与はしていませんでしたが、他に色々と後ろ暗いことをしてますよね、オリヴァン侯爵殿。むしろ貴方にはそちらメインでの取り調べがありますので」
「──っ証拠は」
「先ほどバッチリ回収済みです。あと、時効だとお思いでしょうが、サムラート殿と彼の母君に対する虐待行為も含まれますので」

水増しや架空請求など諸々の罪の他に、サムラート母子への虐待の罪がついてポカンとする。

「……は? わ、私は虐待などしておらんぞ!」
「いえいえ、夫人達の行為を制止もせず傍観していたのですよね。おかげでどんどん酷くなって死にかけたりもしたようですし。それだけでも立派な虐待ですよ」

そこら辺も使用人達からの証言もありますし、サムラート殿本人の証言もあるので、言い逃れは出来ませんよ、と笑ってない目で淡々と告げられ、ガックリと肩を落として座り直すのだった。

──何故、どうして。私はどこで間違ったんだ……

──一方その頃、夫人達も事情聴取を受けていた。聴取というよりは事実確認という感じだが。

「サムラート殿をコローネ近衛騎士副団長にというのは本当のことですか?」
「そうよ。あんな母親から生まれた醜男ぶおとこを欲しいなんて言うから、快く譲ってあげたの。その見返りで金銭を受け取っただけ」

それのどこが悪いことなのかしら。大体、私より身分が低いアイツが同じ敷地内に住んでること自体が罪なんだから。

「魔塔の魔導師を買収したり、色々と手を回していたようですね」
「ハッ、アイツらもちょっと金を握らせれば好きに動いてくれて助かったぜ」
「なー!」
「アイツらも俺達も利害の一致で万々歳だよなー!」
「……そうですか」

罪の重さを感じるどころか、罪を罪だと思ってもいないヤバい輩に、尋問を任された騎士達が内心でドン引きだったことには気づかない夫人達だった。

「……まあ、調書通りだということで、こちらとしても楽ではあるが」
「コイツら、きっと死ぬ瞬間まで頭がお花畑なんだろうな……」

第一騎士団員や、様子を窺っている竜王国の影達も呆れたように溜め息をつくのだった。



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