拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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617 探索範囲はどれくらい? 2

「さて、ちょっと脱線したけどそういう訳で魔力は問題ないので、ヘクセ探索をしたいと思います」
「何故急に敬語になった」

話を元に戻そうとそう言ったらアークに突っ込まれて苦笑する。

「ビシッと気を引き締めるために言ってみただけ。それはいいんだよ。とにかく魔導具で探索してみようよ。いいよね、リオラル?」
「ノア殿の魔力が大丈夫だというなら、是非ともお願いしたい。本当にそこまでカバーできるのかも気になるしな」
「ああ、問題ないだろう」

リオラルに確認を取ればアークからも了承があったので、早速発動する。この王城から南の魔人国に向けて、魔人国の王都内をカバーできる範囲で細く扇状に広げていく。

一気にではなく、ゆっくりとした、しかし馬が駆けていくよりは早い速度で進んでいく。

「まだまだ獣人国に近い距離だけど、街道沿いにはまだ反応がないね。周辺の村や森辺りにもいないみたい。もっと先に魔力を伸ばすね」

俺が魔導具の画面をテーブルの上に置いて皆によく見えるようにして探索していると、リオラル達は興味津々で覗き込んでくる。しかし見づらいのかどんどん前のめりになってきて、ちょっと密集しすぎ。
あ、そうだ。

「ちょっと待って。一旦止めるね。少し改良するから」
「改良?」

慌てて一度魔導具を止めてそう言うと、リオラルがキョトンとする。それには応えずに、魔法を一つ付与する。

「うん、よし。じゃあもう一度やるから見てて」
「あ、ああ分かった」

皆、俺が説明なしで再開したので戸惑いつつも素直に魔導具を見てくれる。するとさっきは魔導具の画面にしか現れなかった映像が空中に浮かび上がって、皆してギョッとしてのけ反る。

「うわ、驚いたな。急に大きくて見やすい画面が宙に現れた」
「これね、俺とアークの腕輪の画面がこうなってるんだけど、俺達のは他人に見えないように制限かけてて。でもこれは別に制限なしで大丈夫だと思って見えるようにした」

こういうふうに大勢で確認するならこれが便利だよね。

「極秘に使いたいときは目立っちゃうので、切り替えができるようにしてあるから安心してね」
「いやあ、本当に何から何まで素晴らしい。助かるよ、ノア殿」
「うん、こういう役に立つことがしたいんだよ、俺。だからそう言ってもらえてとっても嬉しい」

アークと旅に出て、思ったこと。人の役に立ちたい、必要とされたいって。
これで少しは叶えられていればいいな。

「さて、これでもっと先までグッと探索を広げていって──あっ」

もう少しで魔人国という辺りまで来たときに、反応があった。

「これ、離れすぎてるから正確な位置が出ないけど、魔人国方面にいるね」
「何!? 本当だ。そうだとすると、ヘクセは魔人国周辺に今いるということか」

地図の映像には、魔人国の方に表示されたこぶし大の円形状の印が点滅している。これはこっち方面にいることを示していて、距離があり過ぎて大まかな位置しか読み取れないときに現れるものだ。

これをもっと正確に絞り込むなら、この付近まで近づかないと難しい。今はこれが限界だった。

「これで言うと、魔人国周辺にいるのは間違いないと思う。ただ一時的に留まっているのか長期で滞在しているのかまでは分からない」

俺がそう言うと、リオラルは少し考えてから言った。

「……うむ、そうだな。ノア殿、すまないが明日、もう一度魔人国方面を探索してくれるか? そこで今日と同じく動きがなければ魔人国に長期滞在している可能性がある」
「そうなったら魔人国まで行って詳しい場所を探索して見つけられるね。分かった。じゃあ明日の朝、もう一度やろう」
「ありがとう、助かる。何から何まで世話になりっぱなしで借りが増えるばかりだな」

俺がリオラルの提案に頷くとアークも同意する。リオラルは苦笑しながら軽口を叩くが、貸しだなんて思っていないよ。

「何かを返してもらおうと思ってやってることじゃないから気にしなくていいと思うけど。俺にはそんな気はないし」
「本当に無欲だな、ノア殿は」

苦笑するリオラルに俺はムッとして言い返す。

「無欲じゃないよ。錬金術や調薬の素材とかいっぱい欲しいものあるし! 美味しいものもたくさん食べたいし料理したいし!」
「それはちょっとリオラルの言うのとは違う欲望じゃないか?」

思わずそう言ったらアークに突っ込まれた。いやいや同じだよね。

「……物欲と食欲……まあ欲ではあるけど」
「規模が小さいというか、当たり前のような欲ではないですかね」

そんな呆れたようなリオラル達の言葉に、俺はこれが普通なんだとブスッとむくれるのだった。









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