拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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連載

599 事後報告と新しい問題

「王太子殿下、先ほど幽閉塔の処理を済ませて参りました」
「おお、早いな」

リオラルが山のような書類から顔を上げて、ぱあっと顔を綻ばせる。こんなに早く済むとは思っていなかったに違いない。

「いやいや、さすがはアルバトロス殿。優秀な魔法騎士ということで、あれしきの塔など一瞬で破壊できるだろうとは思っていたが、存外早くて驚いたぞ」

ニコニコと笑うリオラルに、その破壊の工程を見せていいものかとオウラン宰相をチラッと見る。まあ、苦笑しているけど仕方ないよね。ちょっと刺激が強い気がするけど。

「それでどんな具合だったのだ。当然記録してあるのだろう?」
「お見せいたしますが、ノア殿達の映像も念のために確認をお願い致します」
「……あー、例の件だな。分かった。間違いのないように複数の記録の確認をしよう。本来は必要のないことなのだが。ノア殿達も聞いたのだろう?」

リオラルのウキウキしていた空気が、オウラン宰相の言葉に若干どんよりした気がする。

「ええ、窺いました。ろくでもないギルドですね。そしてそれを放置している国王もろくでもないですけどね」

あまりの錬金術師ギルドの酷さに俺が嫌みったらしくそう言うと、リオラル達も同感だったのか反論もせずに項垂れる。

「それに関しては、いや、他にも色々と不甲斐ない王で本当に国民にも他国にも申し訳ない。ここだけの話、これらの問題が解決したあかつきには陛下に退位を促そうと思っている。いや、陛下には退位していただくつもりだ」
「えっ」

俺が驚いて思わず呟くと、アークは当然のように頷く。

「まあ、当然の流れだろう。今回のルドヴィカの番いの件もあって、すでに竜王陛下から進言されているんじゃないか?」
「進言と言うより、条件ですね。アルバトロス殿の番いの件を穏便に済ますかわりに私が王位を継ぐことを求めてきました」

ルドヴィカが怒り狂って国を滅ぼしかねないから、それを抑えるためにも首のすげ替えをしろと。うーん、確かにかなり怒ってはいたけど、それでもルドヴィカはわりと冷静に見えたけどな。
誇張が過ぎる気もするけど、実際、番い絡みで街が消えたとか聞くし、あり得ない話しでもないんだろう。それに俺には分からない国同士の交渉で腹の探り合いとか色々とあるのかもしれないから、俺は黙っていよう。

「でもまあよかったんじゃないかな。それってようするにウチの大祖父様が後ろ盾になるってことでしょう? それならリオラルが急に王になっても反発は出にくいし」

俺には単に優しいお爺さんだけど、実際、竜王陛下がバックにいたら怖くて何も言えないよね。
でもそういうこと云々ではなく。

「アレが王で皆は困ってたんだから元々反発は少ないと思うぞ。むしろ喜んでくれるだろう」
「そうだね。何しろメーレの方が王様っぽかったし」
「うぐっ……事実ゆえに、何も言えない」

俺とアークの会話に胸を押さえているリオラルに笑う。オウラン宰相達も苦い顔で黙る。やっぱりダメな王様っていう自覚はあったんだ。リオラルもメーレ達と今まで頑張ってたんだろうし。

「じゃあそっちはリオラル達や大祖父様が色々と済ませるだろうし、俺達はさっきの取り壊しの映像確認ともう一つの問題の方だね」
「錬金術師ギルドによる粗悪な記録媒体魔導具のことだな。はあ……頭が痛いよ、本当に。いや、今はとにかく幽閉塔の確認を」

溜め息をついて頭を抱えそうになるリオラルに苦笑しつつ、俺達は映像の再生のためにピアスの記録媒体魔導具を耳から外す。

「畏まりました。ではノア殿とアルカンシエル殿もよろしいですかな」
「準備は万端です」
「オッケーだが、順番に見るのか一斉に映すのか、どうする?」
「ひとつずつだと時間もかかるし、一斉に映してもらおうか」

こうしてリオラルの一声でオウラン宰相と俺達二人の映像が執務室に映し出される。
それを目の当たりにしたリオラルや側近達は唖然として、しばらく言葉が出なかった。

うん、確かに言葉で表現してもここまでの威力だとは誰も思うまい。



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