拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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633 報告は大事 1

立ち話もなんだからということで執務室の隣にある応接室に移動した俺達は、俺のインベントリから出したお茶とお茶請けを摘まみながらこれまでの経緯を話した。

「──つまり、問題のそのヘクセという魔導具師(仮)がラグナロク・ニヴルヘイム殿の縁者らしいと?」

眉間にシワを寄せ、こめかみを人差し指でグリグリしながら呻るように呟くウラノス義父様と、遠い目をするリオライトおじ様。
ウラノス義父様がヘクセを()と呼ぶのは、これまでの様々な内容から想像するに、すでに魔導具師かどうか怪しくなっているからだそうだ。

確かにただの魔導具師ができる範疇を越えている。そこにきてラグ爺さんの関係者かもしれないとなると、俺みたいな魔導師ウィザードか錬金術師の可能性も視野に入れないといけないかもしれない。
大賢者という二つ名持ちだったラグ爺さんの血筋の人なら、きっと魔力もすごくて魔法も魔導具製作のセンスもすごいに違いない。

俺はその血を引いてはいないけど、その素晴らしい技術を教わって今は色々と魔法も錬金も調薬もできるようになった。それくらいラグ爺さんはすごい人だったわけだし。
でもヘクセは誰に教わったんだろう。もしかしてラグ爺さんが生前、俺を拾う前に教えていたのかな。

もしそうなら、ヘクセを捕まえたときに俺の知らないラグ爺さんの昔話とか聞けるかな、なんて思ってしまう。だってラグ爺さんという共通の人物を直接知る人は数少ないから。

「陛下にも報告しないとマズい案件だけど、報告したらしたで政務そっちのけで張り切りそうで怖い」
「あー、そうだな。アークのときもそうだったが、最近の陛下はノアちゃん関係は特に激しいからな」

続くウラノス義父様の言葉に同意して溜め息をつくリオライトおじ様も大祖父様のことをよく分かっているようだ。

そういえばリンデン父さんを封印するときに大祖父様もラグ爺さんと会ってるんだよね? それって大祖父様からラグ爺さんのことが何か聞けるかもしれないってことで。
そうなると、さすがの俺も大祖父様が暴走しそうだって分かる。それを止める側近の方々や近衛騎士達の苦労がよく分かるよ。

「だが、ここで呻っていても仕方ない。すぐに謁見の手配をしよう。ルーシィ、いるか?」
「──はい、どうされました?」

そう言って不意にリオライトおじ様が扉の向こうに向かって声をかける。すると今までなかった気配が現れて、一拍遅れて返事が返ってきた。
低くて穏やかな声だ。誰だろう。人払いはしてるんだよね。

「大至急、陛下に謁見の許可を取ってくれ。ノアちゃんの件だと言えばすぐにでも許可が下りるとは思うが──」
「畏まりました。すぐに話を通して参ります」

扉越しにそんな会話を交わすと、向こうの人の気配が消え、再び静かになる。ウラノス義父様とアークは相手が誰か分かっているらしく、平然としている。俺だけ首を傾げていると、それに気づいたリオライトおじ様がハッとして教えてくれる。

「ああ、すまない。先ほどの彼は私の補佐で護衛も兼ねている者で、ルーシィ・エヴァンズという。戻ってきたら紹介するよ」
「そういえばさっきは人払いしていていなかったね。私とアークは知っているから、紹介するのを忘れていたよ」
「そうなんですね。分かりました」

リオライトおじ様とウラノス義父様がそう言ってくれたので、俺は頷いて大人しく待つ。
それから五分ほどで戻ってきたルーシィさんは、ノックのあと扉越しにリオライトおじ様に許可が下りたと告げる。

「ありがとう、ルーシィ。こちらに入ってきてくれるか。ノアちゃんに紹介したい」
「は、畏まりました。失礼致します」

リオライトおじ様に促されて入室してきた宰相補佐だというルーシィさんは、護衛も兼ねているという言葉通りの体格だった。アークよりも背が高くてガッチリした筋肉質の身体。服越しでもむっちりしているのが分かる。腰まである水色の髪を三つ編みしている。
身体は厳ついけど、琥珀色の瞳はやや垂れ目で、優しく甘い顔立ちのおかげか怖さはない。さっきの声も穏やかで、声だけだったら想像できない体格だ。
聞けば実年齢は三〇〇歳だとか。見た目は人族でいう三〇代。やっぱり長命の種族は年齢が分かりづらいな。

俺は自分も二〇〇歳越えに見えないということを棚に上げてそんなことを思うのだった。



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