拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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625 魔導具錬成からの… 2

それから時間にして一時間ほど経っただろうか。大まかな話が決まったようで、あとはリオラル達だけで細かい打ち合わせをやるそうだ。

「時間をとらせてすまなかったね、アーク殿にノア殿。あとはこちらだけでひとまず大丈夫だ。決まったらまた連絡を入れよう。このあとの予定は何かあるかい?」

リオラルに聞かれて、ハッと思い出す。

「あっ、午後から竜王国にちょっと用事があります。向こうの宰相様に面会予定で──」
「ああ、ノアが宰相に会ったことがなくて。……ふっ、昨日まで俺の父が宰相だと思ってたんだよな」

俺の言葉にアークが付け足してから思い出したように噴き出す。

「あーっ! アーク、そこまで言わなくたっていいでしょ! だって何時も何かあるとウラノス義父様が出てきて解決してくれてたから──」
「そうだな。宰相よりもよっぽど動いているな」

そう言いつつ、ちょっと笑いを堪えているアークにリオラル達も苦笑する。

「私達は竜王国の宰相殿を存じ上げているが、確かにここ最近はヴァルハラ大公閣下が対応されているから、知らねば誤解するだろう。ノア殿は悪くない」
「うう……ありがとう」

リオラルがそう言って慰めてくれて、俺は恥ずかしながらもお礼を言う。

「それなら午前中はグレイ第二騎士団長の元で昨日回収した偽装魔導具の確認をしてくれると助かるが……」
「うん、俺も気になってたからやりたい。それにティンバーに預けっぱなしのヴァンのことも気になるし」

確認したくてうずうずしてたし午後までまだまだ時間があるし、そっちを済ませてしまおう。ヴァンはティンバー達に迷惑をかけてないといいけど。

「確かにヴァン殿のことは気になるが、何も言ってこないから心配ないだろう。でもあとで様子を教えてくれるとこちらとしても助かるな」
「うん、あとで教えるね」
「そのあと昼食後に竜王国に帰ってあちらでもこの話をするからちょっと時間はかかるかもしれないが、遅くなってもこちらにはまた戻る」

俺とアークの言葉にリオラルが頷く。

「分かった。まあ、こちらのせいでここのところずっと忙しかっただろうから、急がずゆっくりしてくるといい」
「そうだね、ゆっくりできたらいいな」

最近は本当にのんびりする暇がない。それはそれで楽しいこともあるし別にいいんだけど。でも確かにアークとの時間は少ないかもしれないな。

今日の予定を伝えたあと扉の外に待機していた近衛騎士の一人にティンバーに先触れをお願いしてから、執務室を出て近衛騎士の先導で第二騎士団長の執務室に向かう。
その道すがら、最近のヴァンの様子を思い出す。

「ヴァンはすっかりティンバーに懐いちゃったね」
「そうだな。何が気に入ったのか全く分からないが、ティンバーもまんざらじゃないようだから心配ないだろう」

それなんだよね。幾ら獣人国ではフェンリルが崇められるとはいえ、ティンバーのヴァンに接する態度はそれとはちょっと違うんだよねぇ。

「案外、ヴァンが言っていた獣人国建国の初代の獅子王の生まれ変わりだったりして」
「そうかもな」

アークに軽い冗談のつもりで言ってみたけど、何かそれが妙にしっくりくる。寿命の長い種族なら亡くなった番いや家族が生まれ変わっていて、知らず知らずのうちに出会っているかもしれない。

「そうだったら素敵だね」
「ああ。だが俺はノアと死ぬまで一緒の予定だから、もし生まれ変わるならそのときも一緒だ。生まれ変わっても必ずノアを愛する」

アークが立ち止まり、真剣な顔で俺の目を見てそう言う。俺は一瞬、息を止めた。

「──うん、俺もそうでありたいと願っているよ。死ぬときも、死んだあともずっと一緒にいたい。アークを愛したい」

そう言ってぎゅっとアークに抱きつく。そんな俺をアークも抱きしめ返してくれて、ここが廊下だということも忘れて俺達は顔を寄せあい、口付けを交わすのだった。

──前方からコホンと小さな咳払いが聞こえて俺が我に返るまで、ほんの十数秒だったけど。

いたの忘れてたよ、は、恥ずかしい~!!!

アークはしれっとしていて近衛騎士をちょっと睨んでいたようだけど、俺は真っ赤になった顔を両手で覆っていてよく分からなかった。


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