拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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609 魔導具を探索する魔導具と刻印 2

俺は感動していた気持ちを切り替えて、アークのシグネットリングのデザインと自分のものだと分かるようなデザインを考える。

うーん、俺は竜人と黒兎人の混血ミックスだから、アークのシグネットリングのデザインに使われている竜の柄はピッタリだよね。そうなると、もう一つの兎のデザインを取り入れようかな。

元々のアークのシグネットリングは竜の柄の後ろに二本の交差する剣があり、その背景に横線が三本。これは三男という意味らしい。長兄は横線一本、次兄は二本だそうだ。なるほど分かりやすい。

これを囲うように、一回り大きな兎の顔……というか輪郭を重ねてみたらどうだろう?

──うん、何かよさそう。とりあえず一度形にしてみよう。おかしかったら分解セパレートして戻せばいいんだし。

「よし、とりあえず魔導銀ミスリルを台座に使って──『錬成』」
「──お、おお? 急にどうした」
「考え込んでたと思ったら、いきなりですね」

俺が前触れもなく魔導銀を取り出して錬成し始めたからか、リオラルとリンクスが驚いて声を上げる。
ああ、皆いたんだっけ。集中するとすぐに周りが見えなくなるの、よくない癖だな。でもすぐに直せるもんじゃないから、ごめんなさい。きっとアークも「何時ものことだ」と呆れているだろう。
あとまたお小言がありそうだ。

とりあえず今は刻印の方を終わらせたいので。

「──はい、とりあえず形だけはできた。試作品一号。どうかな? おかしければ作り直すけど」

そう言ってシグネットリングよりは少し大きめのできたてほやほやの刻印を見せる。

「あ、試しに蝋に刻印してみようかな」

その方が分かりやすいかも。俺はマジックバッグからいそいそと蝋燭を取り出して火を点け、いらない用紙に溶けた蝋を垂らすと試作品一号の刻印を押しつける。
蝋が固まったあとくっきりと跡がついて、刻印が分かりやすくなった。俺の錬成した魔導具ってことだから兎が目立っても大丈夫だよね。

「──おお」
「これがノア師匠の考えた刻印」

リオラルとリンクスが感嘆の声をあげると、オウラン宰相達も口々に感想を言う。

「なんと言うか、その、ノア殿らしいですね」
「イメージがピッタリです」
「カッコ可愛いってこういうこと?」

カッコ可愛いはよく分からないけど、何かよさそうというのは分かった。

「確かに俺とノアの印象が強いな。いいんじゃないか」
「本当? じゃあこれに決めて、偽造防止に色々魔法付与しようっと」

最後にアークの一押しがあって、俺はウキウキで魔法付与に勤しんだ。よかったな、試作品一号。このまま日の目を見られるぞ。

「シンプルだけど特徴を捉えている。兎の顔なんてピッタリだ」

うんうん、そうでしょう。兎耳はないけど俺っぽいよね。よくぴるぴるしてるから。最近はだいぶマシだけど。

「でもこれじゃあ、ぱっと見、兎に囲われて護られている竜みたくないですか?」

うん? ギンカの言うことも一理あるかも。じゃあやっぱり下の方に兎マークを入れた方がいいかな。それか兎耳の間にアークのデザインを入れるとか。
アークはいいって言ってくれたけどどうしよう。

耳に入るリオラル達の会話にそんなことをぐるぐると考えていると、アークがリオラル達に和やかに応える。

「まあ、ある意味ノアの規格外の能力に俺も護られているというか、助けられている部分もあるからいいんだ。ポーションとか魔導具とか色々とね」

それを聞いたリオラルも納得したように頷く。

「そう言われればそうかもな」
「それに、嫉妬も執着も酷く重い竜人を許容してくれて逆に喜ぶくらいだからな。俺は実は尻に敷かれているかも?」
「──っはは! そうか、アーク殿が……尻に……っふふ」
「──っちょ、アーク、何言ってんの!?」

アークの言葉に俺は顔を赤くして叫ぶ。確かに喜んでいるけど、尻に敷いてはいないよね!

「ああ、どちらかと言えば姉さん女房か。実際年上だしな。そうには見えないけど」
「アーク、歳の話はしないでよ! 気にしてるんだから」
「すまん、つい反応が可愛くて」
「うがーっ」

そう言って苦笑するアークにムッとしつつも、可愛いと言われてまんざらでもない自分に内心で笑う。
他の誰でもなくアークに言われるんだったらその言葉は嬉しいものに変わるから。

こんな感じで脱線しつつも、何とか魔法付与を終えるのだった。

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