拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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615 探索開始 2

ということで、偽装魔導具の探索は第二騎士団に任せることになる。小隊長達と一緒にティンバーも執務室をあとにした。
……うん、ヴァンを抱っこしたままで。いいのか、あれ。

俺が気になってアーク達を見れば、ほとんどが虚無の目になっていた。

「まあ、ヴァン殿がいた方が相手との交渉が楽かもしれないよ、ノア殿」
「そ、そうですよ。何と言ったってフェンリル様ですから! 皆、敬って反論なんてしないですって」
「そうならいいけど」

リオラルとギンカが苦笑しながらもそう言うので、獣人国ならそれもありなのかなと納得する。フェンリルの威を借るみたいな。まあスムーズにコトが運ぶならいいか。

「じゃあその間に俺、ヘクセ本人の探索をしてみようか」
「──へ?」
「はい?」

俺がもう一つの案件である魔導具師ヘクトの探索にいそいそと動き出すと、リオラルとオウラン宰相が変な声を出した。

「……ノア、それはお前がやらないといけないことなのか?」

アークが額を手で押さえながらそう聞いてくる。まあ確かに、必ずしも俺がやらなくちゃいけないことじゃない。元々は獣人国の問題なんだから。
──でもね。

「だって許せないんだ。俺やラグ爺さんが誰かの役に立つためにって日々研鑽する錬金術をこれほどコケにされて、今また、たった一人の似非エセ魔導具師のせいで更に貶められて」

そんな輩のせいで、他にもエイダンの街のセオドアのように錬金術を諦めるような人もきっといたと思う。そんな人達の代弁者なんて偉そうなことは言わないけど。

「俺はね、こう見えてもとてつもなく怒っているんだよ。調薬しかり錬金術しかり、私利私欲で浅はかな輩が多すぎる。そういう輩は痛い目を見ないと分からないよね」

いや、一度くらいじゃ分からないかもしれない。死ぬまで分からないヤツもいるかもしれない。

「だからヤるんだよ」
「……ノア、るに聞こえるんだが」
「もちろんそのつもりだから合ってる」
「──ひっ」

俺がニコッと笑って言うとアークに突っ込まれる。だからドヤ顔で応えたらリオラル達がか細く悲鳴を上げて真っ青な顔色にた。

「そういう訳で、できれば俺は自分でソイツを捕まえたいの。それで徹底的に──」
「徹底的に……?」

リオラルが恐る恐る聞いてきたので、俺は不敵に笑う。

「ふっふっふ、内緒」

何をするかなんてそう簡単に教えないよ。捕まえるまで楽しみはとっておかないと。
まあさすがに連日探索に行くわけにも行かないので、ティンバー達と手分けするけどね。

「アーク殿、ノア殿ってやはり怒らせると恐ろしい部類の方か?」
「ああ、普段から本気で怒ることがないから穏やかそうに見えるが、キレたらヤバい感じだな。そのいい例が──」

俺が今日は何処から何処までの範囲を探索しようかと考えていると、アークがリオラル達に何やら話しているのが聞こえる。

「え、竜王国の騎士団員達を?」
「ポーションをかけては半殺しにして、またポーションをかけてということを延々とやっていたことがある」
「……」
「それがこれだ」

それって初めて竜王国に着いたとき、暴走した騎士団員達にアークやラグ爺さんを馬鹿にされて暴れたときのヤツだよね。リオラル達がドン引きしてるんだけど。

あ、ちょっとアーク、そのときの記録映像を見せてる!? それを見せられてるリオラル達が更にドン引きしてるから止めてー!
あれ、ちょっと待って。冒険者ギルドでやったエキシビションの記録映像も見せてない!?

「アークってば、何見せてるの! 恥ずかしいから止めてよ」

そう叫んだら映像を止めてくれたけど。

「え、?」
「豹変してるところとかとてつもなく非情なところとかじゃなくて、気になるところ、そこ!?」
「……ノア殿の気持ちのポイントが今イチ分かり辛いですね」
「斜め上過ぎでしょ」

皆が言いたい放題で、俺はむくれた。

「ちょっと、皆して酷くない? 俺は普通だよ」
「いや、普通ではないな。面白いけど」
「アークも酷いぃ!!」
「はっはっは」

こうしてまたさっきとは違う意味でカオスな空間になったが、俺は早くヘクセの探索をしたくてそれ以上突っ込むことを止めた。
そりゃあよく俺は非常識とか言われて自分でもそうかなとは思うけど、そういう生活が長かったんだからすぐには直らないよ。
でも今はちゃんと間違いやおかしなことを指摘してくれてなおかつ許してくれるアーク達がいるから幸せなんだろうな。


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