拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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620 偽装魔導具探索の成果は? 3

「ルクス小隊長、回収してきました」
「ありがとう。じゃあ引き続き探索よろしくぅ。これは私がグレイ団長に持って行くねぇ」

アオはのんびり口調とは裏腹に身体をキビキビと動かしてティンバーのいる場所に歩いて行く。俺達はそのアオのあとを追って歩きながら話す。

「アオって意外と動けるんだね」
「ああ、おっとりしてる雰囲気からは想像ができないような動きだったな。だいぶ手慣れているようだった」
「あと、思ったよりもガラが悪い。ギャップがすごいよね」

あんなにほわほわしてるのに、一瞬で雰囲気が変わって驚いた。でもさすがに小隊長を任されるだけはある。きちんと実力が評価されているんだな。
あのほんわかした見た目で騙されて痛い目を見る輩が多そうだ。もしかしてそれが狙いなのかも。

「グレイ団長、回収した魔導具ですぅ。ちなみに店主が渋った挙げ句に襲いかかってきたのでぇ、返り討ちにしときましたぁ」

俺達は、そんなに軽い感じで報告していいのかと思うような口調でアオがティンバーに報告をするのを後ろで聞く。

「そうか、ご苦労様。店主は捕縛したのか」
「はい。職務執行妨害ですぅ。コインを見せたら余計に暴れましたぁ」
「うむ、裏がありそうだな。あとで尋問しよう」

ティンバーは何時ものことなのか特に気にもせず報告を受けて頷く。アオは回収した魔導具をティンバーに渡しながらも目はティンバーの胸元に釘付けだ。
うん、気持ちは分かる。だって布から仔狼のヴァンの頭と尻尾だけチョロッと見えるもんね。気になるよね。

「あのぉ、グレイ団長……その抱っこ紐? みたいなのは何ですかぁ」

偽装魔導具をマジックバッグに収納したティンバーがアオの問いに目を瞬くと応えた。

「ノア殿にいただいた『スリング』という抱っこ紐だ。うーん、紐と言うよりは布かな。しっかり包めるので安定するぞ」

そう言ってニコッと笑うティンバーにアオもニッコリ。そして俺の方を振り向いていい笑顔で言った。

「ノア殿、私にも一つ、いえ二つほどください。言い値で買います!」
「ぇ、ええ? 別にいっぱいあるから構わないけど。アオに必要?」
「えーと弟の子供、甥っ子が少し前に生まれたばかりでして。これ、両手が塞がらないし赤ちゃんの顔も見られるし、とっても役に立ちますよ!」

普段の間延びするような口調が消えて目もバッチリ開いた状態で迫り来るアオに驚いて、思わず身体を引くとアークの胸元にぶつかった。
そのあとすぐにアークがリーチの長い左腕で俺を囲い、右腕でアオの顔を鷲掴みして距離をとってくれる。

「ぅわ」
「アオ、それ以上近づくな」
「はっ、あぁすみません。痛たたっ、アーク殿すみませんでしたぁ!」

アオの叫びに俺も我に返り、慌ててアークを止める。

「アーク、大丈夫だから。ビックリしただけだから離してあげて。アオの可愛い顔が潰れちゃうよ」
「ノアがそう言うなら」
「あああ、ありがとうございますぅ」

俺の言葉にアークはちょっと不満げなまま、でも一応手を離してくれてホッとする。

「ごめんなさい、過保護で」
「いえ、私もちょっと興奮してしまって、申し訳ありませんでした」

お互い謝って、ひとまず仕切り直し。

「えっと、スリングだよね。とりあえず二つでいいの? 色とか希望はある?」
「色ですか? 弟は私と同じ毛色なので白っぽいのがいいかなと。義弟は毛色は白なんですけど肌が褐色なんですよね」

ふむふむ、どうやら二人とも羊獣人とのこと。白羊と黒羊みたいなもの?
じゃあさっき聞いたお互いの色を合わせた布をインベントリから探して──あった。

「ジャジャーン。これなんかどう? 焦茶地に白の飾り刺繍と白地に焦茶色の飾り刺繍の二種類」
「おお、繊細な刺繍。葉っぱの模様ですね。優しげでいいですね。ぜひこちらを購入させてください!」
「もちろんどうぞ。金額は、えーと材料費と──」

そこまで言ってからアークを見ると、頷かれた。あれですよね。

「手間賃として、これくらいでどうかな?」
「いいんじゃないか。妥当だな」
「じゃあこれで」
「ありがとうございます! 今度遊びに行くときにいいお土産ができたぁ」
「よかったね」

うん、ウキウキするアオを見てまた癒される。魔導具の調子を見に来たのに意外なアオの内面を見て密かに笑う俺達だった。
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