拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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631 帰省と報告 3

支度の済んだ俺達は、ヴァルハラ大公家の紋章入りで黒塗りのピッカピカな四頭立ての馬車に乗って王城に向かった。
周りにはヴァルハラ大公家専属の護衛騎士達が馬に騎乗して警護についている。こうして正式に登城するときはいつも護衛騎士達がいる気がする。

俺が馬車の中から彼らをジーッと見ていると、視線に気付いた騎士の一人がニッコリ笑ってくれて俺もつい微笑む。

「ノア、向こうも仕事だからあまりジロジロと見てやるな。気が散るだろう。それ以前にノアが他のヤツを熱心に見つめていると俺が気に食わないから」
「あっ、ごめん」

アークに指摘されて、俺は慌てて馬車の中に視線を戻す。すると不機嫌そうなアークと苦笑するウラノス義父様とレーゲンがいた。

「ははっ、気になるよね。まあぶっちゃけるとそれなりに強い私達に護衛は必要ないんだけど、貴族の形式というか慣例というか──これでも準王族だからね」
「強さ云々というよりも見栄のようなものです。でも彼らはアルカンシエル様やノア様ほどではないですが、ちゃんと強いのでご安心ください」

俺はウラノス義父様とレーゲンの言葉に頷く。

「アークは強いけど俺はそこまでじゃないと思うよ。でも何かあったときは素早く対処してくれそうで頼もしいね」
「相変わらず周りとの認識がズレていることに気づかないノアちゃんが可愛い」
「ウラノス様、鼻の下が伸びてますよ。そのだらしない顔を引き締めてください。間もなく王城に着きます」

俺は思ったことを言っただけだけど、何やらウラノス義父様がデレッとして悶え始めた。それをレーゲンが窘めて、アークは呆れ顔になる。

こうして馬車内に微妙な空気が流れたまま王城に到着。気を取り直して馬車の乗降場で降りた俺達は、待機していた近衛騎士に案内されて宰相様の待つ部屋へと向かう。

「今日は宰相様に会うだけだよね」
「そのつもりだが、場合によっては竜王陛下にも会うことになるかもしれない」
「あー、やっぱり?」

元々はウラノス義父様の従兄弟にあたる宰相様の紹介ということなんだけど、それに合わせたように発覚したヘクセの新事実。これを相談したら大祖父様に報告がいくよね。そうなったらきっと大祖父様が俺達に会いたいって言うよね。

会うのはまあいいんだけど、大祖父様は周りを振り回しがちだから、そうなったら急な予定変更で側近のリュウギさん達や近衛騎士達に申し訳ないなって。

そんな会話をウラノス義父様達のあとについてアークと小声でしていたら、ウラノス義父様がピタッと立ち止まって振り向いた。
ちょっと目が笑ってないんだけど。

「アークにノアちゃん。どういうことかな?」
「えっ……あっとぉ、そのぅ」

ビクッとして思わずしどろもどろになる俺の背中をポンポンと撫でてからアークが代わりに応えてくれる。

「今日の午前中にわかったことがあって、俺達だけじゃ難しい案件だからそれを宰相様に相談したいんだよ、父上。ここではちょっとアレだから、ひとまず紹介のあとでいいかな」
「まあ、そういうことなら。じゃあ急ごうか」

ひとまず納得して歩き出すウラノス義父様のあとを、再びついて行く。
そういえばウラノス義父様にそのことを連絡しないでこっちに来ちゃったんだった。着いたらすぐに支度したから言うタイミングなかったんだよね。そもそも言うの忘れてたし。

ウラノス義父様は怒ったわけじゃないんだろうけど、急に仕事モードに入るからビックリする。そういうときのウラノス義父様は貴族然として、普段の親しみやすさが消えてちょっと近寄りがたい雰囲気になるから苦手だ。

俺がちょっとへこんでいると、アークが頭をポンと撫でてくれた。

「急に仕事モードになってちょっと怖かったか」
「うん。いつもとは違ってキリッと格好いいけど、見慣れなくて驚いちゃった」

俺は大公家では本当に甘やかされていたんだなって実感する。
でも甘えてばかりじゃなくて、俺も役に立てるように頑張らないと。

俺は拳を握りしめて、本日二度目となる気合いを入れるのだった。

「ウラノス様、ノア様にビビられてましたよ」
「何っ!? そ、そんなつもりでは──はわわっ……嫌われたらどうしよう」

そのとき、前を歩くウラノス義父様達のそんな会話が聞こえて、やっぱりいつものウラノス義父様だなとアークと一緒に小さく笑った。














※この本文に全く関係ありませんが、人物設定1にラグ爺さんのイラストあげました。気になる方は確認してください。そこにちょっと容姿を追加で書き足しました(本編では容姿の描写はありません)

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