拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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632 帰省と報告 4

俺達が案内されたのは宰相様の執務室。その広い室内にはウラノス義父様によく似た顔立ちの四〇代に見えるおじ様がいた。
金色の瞳に褐色の肌、肩につくくらいの銀髪をハーフアップしていて、かっちりとした質のいい服を身に纏っている。

俺達を目にした彼が、優雅な足取りでウラノス義父様の元に歩み寄る。

「ようこそお越しくださった」
「こちらこそ、貴重な時間を割いて頂いてありがとうございます」

よくある偉い人同士の挨拶を交わす二人を無言で見ていると、二人が不意にこっちを見てにっこり笑う。

「──なんてね。格式ばった挨拶は抜きにしよう。彼が宰相で私の従兄弟のリオライトだよ」
「そうだな。ここは宰相の執務室だが人払いをしてあるし、いるのは身内だし砕けていこうか。というわけで改めまして。私がこの国の宰相を務めているリオライトだ」

さっきまでの貴族然とした雰囲気が霧散して、ただの仲のいい従兄弟同士になった二人にポカンとしたあと我に返り、俺は慌てて挨拶をする。

「あ、えっと、ノアです。お会いするのは初めて、ですよね。よろしくお願いします」
「リオライトおじ上、お久しぶりです」

俺がそう言うとアークも挨拶をしてきた。そのアークの言い方にリオライト宰相様は苦笑する。

「ああ、よろしく。こちらは勝手にもう身内扱いしているが会うのは初めてだね。アークはいつもみたいにでいいよ」
「そうそう、普通に話して。いや、さっきさあ、思わず仕事モードになっちゃってノアちゃんを怖がらせちゃったみたいでさあ、義父様泣きそうになっちゃったよ」
「何でお前が泣くんだよ。怖がったノアちゃんが泣く方だろうが」

砕けた柔らかい雰囲気で穏やかに話すリオライトおじ様とウラノス義父様の会話に思わずクスリと笑うと、また二人して俺の方を振り向いたのでビクッとする。

「父上、おじさん」

アークがすかさず俺を抱きしめて二人に冷たい声を出す。俺は二人の慌てたような気配を背に感じつつもアークにぎゅうっと抱きついた。ああ、落ち着く。

「あ、すまない。思わず」
「だってノアちゃんが笑うんだもん。あんまり家にいないから、貴重な笑顔を見たくて」
「だからって、驚かさないの。ノアはまだまだ急な動きや大声には敏感なんだから」

そういう会話が頭上を飛び交う間に落ち着いた俺は、アークの背中をポンポンと叩く。

「アーク、ありがとう。もう大丈夫だから。そこまで驚いていないから」
「……そうか?」

まだ心配なのかそれとも単にくっついていたいだけなのか、中々離れようとしないアークを俺は何とか説得して話を先に進める。

「アーク、あの話をしないと。リオライトおじ様だって時間がないだろうし。ね?」
「──あー、アレな。うん、まあどうせならサッサと片付けてゆっくりイチャつくか」
「イチャ……うん、ソーダネ」

抱き合いながらブツブツと呟く俺達を黙ってみていたウラノス義父様達は、真面目な顔で呟く。

「あの二人、いつもああなのかい?」
「ああ、いつもアンジェリクとイチャイチャしている私が言うのもあれだが、大抵はこうだね」

リオライトさんの言葉に訳知り顔でそう言うウラノス義父様。それにレーゲンが突っ込む。

「ウラノス様よりはマシな方ですよ。アルカンシエル様はノア様を他人に見せたくないという独占欲が強いので人前ではあまりしません。するときは牽制目的が多いです」
「そ、そうか? うん、私達はまあ、すぐに盛り上が──こほん。ちょっとは自粛してみよう」
「……私もアデライトとそういう雰囲気になることが結構あるから、気をつけよう」

リオライトおじ様の言うアデライト様って、番いで外交官だっていう竜人だよね。やっぱり仲がいいんだな。機会があれば彼にも挨拶をしたいな。

アークに頬をすりすりされながら聞こえてきた三人の会話に、俺はそんなことを思うのだった。

そしていい加減、本題に入ろう。終わったら早く帰ってアークとイチャイチャするんだ。
最近はあんまり二人きりの時間が取れないから、アークと思う存分イチャイチャしてストレス発散しよう。そうしよう。

「ということで、最新情報を報告します。そして調査を依頼します!」
「最新情報?」
「調査?」

俺の言葉に同じ方向に首を傾げる二人は、容姿も相まって双子のようだった。






※ノアのリオライト宰相の呼び方を心の声も表の声もリオライトおじ様に統一しました。
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